攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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若者達の自由な切磋琢磨が、探査者の未来を作る

 まさかまさかの合体技で敵の群れを殲滅した俺と香苗さんに、後ろから見てくださっていた横山さん達もやって来て声をかけてきた。

 横山さんと鈴木さんは苦笑いって感じなんだけど、御陵さんは満面の笑みだ……香苗さんのテンションに対してそれぞれで反応が微妙に異なるのがまた、同期でパーティメンバーでもやはり関係性は個々で違うよねって思うよ。

 

「お疲れ、二人とも。あー、なんていうかすごいものを見させてもらったよ」

「山形くんのスキル、なんだっけ長ったらしいのももちろんすごかったんだが、何より御堂がなあ」

「カナちゃん特製合体攻撃! 山形くんも知らない間にそんなのを組み上げてるなんて、さすがだねえ!」

 

 概ね3人とも、気にしているのは当然ながら香苗さんの技だ。

 俺の《目に見えずとも、たしかにそこにあるもの》と組み合わせるためだけに開発された"救世伝道"プリズムコール・アークセイヴァー。その効果もさることながら演出、果ては開発に至った動機までもが興味の対象みたいだった。

 

 たしかに、俺だってビックリしたものすべてにおいて。

 いきなり合体技とか言われたのもあれば俺のスキルをブーストさせる方向性だったのもあるし、演出がド派手だったこともあるし、何よりテンションの高さから幾度も句読点さん達の気配が消えているってところもある。

 今もなんか、明らかにドヤ顔で腕組みして香苗さんてば、仲間達に向け語っているもの。

 

「フフフ! そうでしょうそうでしょう、これぞ伝道師の伝道師たるがゆえん! 救世主様の御業をあまねく世に示すための努力は一瞬たりとて欠かさない、これこそ私の生き様ですとも!」

「俺達との探査中も時折、何かを試すようによく分からない《光魔導》の使い方をしていたけど……アレももしかして今の技の開発のためだったのか」

「そうですね、概ねは。もっとも他の技の開発や出力制御に磨きをかけるための試行錯誤だったのもあります。こう言ってはなんですが意外に奥が深くて戸惑うところはあるんですよ、スキルの出力を使用者の任意で調節する技術というのも」

 

 どうやらパーティ探査の傍らでいろいろ、修行をしていたんだね。横山さんの言葉に頷き、テンションを若干落ち着かせてS級探査者としてのコメントをする香苗さん。

 今度はどこか難しげに、俺を横目で見ながら悩むように言葉を紡ぐ。

 

「この中では同系統のスキルを持つ鈴木が共感すると思うのですが。少なくとも魔導系スキルには威力や範囲において、いわばセミオートのような状態がデフォルトなのですよね」

「あーわかる。これ系のスキルって、出したい技を思い描けばある程度は実現できるんだけど細かな性能面は割と自動っていうか……それを御堂は自力でどうにかできたってのがすごいんだよ」

「すごい、というよりはたまたま先駆けになっただけでいずれは体系化されていく技術になるかとは思いますが……そうですね。本来オートになっている部分に自分の意志で手を加えることができた、これが私が打ち破れた壁と言えますね」

 

 魔導系のスキルの仕様について、それぞれ光と水の属性を操るお二人だからこその共感。スキル発動における威力や範囲の自動設定について、彼女達はうんうんと頷き合っている。

 まさしくその通りで、魔導系は使用者の手を加えやすい部分と加えにくい部分があるんだよね。

 

 ざっくりいうとスキル発動時に起きる現象と、技発動時の威力と範囲。これらはオペレータでは中々制御がしづらい部分で、技そのものの基本構成、イメージについては制御がしやすい部分となっている。

 特に現象の制御についてはほとんど不可能に近いだろう。アレはスキル保持者の心象風景を形にしているわけなので、手を加えるってことはその人の心そのもの、精神性に手を加える必要があるってことだからね。

 人道的、倫理的な面においてもあまり推奨できないところだ。

 

 て、今回香苗さんは威力や範囲の部分に手を加えることに成功したわけだね。スキルに対する深い理解と、本人の力量の高さ、想いの強さがあってこその芸当だ。

 そりゃS級にもなるよ。おそらく同じような系統のスキルを持っている人でも、彼女の領域まで辿り着くのは至難の業だろうね。

 鈴木さんも同じような感想に至ったのか、肩をすくめて晴れやかな目で彼女を讃えた。

 

「やっぱすごいわ、御堂は。そもそも魔導系スキルの威力や範囲を自力でどうこうしようなんて、思いつきはしても実践できるやつがいるとは思いもしなかった」

「他のスキルについても、威力や範囲が自動設定みたいになっているものであるなら誰しもに手を加える余地はあるでしょう。鈴木も今は無理かもしれなくても、今後の日々の中で開眼する可能性はいくらでもあります。なんでもそうですが、やはりまずはやってみることこそが肝要なのでしょうね」

「だなあ。俺もまたソロ探査して修行すっかなあ! 《水魔導》、まだまだ高める余地はあるもんな、きっと!」

 

 同期の星からのエールを受けて、一念発起したように気合を入れる鈴木さん。

 似たようなスキルを持つからこそ、近くに自分より前を行く人がいるってのは時にプレッシャーかもだけど、でも励みにもなったりするかもしれないんだね。

 

 横山さんや御陵さんもだけど無理しない範囲で、健やかな日々を送る中でそうした挑戦をしていっていただけたらなって思うよ。

 香苗さんのパーティを見ながら、俺はそっと内心にてそう祈った。




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