攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

1131 / 2051
伝道師と書いてロマンチストと呼ぶのか(困惑)

 簡単な依頼ということで、今回のダンジョンはB級の中でも特に最小規模のものだ。

 依頼書の中にたまたまあったそれは、最寄りの居酒屋の店内にできているらしく、階層は4、部屋数は9しかない。

 

 規模的にはぶっちゃけCとかD級でもおかしくないレベルなんだけど……調査の結果、一部屋目にB級モンスターが確認されたとかでB級ダンジョンとして登録された。

 規模が大きいけど弱いモンスターしか出ないダンジョンと、規模が小さいけど強いモンスターが出るダンジョンと。どちらがより危険かって話だからね。常に基準はモンスター次第ってことだった。

 

「すみません、俺の級に合わせてもらっちゃって」

「いやいや! 無理を言って付いてきてもらってるのは俺達のほうだしね。それに君だって数日後には首都圏に行くんだろ? 直前に無理をして大事になるのは避けたい」

 

 S級1人、A級3人と堂々たる構成のパーティだというのに規模の小さなB級ダンジョンを選んだのは、つまるところ俺がまだB級ってことで気を使ってくれたからに他ならない。

 申しわけなくて謝れば横山さんが力強く笑い、気にしないよう仰ってくださった。上級探査者らしい貫禄と余裕、大人の自信に溢れた後輩への素敵な態度だね。

 

 全探組施設を出て件の居酒屋へと向かう。距離にして50mもなく、ものの数分で辿り着ける場所だ。

 ここまで近いと依頼を出すほうも受け取って向かうほうも楽でいいね。こう言ってはなんだけど、今俺達の求めているのに適したいい条件のダンジョンだと言えた。

 

「ま、動画とか話で聞く山形くんの実力だと、普通にA級ダンジョンも余裕そうなんだけどねー。ぶっちゃけ私らよりも強いっぽいし」

「御堂の、色がつきすぎてグラサンみたいになってる眼鏡を度外視するにしてもいろいろヤバいしなあ。鈴山は当然のことフランソワさんに風間さん、コーデリアさん、果てはチェーホワ統括理事まで認めてるんだろ? そもそもB級モンスターだって、最強格の狼人間を春先に仕留めてるしさ」

「そこからA級のリッチ、S級のドラゴンにこないだはS級認定されそうな変なモンスター2体。春にデビューしたって聞くけど、半年でここまで大物喰らいにばかり参加している探査者なんて御堂じゃないけど空前絶後だよ」

「は、ははは。いやぁ、なんともはや、間が悪くって……」

 

 御陵さんを皮切りに俺のこの半年の活動を語るお三方に、苦笑いしか浮かべられない。事情を知らない世間様から見ると改めて感じるんだけど、この山形公平ってやつマジでハチャメチャですね……

 普通の探査者なら今くらいの頃なんて、まだまだF級ってことで師匠なり指導係についてゴブリンやスライム相手にエッサホイサしてるあたりだ。

 

 おかし三人娘なんかがまさにそうだね。いやまあ、あの人達はあの人達でレアスキルやら始原の4体やら《武装化顕現》やらで大概、おかしなことになってはいるけど。

 それでも彼女達も当然まだまだF級で、ここから一年近くは基礎を固めてようやく昇級試験を受けられることとなる。

 

 対して山形くんときたら、デビューしてものの半月でE級だからね。特例措置を受けて、なんか知らんがそんなことになっちゃった。

 そこからはもうあれよあれよというままにってやつで、ドラゴン倒してD級、後にC級。そんでもって世間ではS級モンスターとして認知されているバグモンスター2体との戦闘に参加した功績をもってこないだ、B級にまで昇級したってわけだね。

 

 あ、ちなみにバグモンスター2体のネーミングライツってやつはソフィアさん預かりになっている。あの2戦は扱い上、WSO主導による対S級大規模攻略作戦になっていて総責任者がヴァールだったからね。

 だから名付けはソフィアさんかヴァールが行うのだ。認定式あたりで公開されそうだけどはてさて、どんな名前がつくのやら。

 直球でベーコンだのダンゴムシだのつけたりしないだろうな、特にヴァール。あの子ってば俺と同じでそういうセンス、なんかなさそうな気がするし。

 

「誰の眼鏡がサングラスですか鈴木! あなたの視界を救世主様色に染めて差し上げますよ、我が伝道にて!」

「嫌だよ! 勘弁してくれっていうかお前の視界どうなってんの、虹色になってそうなんだけど! 主に山形くん周り!」

「救世主山形公平様は私の目からすればいつだって至高の尊さ究極の美しさ絶世の強さを讃えるかのごとき救世主様色ですとも! もちろん救世主様がいてくださるこの世界もです! 御方を見初めた瞬間から、私の灰色の世界は一瞬にしてあらゆる祝福に染まってくれたのですから!!」

「怖ぁ……」

 

 救世主様色ってなんだよ。どどめ色の亜種とかかな?

 相変わらずの伝道ぶりにパーティメンバーはおろか、道行く人もあぁ……みたいな顔で見ているのがなんとも。もはや町の名物じゃないですかやだー!

 

 と、遠い目をする俺を肘で小突いてくる御陵さん。

 なんぞや? と思い見ると、ニンマリとした顔で小柄な彼女は言うのだった。

 

「"君を見た瞬間、世界が色づいて見えたんだ"ってさ。あのカナちゃんをあんなに乙女にしちゃうなんて、君ってすごいねえ」

「そ、そういう解釈で良いんですかね……」

「宗教チックに彩られてるけどね、根底はやっぱり、ロマンチシズムだと思うよ? んふふ、青春青春!」

 

 いたずらっぽく笑う御陵さん、小柄なスタイルでそんなふうに笑うんで、なんだか同年代くらいに見えちゃうな。

 香苗さんのことをカナちゃんって言ったりと、なかなか愛嬌豊かな人みたいだよ。




ブックマークと評価のほう、よろしくお願いしますー
「大ダンジョン時代ヒストリア」毎日更新しておりますー
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー

【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ一巻発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!

コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 pash-up!様
 ( https://pash-up.jp/content/00001924 )
 はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
 コミック一巻についての情報もご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 
 加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
 ( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
 よろしくお願いしますー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。