攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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素敵な故郷、朝からメイドさんを拝める町

 アーケード街を通って歩くこと10分ほど。香苗さんとの待ち合わせ場所であり織田の住まうマンションの近くにあるショッピングモールに俺達は辿り着いた。

 時刻は概ね8時45分頃。香苗さんとの待ち合わせが8時50分、織田との待ち合わせが9時すぎなのでまあまあ時間通りだね。

 ここからは神魔終焉結界を発動して、一応それらしい、探査者としての正装に身を包むことにしようかな。

 

 ちなみにこのショッピングモール、一階にはスーパーマーケットがあるわけなんだけど、ここだけ8時半には開店していてすでにお客さんの姿が外からでも見える。

 それ以外の、五階の本屋とかゲーセンなんかは10時開店だったりするので格段に早いわけだね。

 

 さらに言うとさっき通ったアーケード街の中には映画館もあったり駅前には漫画喫茶があったりして、いつも俺が通っている商店街と比べても幾分娯楽に富んでいる傾向にあるんだね、ここいらは。

 

「こないだは結局、映画見れませんでしたしー……また今度、見に行きましょうねシャーリヒッタ!」

「おう! あ、父様もご一緒にどうです? ちなみにオレが気になるのはサスペンス? 映画です! なんか面白そうだぜ!」

「映画かあ……良いね、そういうのも」

 

 俺が、梨沙さんや松田くん達と自由研究のために図書館に行っていたタイミング。あの時にリーベやシャーリヒッタはヴァールを伴い、今いるこの近辺まで含めて俺の家の周辺をウロウロしていた。

 その際に余裕があれば映画でも見に行こうか、という話をしていたみたいなんだけど、実際のところはショッピングモールのすぐ向かいにある漫画喫茶で3人、漫画を読んで過ごしていたみたいなんだよね。

 

 それはそれで楽しかったみたいだけれど、それでもやはり映画にも心惹かれるところはあったみたいで。

 だからこうして俺だって巻き込んで今度、誘ってきているようだった。

 

 俺としても映画を見るにやぶさかでないっていうか、別に気になる作品があるわけじゃないけどせっかくなら一緒に行くのも楽しそうだよね。

 直近はちょっと難しいかも──サークルだの過激派だのの一件もあれば、二学期だって始まるから毎日がホリデー! 状態から脱却してしまうからね。かなしい──だけど、いろいろ一段落した暁にはリーベやシャーリヒッタと映画を見に行くってのも楽しそうだね。

 

「……いた。香苗さんだ」

 

 と、ショッピングモールの入口手前に見慣れた姿を確認して俺は声を上げた。香苗さんだ。

 いつものスーツ姿で、何やらスマートフォンを操作している。こちらには気づいてないみたいだね。集中しているみたいだ。

 

 とはいえそのまま彼女に近づけば、彼女も普通に俺達に気づいた。こちらに振り向き、笑顔で手を振ってくる。可愛い。

 合流完了。俺達は彼女の傍まで辿り着き、そして互いに挨拶を交わした。

 

「おはようございます香苗さん。お待たせしてしまってすみません」

「いえいえ、私も今しがた来たところですよ。おはようございます三人とも、今日は記念すべき救世主様と神々との会談の場、間違いなく歴史に残る話し合いに同席させていただけること、心より感謝申し上げます」

「案の定なリアクションですねー……おはようございまーす、ミッチー!」

「ブレねえ姿、さすが伝道師だぜ! よっす、御堂香苗!」

 

 やはり予想通りの伝道師モードだ、彼女の中ではすでに織田との会談は歴史に残るイベントらしい。

 精霊知能達のそこはかとない感嘆を受けつつも誇らしげにむふー! と鼻息を荒くする彼女に苦笑いしつつも、俺はさて、と声を上げた。

 

「そうなると今度は織田ですね。彼だか、彼の遣いだかがそろそろこのへんにいてもおかしくはない……実際、なんか近づいてきてますしね、魂が人のものでないモノがいくつか」

「概念存在ですねー。現世に来るのにアバター使ってるんでしょうけど、リーベちゃん達と違って魂の規格は人間に合わせてはいないみたいですー」

「そ、そうなのですね……勉強になります。メモメモメモり、メモメモメモり」

 

 香苗さんに続いてすぐ、人間じゃなさそうな連中がこちらに向かってくるのを確認する。さっきから感じていた気配だけれど、いよいよ近づいてきているんだね。

 それなりにしっかり偽装や隠蔽、気配遮断を施してるみたいだけれど、システム側からすればそんなの関係なく分かるよ。それこそ俺なんてのは上空1km近くにいた織田だって、バッチリまるっと感知しちゃってるわけですからね。

 

 ちなみに精霊知能三姉妹と俺の魂は現在、規格を人間のそれに合わせて受肉している。

 単純に肉体に適合しないからダウンサイジングしているわけなんだが、概念存在が現世に来るにあたっては特にそういう処置は必要ない。

 本来意志も人格もなく、ゆえに現世に来るはずもなかったシステム領域のモノ特有の措置なわけだね。

 

「とはいえ結局はヒトの身体に収まるんだ。行使できる権能にはそれなりな制限がかかるみてェだが……と、来ましたね父様」

「みたいだな」

 

 シャーリヒッタの言葉通り、気配の主達がショッピングモールの向こう、マンションが乱立するあたりからやってきた。

 三人いる。男が二人、女が一人。いずれも執事服にメイド姿と、いかにも従者でございって感じだ。

 雰囲気だけでなく立ち居振る舞いにも気品を感じる。いわゆるコスプレさんというのでは説明がつかない、いずれも堂々たる姿だ。

 

 これガチのやつじゃん、あまりにガチすぎて町の風景から完全に浮いちゃってるよ怖ぁ……

 道行く人達もなんだなんだと3人を見てるし。これ、今からあの人達と絡むことになる俺らまで悪目立ちするやつだよ。ここ半年くらい個性豊かな方々と接してきた経験上、そーゆーの分かっちゃう。

 

 シャイニング山形、今度はメイドと執事を連れ回す──なんてゴシップ記事のタイトルを想起して冷や汗を流しながらも、努めて失礼のないようこちらも居住まいを正す。

 そしてメイドさんや執事さん達はすぐ近くにまで歩いてきて、告げてくるのだった。




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