攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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異世界の神+邪悪なる思念の端末+三界機構=精霊知能ミュトス

 ミュトスの口走った言葉に、全身に衝撃が駆け巡るのを俺は、たしかに感じていた──断獄。

 三界機構、かつてワールドプロセッサだったのが管理する世界ごと邪悪なる思念によって怪物化させられた哀しきモノの名を今、彼女は鋭く叫んだのだ。そしてその加護を己に、とも。

 

 それはすなわち彼女に与えられた謎の力の正体が、三界機構の少なくとも一つに深く関わっていることに他ならない。

 眩く発光するミュトス。スキル《イミタティオ・トリニタス・コスモス》の効果は外見面にも如実に現れていた。彼女の両腕両足が、瞬く間に変身していく!

 

「あれは、断獄の手足!?」

『それそのものではないにしろ、三界機構の力の一部を身体に装着しているのか!?』

「そう、その通り。ミュトスに与えしはかの3体、かつての私の同胞の欠片」

 

 以前の最終決戦の時にも見た、断獄の姿を思わせる手足。硬い体毛だったのは今やシルバーに輝く鋭い棘と変わっているが、印象そのものはかつてと変わらない威容、力の感触だ。

 それらが両手両足をまるでSF作品の、パワードスーツのように覆っている。まさしく三界機構は断獄の力を、ミュトスは一時的にでもその手足に宿しているってのか!?

 

 驚く俺とアルマに、ワールドプロセッサの声が聞こえた。

 やはり三界機構の力か、あのスキルの正体は……しかも口振りからして魔天、災海もいるな、これは。

 

「今はほんの一撃分、ほんの一時しか維持できませんが……"あのミュトス"はまさしく断獄と一体化しています。そしてそれゆえに、彼女はシャーリヒッタにも匹敵し得るのです」

「──顕現! ミュトス・断獄!!」

「ミュトス・断獄……!」

 

 己の名前の後に三界機構の名をつけたのは、おそらくは借り受けた力を示すある種の形態名のようなものか。

 手足にすっかりと具足を装着したミュトス・断獄が、仁王立ちして俺を見据えて構えている。

 

 凄まじい威圧だ、彼女の近くにいる精霊知能達も目を見開き身構える。あからさまな警戒だ。

 彼ら彼女らにとっても決して縁浅くないからな、三界機構は……かつての宿敵の力を宿した精霊知能。それがミュトスというわけか!

 

「全霊にて挑ませていただきます、コマンドプロンプト様!!」

「っ、来るか!」

「公平さん気をつけて! 瞬間的な出力だけなら、これはたしかに断獄の威力ですっ!!」

 

 遠くリーベの警告を受け、俺も本気で身構える。たとえ相手が断獄の力を振るおうと、逃げるつもりは一切ない。

 来るがいい、三界機構の依代よ! そんな想いで見据える先、ミュトス・断獄は一息で俺の懐にまで飛び込んできた!

 

 早い……! 今までに見てきた誰よりも早い!

 断獄の足を纏っての脚力ゆえか、空間転移に近しい瞬間移動ぶりだ。あっという間さえなく至近距離に姿を表した彼女が、両腕を目一杯後ろ手に引き絞っている!

 

 体全体から、緑に光る焔を噴出させながら──

 

「三界機構の名の下に、ここに必殺を告げる」

「…………!!」

「受けよ断獄奥義! アーマゲドン・アポカリュプシスゥッ!」

 

 ミュトス・断獄の両手が同時に発射され、俺の身体めがけて撃ち放たれた!!

 腕に纏う断獄から放たれる焔によっても強化されたその威力は、確実にベナウィさんの《極限極光魔法》をも凌駕している!

 

 

 ──だけど、俺には及ばない。

 

 

 先程の移動からここに至るまですべて、俺の目をはじめとした感覚器官は問題なく彼女を把握している。

 ゆえに驚きこそすれ焦りはなく、俺は振り抜かれたミュトス・断獄の両腕を、あえて最大威力を発揮するタイミングで片手でもって受け止めた。

 

 轟音、そして閃光。溢れ出るエネルギーをすべて真っ向から受けきったがゆえの衝撃が周辺を眩く照らす。

 その中で俺は、彼女に向けて微笑み、そして讃えるのだった。

 

「素晴らしい威力だ、ミュトス。断獄の力をここまで再現するなんて」

「う、うそーん……?」

「全力の俺じゃなかったら危なかったかも。一撃コッキリだけどなるほど、ワールドプロセッサが虎の子とするだけはあるよ」

 

 音も光も次第に収まる。固唾を呑んで見守るギャラリー達が目にしたのは。

 渾身の一撃を結果として片手で防ぎきった俺と、そのことに一筋汗を垂らしてまたしても微妙に古めなリアクションを見せる、ミュトス・断獄の姿。

 

 うん、すごい威力だ……全段解放シャーリヒッタでも、今の技を最大威力で食らったらどうなるやら。

 それでも俺には通じはしない。さすがに極限倍率の防御を貫通できるだけの出力じゃないし、そんなもん放ったら俺より先に彼女の身体が自壊するだろうしね。

 

「く、う……参りましたぁ! 《イミタティオ・トリニタス・コスモス》解除! どひー、しんどーい!!」

 

 愕然とこちらを見つつも少し呻いてから、ミュトス・断獄はただのミュトスに戻った。スキルを解いて、やはりどひーと鳴いて戦闘モードを終了させたのだ。

 かなり疲弊しているのが見て取れる。やはり三界機構の力をその身に宿すのは彼女にとってもリスクが大きいのか……諸刃の刃ってわけだな。

 

 ともあれ、これにてミュトスの実力ははっきりと理解できた。邪悪なる思念のエネルギーと三界機構の力をも宿す、まさしく超特例的な存在。

 精霊知能ミュトスの価値が、これにて示されたのだった。




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