攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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今話から数話、作中では大ダンジョン時代史について話す感じになります。このへんについては
大ダンジョン時代ヒストリア
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 委員会に関与、あるいは中核として参画している概念存在達への率直な批判を口にした織田。

 穏やかな微笑みにはどこか冷たい鋭さが宿り、その優しげな言葉にも隠しきれない嘲りが込められているように、俺には思えていた。

 

 うちの県が誇る湖を遥かに望む景色をバックに、彼は続けて語る。

 まずは概念存在の、委員会への参加の経緯についてを改めて明かしてくれるとのことだった。

 

「以前コマンドプロンプトにはお話ししましたが、元々、概念存在の大半は突如現世に訪れた大ダンジョン時代に対して基本的には静観の構えを見せています。これは100年前から今に至るまで変わりないスタンスです」

「成り行きを見守っている。あるいは観察しているという解釈で良いんですかね、それー」

「ええ。もっとも、大ダンジョン時代が到来して最初の10年ほどは、どうにかステータス関係の研究や分析を行えないかと委員会とは別口に動こうとしていたモノ達もいましたが……何しろその頃は現世も動乱の時代でしたからね」

 

 ことごとく失敗に終わりましたよ──と、苦笑を浮かべる。

 織田の言う現世の動乱とは、間違いなく大ダンジョン時代初期に起きたというオペレータを軍事利用しての戦争だろう。小学生の歴史の教科書にも載ってるレベルでの、世界大戦に等しい戦いだったみたいだからね。

 

 WSOが発足された直後、たしか92年前だったか? から何年か続いたとされるその戦いで初めて歴史上にソフィアさんの名前と姿が確認されたんだ。

 当時まだ成立したばかりだったWSOの前身組織が、そこから数年して世界的組織WSOへと変貌したことも含めて。このへんは大ダンジョン時代の黎明期にして創生期とも評する歴史家もいたりするほどに混沌とした時期らしかった。

 

「ですがそんな時期に合わせてすでに、委員会が結成されて動き始めていたのもまた事実……遡ること90年前、かの組織は初めて大規模な行動を現世にて起こしました」

「第一次モンスターハザードですね。WSOが大ダンジョン時代を牽引する組織となった決定的な契機でもあり、またソフィア・チェーホワの名を一躍世界に轟かせた、同時多発の人為的スタンピード事件」

「主にヴァールのやつが主導で事件を解決したって聞いてるぜ。ちょいとイカれた人間による犯罪かと思ってたらまさか、概念存在が絡んでたなんてなァ」

 

 前述の戦争、歴史的には能力者戦争とも呼ばれる大戦争が終わりを迎えるのと前後して、委員会は最初の騒動を起こした。

 人為的なスタンピードを連続して引き起こす、いわゆるモンスターハザードを世界各地にて引き起こしたんだ。そしてそこで大活躍したのがソフィアさんであり、ヴァールであるというわけだった。

 

 もちろん彼女はそれ以前から世界各地を精力的に周り、各国の有力者や探査者と人脈を築いて世界的な探査者組織の構想を練っていたみたいなんだけど……

 これを機に一気に世界中に名が知られて地位と名声を獲得することに繋がったんだから、人間何が起こるか分からないものだよね。

 

 つまりは第一次モンスターハザードなかりせば、WSOの台頭は成らなかったとまではいかずとも、年単位で遅れていた可能性があるのだからね。

 織田がワインを呑みつつ、香苗さんとシャーリヒッタの言葉に応える。

 

「ソフィア・チェーホワがよもやシステム領域と繋がっており、挙句の果てには精霊知能と肉体を共有している状態にあることのほうが驚きですよ。まったくWSOからしてシステム領域の息がかかっていたとは、ダンジョンのほうも事実上そうなのですから、しょせんこの世はすべてが掌の上なのですね。くくく」

「は、ははは……こほん、ええと、それで? 委員会はその当時から、結構な概念存在が関わってたりしたのかな?」

「いえ。最初は悪魔や精霊、妖精の1部がごく少数、様子見も兼ねてちょっかいを出していた程度のことらしいです。基本的にあの事件は、人間が主導して起こされた事件ですよ」

 

 システム領域のマッチポンプぶりに言及されるとゲフンゲフンとしか言えなくなるから、申しわけないが華麗にスルーさせてもらうこととする。

 代わりにこちらから質問すれば、意外な返事が返ってきた。最初期の委員会には悪魔のごく一部しか関わっておらず、事件の主な主謀はあくまで人間達なのだと織田は言うのだ。

 

 まあ、元からヴァール曰く人間の組織による犯行って説明もあったしな。当時の委員会はそういう性質で、後ほどより多くの概念存在が関与していったのだろう。

 とにかく最初のモンスターハザードにおいては、そこまで概念存在が大きく関わってきていたわけではない、という理解を持っておいたほうが良いみたいだった。

 

「委員会へ、本格的に概念存在の一部が出向しに行ったのは65年前、第四次モンスターハザードの頃だったようです。ちょうどあなた方のお仲間、マリアベール・フランソワが若くして活躍していた時代です」

「第二次、第三次は委員会が絡んでないんだったな。いわゆる模倣犯による仕業とか、前に聞いたけど」

「そうですね。それらに関しては委員会も概念存在もまったく関与していないものと見られます。完全に、人間達による犯行ですね」

 

 薄く笑みを浮かべて話す織田に、今度はこちらが苦笑いする番だ。

 分かっちゃいたけど、人間もなかなかやらかすよなあ。概念存在達の力も借りず、単独でモンスターを悪用して大事件を引き起こすなんてことを、立て続けに2度もだなんて。

 

 そしてその戦いにて、エリスさんや葵さんのお祖父さん、早瀬光太郎さんが駆り出されたってんだから……

 こんな迷惑な模倣犯もないって思うよ。




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