攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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「探査者である前にまず伝道師です。当然でしょう」

「こういうのもなんですが……現世の住み心地の良さはすさまじいですね。このソファ一つにしても、まるで天上の心地だ」

 

 謁見ルームの最奥……という名のリビング。お高そうな1人用ソファに悠然と腰掛けワインなんて呑んじゃって、朝っぱらから織田くんが優雅に語っている。

 現世を褒めているが、俺からするとそうなんだ? って感じだ。いやそりゃ現世の発展具合ははっきり言って概念領域の比じゃないわけだけど、それはそれとして織田はオーディン、すなわち最高神だ。

 

 最高神なら現世にも負けないくらい素敵ですごい贅沢な生活をしてそうなもんだけどなーなんて、小市民ピーポープロンプトくんとしては思わざるを得ないわけですよ。

 さすがにそれをそのまま口に出すのは憚られるため、オブラートに包んで多少、マイルドに表現してみる。

 

「概念領域の北欧神話圏にも、なんかその、すごそうな家具とかはありそうなものだけど……」

「さすがにありませんよ。何しろ古びた神話、オールドファンタジーめいたイメージしか持たれていないのですから。魔術やら権能やらを使って快適な生活を実現させることはできますが、それでも文明の発展度合いでは現世に比べるべくもありません。はっきり言いましてね、羨ましいですよ、現世が」

「そ、そっかあ……」

「そうですとも」

 

 ニッコリ笑う織田。若干怖さを感じるんだけどこれアレかな、結局イメージによって左右される生活環境とかに思う所ありそうなのかな。あってもおかしくないよね、そりゃ。

 とはいえ神話なんてどこのだって古くて生活様式も古式ゆかしいもんなんだけど。だからこそ神話なわけだしね。

 

 やろうと思えば現世の模倣もできなくはないんだけどね、概念領域も。

 ただ現世のイメージが強ければ強いほど概念領域もそれに引っ張られるため、あまりイメージにそぐわないと模倣の産物が消滅しちゃったりして、生産性もへったくれもないんだよね。

 

 この場合で言うと北欧神話のヴァルハラだとかに冷蔵庫だのクーラーだのがあるわけもなく。

 魔術で鮮度を保存するとか、権能で気温を下げるとかはできても……現世のそうした機器そのものを作り出すことはなかなか、難しいのだった。

 

「なのでとりあえず家電類を買ってヴァルハラに送りました。科学文明を模倣するのは困難でも、現世で仕入れたものを概念領域で利用する分には問題ありませんからね」

「そ、そう……ちなみに、コンセントとか電気関係は……」

「息子の一人が雷神でして。彼の権能を使えばおそらくはうまく使えるでしょう」

「えぇ……?」

 

 怖ぁ……息子さん災難じゃん、親父の道楽につきあわされてるイメージがパッと浮かぶ。

 ていうかこの神、家族多いな普通に。こないだはなんか甥っ子とか言ってでっかいワンちゃんがやって来てたし、大家族なのかな。

 北欧神話についてはあまり知らないけど、なんか普通に仲良さそうで和む。

 

「雷神……息子ということは、かのトール神ですか。日本においても様々なメディアコンテンツでその名、その武器を耳にしますが」

「そうなんですか? ミッチー」

「ええ。ミョルニル、トールハンマー、タングリスニ、タングニョースト。他にはメギンギョルズなどなど……彼に纏わるものはファンタジー界隈では人気です」

 

 なんか詳しいな香苗さん!? 結構神話ガチ勢だったりするのかもしかして。

 でもなんかいつぞや、冬は漫画とかゲームとかばっかしてるって言ってた気がするぞ。たしか寒いの苦手なんだったか。それなら多少なりともファンタジーに造詣が深くなってもおかしくない、のかなあ?

 

 スラスラと息子のあれこれについて語る香苗さんに、織田も目を丸くして視線を向けている。

 同時に、彼女のことは知っていたようで俺と見比べてはああ……とでも言いたげな、何やら納得した顔をしている。

 なんだよう。

 

「御堂香苗。なるほど山形公平いるところに伝道師ありとの噂は真実のようですね。私は今回が初対面ですが、考えてみれば今まで出くわさなかったのがおかしいほどだ」

「……お初にお目にかかります、オーディン神。私は伝道師・御堂香苗。こちらの救世主山形公平様の教えを世に広め、その尊さ素敵さ素晴らしさを永遠に伝え導く使命を背負いし者。あとS級探査者でもあります、以後お見知りおきを」

「S級探査者という肩書がまず先に来るべきなのでは……いえ。人の主義主張や優先順位について、とやかくは言いますまい」

「怖ぁ……」

 

 おいおいおい、北欧神話の最高神が目を逸らしちゃったわ。伝道師さんの伝道師ぶりに遠い目しちゃったわ。ヤバいわ。

 思った通り寛大というか、他者を尊重するほうの考え方をする神みたいだね、織田。そのへん、俺とは気が合うと思うからこうして協力関係を結べたのはお互いにとって良かったのかもしれないね。

 

「何はともあれ、まずは腰を落ち着けて話をするとしましょう。どうぞそちらのテーブルにおかけになってください。今、何かドリンクを用意しましょう」

 

 と、窓際のテーブルを手で示す織田。次いで自分も立ち上がり、バーのカウンターかな? って広さのキッチンへと向かっていく。

 最高神自らの歓待か、すごい待遇だな……言われるままに動きつつも、俺は内心で驚いたりしていた。




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