攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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救世伝道!プリズムコール・アークセイヴァー!!

「クエエエエエーッ!!」

「くあーっ! くああーっ!!」

 

 部屋に踏み入れた瞬間、一斉に敵と見做したか即座に仕掛けてきたB級モンスター、アゲハペンギンの群れ。

 嘴を開けこちらに向ければ、たしかに鋭い歯が無数にビッシリと敷き詰められて映えているのが分かる。集合体恐怖症の人には鳥肌モノだこれ!

 

 そしてその歯を、勢いよく俺達に向けて飛ばしてきた! まさしくミサイル全弾発射って感じで、向かって前方を埋め尽くして歯が迫る。

 それに対するは香苗さん。腕に装着しているリングを胸元に掲げ、気高くも凛とした眼差しで宣言したのだ。

 

「彩雲三稜鏡、我らを護りなさい!」

 

 瞬間、リング──彩雲三稜鏡が輝きとともに変性した。腕輪の状態から無形の粒子と化し、前方に見えざる壁、すなわちバリアの膜を形成したのだ。

 師匠である青樹さんからS級昇級の祝いにと贈られた、A級モンスター複数体の素材をふんだんに使って製作された最高級の武器であり防具、彩雲三稜鏡! その威力はB級モンスターの攻撃なんて、ものともせずにすべて弾ききった!

 

「くえああああーっ!!」

「──なるほど。前方から仕掛ける傍らで別働隊がしっかりと側面から接近、直接仕掛けてくるわけか、と。《清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師》」

「くえっ!?」

 

 前方から迫る攻撃をすべて捌き切る香苗さん。そちらは任せきりと言うことで俺は、横合いから突っ込んできたペンギン達を結界スキルにて遮断した。

 《清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師》。今回作成したのは極めて薄い膜のような空間、ほとんど仕切りのような結界だ。

 

 これをもってペンギン達と俺達との間を分断し、ナニモノをも寄せ付けない絶対防壁へと転じさせる。

 やや変則的な使い方だけどね。結界とはつまるところこちらとあちらを隔てる境界。であれば擬似的な防御壁としても使えるってわけだった。

 

「結界スキルをそのような使い方で……! 勉強になりますすごいですカッコいいです救世主様ぁーっ!!」

「怖ぁ……」

 

 そんな応用編を見ちゃったからか、まあ伝道師さんがはしゃぐことはしゃぐこと。

 基本的に《光魔導》を放つだけでいいもんだから、自身はカメラを構えてじっくりねっとりと俺を撮影している。

 

 これ、後で根掘り葉掘り聞かれそうだなあ……

 苦笑いしている俺の耳に、入口手前で見てくださっている横山さん達の話し合いが聞こえてきた。

 

「カナちゃんのハッスルぶりはアレだけどたしかにすごいよ! 何あれ、《防御結界》とは若干違う!?」

「なんらかの防御系スキルか。彼のスキルは一事が万事ぜんぶ不思議な名前をしているから、効果の識別ができないからな……」

「例のバフスキルに、ビームスキルに、おまけに防御系スキルか! なんでもありだな彼、物言いからすると広範囲攻撃スキルもあるんだろ」

「天才だな……レベルの高さもメチャクチャだが、何より手札が多すぎる。おそらくまだ隠し持っているぞ、彼は」

 

 さすがA級探査者達、俺の探査者としての性能をしっかり考察しようとしているみたいだ。

 そうだね、たしかに手札の多さは俺の強みと言えるだろう。元よりアドミニストレータは一人でなんでもできる仕様だもんで、その末裔といえる俺のステータスはたしかに全環境、全距離対応の特別仕様だ。

 

 だけどまあ、そもそもコマンドプロンプトだからね。手札が多い少ないの話でなく、俺こそが運営、ないしは製造販売元みたいなところがあるから。

 やろうと思えば割合なんでもありだ。まあこのへんは事情を知らないと見えてこないことなので、お三方からすれば俺はなるほど、手札を隠すオールマイティ山形くんなわけだね。

 

「そしてそこからの……《目に見えずとも、たしかにそこにあるもの》!」

「くえあっ!?」

「くぇぇええええっ!!」

 

 とまあそんなことはさておいて、ペンギン達を防いで俺は間髪入れずにカウンターを放った。先程自己申告していた広域浄化スキル、《目に見えずとも、たしかにそこにあるもの》だ。

 モンスター限定の、攻撃というより魂を浄化して輪廻に受け入れさせる効果を持つものながら威力は折り紙付き。異世界の魂を持つモンスターならばS級だろうがF級だろうが問答無用で浄化してしまえるよ。

 

「!! ならば私も、《光魔導》!」

「香苗さん?」

「この時がついに来ましたね! 公平くんのスキルに合わせてコラボレーションするべく、私も独自に技を開発していたのです!!」

「香苗さん!?」

 

 俺のスキル発動にすぐさま香苗さんが反応した。彩雲三稜鏡はそのままにスキルを発動、美しい虹をダンジョン内に架ける。

 俺だけでも問題なく部屋内全部のアゲハペンギンを浄化できるのに、どうしていきなり? ──悩む間もなく香苗さんは満面の笑みとともに叫んだ。その瞳に浮かぶのは、紛うことなき信仰の光。

 

 こ、この人! 俺のスキルに上乗せて合体攻撃にする用の技を開発していたのか、秘密裏に!?

 《目に見えずとも、たしかにそこにあるもの》の攻撃が始まる。魔法陣が部屋の床全体に描かれ、そこから蒼い焔が燃え盛って湧き出てきた。

 

 そして、それに合わせて──香苗さんの虹から、眩いばかりの光が放射状に放たれた! 俺の蒼炎と混じり合い、幻想的な煌めきが部屋中を演出する!

 なんだコレ、何これー!?

 

「名付けて! "救世伝道"プリズムコール・アークセイヴァー!!」

「名前までつけられてる!?」

「救世主様の尊き御業と不肖私、伝道師御堂香苗の虹が今、一つに!! これぞ救世の光が目指す理想を体現した世界と言えましょうっ!!」

 

 怖ぁ……かつてないテンションだこの人。俺に抱きついてすごいことを高らかに叫ぶ伝道師さん。なんなら顔を寄せ合ってくるからすごいいい匂いがしてくるほどだ。

 これ、いつもなら動揺しているところなんだけど。ここまで唐突な合体技披露にはさすがの俺も本気で驚いちゃってまるで反応できないでいたのだった。




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