攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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夏の夕暮れ。やさしく迎え入れてくれたのは、システム領域のみんな……

 そんなこんなで夕方を迎えた。昼夜の概念まで引っ張り出しているみたいでシステム領域内に設定された太陽なき空は、特に理由もなく真っ赤な夕焼けもどきに彩られている。

 ついてきてくれていた精霊知能達も、今はもうすでに大半が業務に戻っている。コマンドプロンプトの初お目見えゆえにやってきてくれた子達も多いだろうから、次ここに来た時はさすがにここまで大勢引き連れてうろちょろするようなことはないだろう……ないよね? ないと信じたい。

 

 さておき俺達もそろそろ帰る時間だ。システム領域の入口、つまり最初にやって来た草原辺りまで戻る。

 別にどこからでも空間転移すれば帰れるわけだけどそこはそれ、様式というものを考えてのことだね。それにせっかくの新人精霊知能さん達が頑張って作ってくれた入口なので、無碍にしたくもなかったし。

 

「新人さん達、本当にフレッシュだったなあ。新社会人ってあんなだったりするのかな」

「社会に出たてどころか人格できたて、生まれたてですらありますけどねー。ずいぶん緊張してたのは仕方ないです、メンツ的にー」

 

 風が吹き、草原撫でる光景を眺めつつリーベと語らう。俺達の観光にひっついてきた精霊知能達の中に、なんとこの草原を担当してくれた子達も混じっていて、いくらかやり取りする機会があったのだ。

 服装こそ今時の若者系、ちょっとダボッとしつつでも清潔感は一定に保っているタイプのイケイケお兄さんお姉さん達だったからちょっと怖かったんだけど、裏腹に態度や言動は礼儀正しく、なんなら緊張に肩に力が入りすぎていた子までいたくらいだ。

 

 話を聞くに彼ら彼女ら、大ダンジョン時代に入ってから生まれたプログラムらしかった。

 だから俺はもちろんのことヴァールについても初対面で、リーベやシャーリヒッタの同僚にあたり、かつ現世でバリバリ働いてきた彼女に憧れの眼差しを向けていたのが印象深かったなあ。

 

「彼らのような大ダンジョン時代以降に発生する、いわば新世代の精霊知能が今後、ドンドン増えていくことになるでしょう。それ以前の世代が邪悪なる思念によって大半を滅ぼされたがゆえに補填する形になりますので、最終的には新世代達こそがシステム領域のメインストリームになるかと思われます」

「そちらのほうが良かろう。我々旧世代は良くも悪くも邪悪なる思念の影響を受けすぎた。やつへの憎悪、怒り、嘆きなどこれからの時代に引き継がせるべきものではないのだが、とはいえ分かち難いものでもある」

「オレらの発生経緯を考えれば、根底にある感情だからなァ……これはこれで健全じゃないのは間違いないし、ゆくゆくはニュービー達に後を譲ることは視野に入れていきたいよなァ」

 

 アフツスト、ヴァール、シャーリヒッタそれぞれがそれぞれに新人さん達について語ってくる。

 大ダンジョン時代以降に発生した……つまりはセーフモード以前の阿鼻叫喚、地獄絵図を知らない世代の精霊知能達への、ある種の期待が感じられる発言だ。

 

 第一世代にあたるこの子達は特に、ワールドプロセッサの狂気じみた怒りと憎しみの影響を色濃く受けている部分はどうしてもあるからね。

 それこそが対邪悪なる思念において大きな力を発揮してくれたとも言えるけど、すべてが終わった今となっては逆に、その激しさが世界の健全化を妨げる要素にならないとも限らない。

 

 ゆえに、そうした感情が比較的薄い新世代の精霊知能達にこそ今後の時代を任せたい思いはあるんだろう。

 異世界の魂達をすべてこの世界に受け入れきった暁には……そうだな、何百年か経った後には。リーベやヴァールはじめ旧世代の精霊知能達が揃って引退して、悠々自適にどこぞかの領域で暮らすようなことにもなってるかもしれないなあ。

 

「ま、いずれにせよだいぶ先の話だし、今は目の前の案件を地道にコツコツこなしていくしかない。さしあたってはサークルに、過激派。そしてミュトスの権能だな」

「ああ。倶楽部を壊滅できたこともあり勢いはこちらにある。連中とて一度動き出した以上はなかなか止まれないだろうから、この機を逃さず正面から叩き潰してやりたいところだ」

 

 隠居後の話なんて何世紀も経ってからの話はひとまずとして、やはり気にすべきは対委員会についてだろう。

 今回の帰省にてミュトス関係の情報を把握できたのは大きい。異世界の権能を好き放題利用しようって魂胆の概念存在達に対して、こちらは明確にカウンターが取れるカードを手にしたことになるからね。

 

 そのミュトスは今後、インターフェイサーの一員としてシャーリヒッタの直属として扱われることになる。なんなら俺も、ワールドプロセッサの名代として彼女に対しての命令権を持つことになるため無関係ではない。

 三界機構の力を持つ、極めて特例的な精霊知能。彼女に正しい形で力を使ってもらうために、俺やシャーリヒッタもまた、精進する必要がありそうだ。

 

「インターフェイサーとしてミュトスも動かすから、WSOとは連携組んでやってくぜ、ヴァール! 後日また話を煮詰めたいからその旨よろしくな!」

「ああ、任せろ。山形公平にも話し合いには参加してもらいたいのだが、どうか?」

「もちろん。現世におけるシステム領域の総責任者として全力を尽くすよ」

 

 ヴァール、シャーリヒッタも交えて三者会談だって取り付ける。盆が終わって以降、数日ほどのんびりさせてもらったけどそれもそろそろおしまいかな。

 迫るS級探査者認定式。つまりは新たな戦いの幕開けに向けて、俺達もまたぼちぼちと動き出そうとしていた。




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