攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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依頼は足で稼げ、というのも今は昔。でもたまには運動がてらね!

 駅を出てしばらく歩き、全探組に到着する。春先からすっかり馴染みになったこの施設には、今日も今日とて探査者達が屯したり依頼を受諾ないし報告したりしては行き来しているね。

 俺達もご多分に漏れず中に入り、まずはなんかいい感じの依頼とかないかなー? と確認する。

 

「こんにちは。依頼確認したいんですけどー」

「あ、どうも山形さんに御堂さん。今日もいろいろありますよ、こちらで調べますね」

「ありがとうございます。あ、プリントしてもらえれば談話室でゆっくり眺めますよ」

「分かりましたー」

 

 受付で仕事をされている女性事務員さんと、手慣れた感じでやりとりをする。こちらの方ともすっかり顔なじみな俺ちゃんだ。

 何しろ春先から最終決戦あたりまでにかけ、俺の探査頻度が常軌を逸していたからね。ほぼ毎日複数回の探査は当たり前にこなしていたし、それゆえ事務員さんともこうしてやり取りする機会は多かったのだ。

 

 個人的に、依頼をやりとりするのにはスマホアプリを使うより施設で直に行うほうがしっくり来たのもあるし。あととんでもない頻度で探査していた関係上、あちこち近辺をうろついていたから動線の中に全探組が普通に入っていたからね。

 いい運動がてら、みたいなノリで足繁く通った結果、すっかり何人かの事務員さんとは本部長の広瀬さん同様知り合いにまでなったわけだった。

 

 さておき事務員さんに手配してもらって、俺の級に合わせて調べてもらった直近の探査依頼を印刷してもらう。

 短い時間なら受付で手早く見てそのまま受諾手続きまでするんだけど、今日は受けるかどうかも未定だからね。談話室で見ようか。

 

 というわけで香苗さんと二人でロビーの横、広々とした談話室に移動する。探査帰りの探査者達でそれなりに賑わうこの場所は、俺としてもなんとなく好きな場所だね。

 オペレータ達の憩いの場というか、団欒の場所っていうか。別に誰かと話したいわけじゃない根っからボッチプロンプトくんだけど、みんながわいわい話しているのを眺めるのは嫌いじゃなかったりするのだ。

 

「今日も結構いますね、人」

「県内の探査者達にとってのホームグラウンドですからね」

 

 疎らってほどでもなく、かと言って満員というわけでもないほどほどの混み具合の中を香苗さんと進み、空いてる机に座る。

 うちの県にある全探組施設ったら県本部であるここか、あとは湖北にある支部かのどちらかしかない。そして本部だっていうのと隣県にも近いってことで必然的に、こちらのほうがより多くの探査者達に利用されることとなっているみたいだね。

 

 はふう、と一息入れつつプリントを見ていく。受ける受けないは別にして、こうした依頼書を見るのも結構興味深いものがあったりする。

 何しろいろんな場所にダンジョンができるわけだからね。道のど真ん中や路地裏はもちろん、店の中、家の中、はたまた地下鉄の中とかにも例の穴が発生する可能性はあり得るわけ。

 

 聞くところによるとなんと、全探組施設内やWSO本部にもダンジョンが発生した事例が過去、数度あったそうな。

 オペレータのお膝元でいい度胸してるなあ、ランダムながら……当然秒で探査者が投入され、速やかに踏破されたとか。

 放置してたら沽券に関わるからね、仕方ないよね。

 

「どれどれ? ええと工事現場、民家、喫茶店……へぇ~、大学にもダンジョンが」

「キャンパス内にですか? それはまた、カレッジサーチャーズがはしゃぎそうな案件ですね」

「あー……」

 

 さっそく目を引いた、うちの県にある大学──竜虎大学ではない、別の私大だ──にできたらしいダンジョンの依頼を見て香苗さんがつぶやいた。

 カレッジサーチャーズ、通称カレチャ。大学生探査者や探査関係に携わりたい人達で組織された全国規模のサークルだ。以前、宥さんに案内を受ける形で妹ちゃんやそのお友達、リーベまで連れて竜虎大学のカレチャが主催した探査者イベントに参加させてもらっているね。

 

 そんなカレチャはどこの大学にも大体存在しており、彼らからすれば大学内のダンジョンなんてまさしく垂涎ものの案件だろう。

 この依頼を受ける探査者は、カレチャの人達から質問攻めにあったりするかもね。もしくはそのもの、カレチャ所属の探査者が受諾したりなんてのも十分ありえる。

 

「カレッジサーチャーズはごく一部の大学を除き、ほとんどが非能力者のみで構成されている組織です。この案件先での彼らがどうかは分かりませんが……本職からすれば好奇心でアレコレ接触を試みてくるわけですから、擽ったくもあり面倒くさくもあるようですね」

「そうなんですか……ちなみに香苗さんもご経験がおありで?」

「ええ、何度か。A級トップランカーだったこともあり、無闇に注目を浴びていましたから」

 

 肩をすくめて苦笑い。さすがは香苗さんだ、若くしてS級になるだけのことはあり、いろんな場所のいろんな探査を経験していらっしゃる。

 不遜な物言いになるが、戦闘力自体で言えば俺はもう彼女さえ上回ると思うんだけど……踏んできた場数だけは逆立ちしたって勝てやしない。

 

 だからこういう時、実経験としてのお話を聞かせてもらえるのはすごくありがたいし、ためになるんだよね。本当に、探査者の先輩としてこれ以上ないくらいにすごい人だよ。

 改めて春頃、新規探査者教育最終試験の監督がこの人だったことに感謝しつつ──どうもこの人自身の強権による差配だったことからは目を逸らし──、俺は香苗さんに笑いかける。

 彼女また柔らかな笑みを浮かべ、テーブルの上に置いた俺の手に自身のソレを重ねるのだった。




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