攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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どこの団体に所属するかで大衆からのイメージも変化する、みたいな話

 大ダンジョン時代における委員会の動き……いわゆるモンスターハザードとそこに絡んだ概念存在について、織田から報告めいた発表がなされていく。

 ソフィアさん、ヴァールが悪しき野望を挫いた90年前の第一次と、若き日のマリーさんが戦い抜いた第四次。

 

 その間にはエリスさんの活躍された第二次と早瀬光太郎さんが参加された第三次があったようだけど、その2つに委員会の概念存在は直接的には絡んでいなかった。精々が人間の出向者を数名、出向かせたくらいだね。

 委員会が次いで歴史上に姿を表したのは……44年前の第五次モンスターハザードと、37年前の第六次モンスターハザードにおいてのことだった。

 

「第五次においては第四次にも増して概念存在が多数参加していたようで、ぬらりひょんから聴取した結果ですが、妖怪もこの頃にはカテゴリ総出で参画していることが判明しました」

「半世紀も前から参加してたのか……」

「第五次といえば探査者の大家、アラン・エルミードが主立って解決に動いた事件ですね。フランスのS級探査者で、いわゆるトップランカー付近の超実力者です」

 

 香苗さんの補足も受けて、第五次について学ぶ。

 ぬらりひょんって、妖怪総大将さんだよね? 三途の川で相対してからこっち、織田は織田で聞き取り調査を行っていたんだな。

 そしてその結果、44年前にはすでに彼らは委員会に全面協力していたことが判明したと。

 

 妖怪については以前、鬼島を取り調べた結果すでに目的や動機は分かっている。

 ダンジョンや探査者を掌握し、概念存在の復権を果たすこと……謎の脅威たるモンスターや力を付けすぎたオペレータを見て、妖怪は自分達のアイデンティティが奪われつつあると焦ったみたいなんだね。

 

 おそらくは委員会そのものの動機の一つでもあるのだろう。

 織田に鬼島の供述を伝えると、得心したようにうなずいた。

 

「ぬらりひょんも同様のことを言っていました。彼らは概念存在の中では特に現世のイメージに干渉されやすいカテゴリなので、余計に危機感を持っていたようですね」

「つっても大半の概念存在は静観してるんだろ? 誰か気づいて、妖怪を止めるなりしなかったもんかねェ」

「私含め、最高神かそれに準ずる格であれば気づいているモノもいたとは思いますが……早い話、わざわざ対岸の火事に突っ込んで様子を見に行ってくれるモノ達なわけですから。止める理由もありませんね」

「怖ぁ……」

 

 ゾッとすることをサラリと言うなあ。つまりは織田含め概念存在の上層部は、暴走する妖怪を逆手に取って情報収集のための手駒に利用したってことじゃないか。

 ってことは少なくとも神々はある程度、妖怪について委員会について半世紀前から観察していたことになる。

 

 そりゃ織田も来るよな、俺に会いに。

 興味深い観察してたらいきなり、当たり前みたいな顔して彼らにとってのブラックボックス、因果律を弄り倒している得体の知れない陰キャがいたんだもの。泡食って釘の一つも差しに来るわこれ。

 なんとなく織田が動いた理由にもしっくり来るものを覚えたところで、ああそうそう、と彼は続けて告げてきた。

 

「妖怪ほどではありませんがこの頃、悪魔の一部派閥も本格的に委員会に参加していますね。また、そもそも委員会とは関わりないところでですが一部神話圏も現世に少しだけ干渉を試みていますよ」

「悪魔はともかく、神々も? さっき静観してるって言ってたじゃないですかー」

「基本的には、とも言いましたよ。さすがに半世紀も様子見していれば、焦れったくもなるものでしてね。中国神話、ギリシャ神話、あとは南米の神々がそれぞれ散発的に、担当する地域を中心にちょっかいを掛けています」

「ちょっかい……とかいって、まさかスタンピードを誘発させているとか言うなよな」

 

 リーベの指摘もサラリと受け答えての、しれっとした物言い。神々とて一枚岩ではないのだ、あたりまえだけどね。

 日本神話についてはどうも完全に距離を置いているようだけど、他の地域の神話圏については大ダンジョン時代に対し、多少の欲目を持つのも当然といえば当然だ。

 

 結局彼らも委員会や妖怪同様、モンスターやダンジョン、オペレータの存在は脅威であると同時に魅力的でもあるということなんだろうね。

 現状、どうにかしてそのへんを掌握できればそのカテゴリは現世を掌中に収めたも同然だろうし。最高神から下手すると創造神クラスの戦闘力さえ見込める人間達やモンスター達は、彼らから見てあまりに魅力的な諸刃の剣とも言えた。

 

 そうしたところを踏まえつつ、いやでもそれでやってることが委員会と同じだとしたら、それは承知できないぞと確認を取ったところ。

 織田はまさか! と慌てて手を振り否定してみせるのだった。

 

「あのように向こう見ず、かつ短絡的な大規模介入など神々でなくともいたしません。あくまでアバター体を使っての降臨と観察程度ですね……妖怪と悪魔くらいなものですよ、己らへの絶対的自信からか、余計な真似に加担するというのは」

「妖怪が自信家の集団っぽいのは、鬼島やぬらりひょんを見てもなんとなく察せたけど……悪魔もなんだ」

「むしろ悪魔こそですね。あの勢力は元々、神々や天使だったものが現世での扱いの変遷を経て悪魔に移籍したモノ達もいますから。元からして力と権威あるモノが、邪悪というイメージに引っ張られれば輪をかけて傲慢なり強欲なりといった属性も手にするものですよ」

 

 なるほどなあ。カテゴリの移籍に伴い、現世でのイメージにもいろいろ付随される要素があるわけで、その影響を受けちゃった結果というのもあるんだな。

 その概念存在の持つ特性が正に振れれば神、負に振れれば悪魔と。ざっくりだが言っちゃうとこんな具合に、コインの裏表の関係にあるわけだね、あのカテゴリ達は。

 

 神の中にも悪辣めな方や、悪魔の中にも話の分かる方もいるからもちろん一概には言えないけれど……

 それを差し引いてもなお、やはり神や天使が善側で悪魔が悪側というイメージは大きく、それに引っ張られるモノも多いというわけだった。




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