攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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見学!御堂パーティ

 依頼を受けたダンジョンのある居酒屋にお邪魔して、店の方と軽くやり取りしてさっそく出入口を見せてもらう。

 厨房の端っこに発生したそれは直径1m程度、小規模ながら地味に仕事の邪魔らしく店員さん達が揃って苦い笑みをこぼしている。

 

 発生してから丸1日経ってるそうだけど、大事な仕事場にこんなのがあったらそりゃ邪魔だよね。

 まして今もすでに開店に向けていろいろ段取りをされている最中なので、なんならこうして説明を受けている俺達だって言っちゃうと邪魔だろうし。

 こりゃさっさと踏破して、このお店の元の姿を取り戻さなきゃいけないね。

 

「さっそく行こうか……先行はいつも通り俺と御陵が行く。前衛が先に入ってから、後衛の御堂と鈴木がついてきてくれ。おっと! もちろん山形くんもだけど、君は前衛で良いのか?」

「基本的には。遠距離攻撃もできますよ」

「ビーム放ってたもんね、シェン・フェイリンさん相手に。オールレンジ対応の探査者って地味に少ないからね、さすがだよお」

 

 簡易ながら段取りを組む横山さん。この幅だと1人ずつ入る形になるので、地味ながら事前に入る順番を決めるのは重要だ。

 剣を持つ彼と斧を持つ御陵さんが前衛、後衛には香苗さんと意外ながら鈴木さんがつくらしい。徒手空拳かと思いきや遠距離攻撃手段があるのか。魔導系、魔法系スキルでも持ってるのかはたまた、関口くんや鈴山さんみたくコンパクトなサイズの武器を懐に持っているのか。

 

 そして当然、俺にも水を向けてくるけど俺ちゃんは基本ソロだったがゆえ、アドミニストレータであるがゆえに対応距離は何でもござれだ。宇宙の果てまでビーム放っちゃうぞ、絶対にもう二度としないけど。

 オールレンジOKという自己申告に対して、御陵さんがお詳しいことで以前やったリンちゃんとの模擬戦について触れてくる。

 

 あの動画結構見られてるんだよね、なんか……でもあのへんの話をすると近くにいたのに立ち会えなかったって悔しさから香苗さんが悔しみに溢れた顔をされるのであまりしないほうが良いと思うの。

 ほら実際、隣で香苗さんが遠い目をして唇をやや噛んでいる。怖ぁ……一生引きずりかねないノリじゃん、重くない?

 

「よし、それじゃあ探査開始だ。みんな、行くぞ」

「はいはーい。いつメンに今日はスペシャルゲストの山形くん! ……まあその分カナちゃんがカメラ片手だから、若干機動性は落ちるかもだけど。ダイジョブ?」

「心配御無用です、御陵さん。私も探査者の端くれ、いざ戦闘ともなればカメラを持っていようが関係ありません」

「そもそも御堂の場合、変に動かずとも虹を架ければそれで終いだしなあ」

 

 仲良し4人組の、気心知れたやり取りを小気味良く聞きつつもというわけで探査開始だ。

 1人ずつダンジョンの出入口に入っていく。軽く数mほど落下すると、曲がりくねった細道が広がっているのが見える。

 

 多少、地形の情報は読み取っているのか、床や壁は木造になっていてあちこちにビール瓶が転がっていたりする。足元が若干忙しないね。

 あと、壁には居酒屋っぽい感じでビールのチラシやら広告やら、とにかく結構いろんなものが貼られている。その割に構造自体は普通のダンジョンなんだから、なんだか異界感がいつにも増して強いなあ。

 

 出入口が狭ければ道まで狭いから、部屋もなんだか小さそうだねこの分だと。

 とはいえ詰めれば横に2人分は並んで歩けそうな程度なので、多少息が詰まりそうというほどのものでしかないけど。

 前を歩く横山さんと御陵さんが、進行方向を見据えながらも言ってきた。

 

「最初の部屋は山形くんは待機でよろしく。ゲストをいきなり矢面に立たせるのもアレだし、俺達パーティの姿も見てほしいからね」

「カナちゃんの戦いは見慣れてるかもだけど、気心知れたパーティでの動きとかも見てほしいしね。長年培った連携、息の合ったコンビネーション。きっと山形くんの参考くらいにはなると思うし」

「分かりました。先輩方のお姿、勉強させてもらいます」

「S級の方々と肩を並べてるような山形くん相手に、そんな大層なものを見せられると良いんだけどなあ」

 

 まずは香苗さん達のパーティで戦ってみてくださるみたいだ。本来の彼女の仲間達、何年もともに死線を潜り抜けてきた中で構築された戦法ってのは率直に気になるところだ。

 鈴木さんはなんか、微妙に自信なさげだけどそれこそまさかって感じだ。たしかに名だたる大探査者達とこれまでともに戦ってきたけど、いずれも即興に近い形で組んだチーム戦ばかりだからね。

 はっきり言って連携という意味ではやはりそれなりのものでしかなかったと思うよ。

 

 その点、今回勉強させてもらえるのは正真正銘、長年の研鑽の中で培われた連携だ。

 おそらく認定式の際にも多くの探査者達と協力するような事態が起きそうな予感がしている今、こうした機会に恵まれたのは絶妙なタイミングだとさえ言えた。

 

「見えてきた。部屋だな……数は3、遠目から見て狼人間が2体とゴールデンアーマーか。いきなり同級帯の大物だな」

「問題ないね。いつもどおりに行けるけど、後衛は?」

「問題ありません、いつでも」

「よっしゃ来い!」

 

 遠くに見えてきた道の終わり、開けた空間。やはりいつもよりも小さめだけど部屋だ、そしてモンスターもいる。

 俺にとっては多少懐かしさもある狼人間と、あらゆる級において難関と言われるアーマー系モンスター。普通のB級ダンジョンとしてはいきなりかなりの強敵達だ。

 

 しかして問題ないと強く断言して、4人は構え、部屋の前に一旦立ち止まった。

 息を整え、互いを見て、それから俺を見て軽く頷く。戦闘開始の前触れだ。

 A級パーティ。その真価を俺はこれから、目の当たりにするのだ。




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