攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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100年経ってようやく会えた、大ダンジョン時代の仕掛け人達

 44年前に起きた第五次モンスターハザードあたりから妖怪、および悪魔の一部が委員会に参画し始めたという概念存在情勢。

 加えていろんな神話の神々も、委員会とは関わらない形で自分達の神話が伝わる現世地域にて散発的に介入していたという。

 

 昨今の倶楽部だのサークルだの実験室だの、各傘下組織が結成されるだけの下地はおそらくこのあたりで整ったと見るべきだろう。

 つまりは人間が主立ってテロ、犯罪に手を染めていた段階から、いよいよ概念存在が主導的立場となって能力者犯罪を行う段階へと至った時期だと言えるね。

 

「続く第六次においてはより顕著な形で概念存在がモンスターハザードの実行に関与していたらしく、当時の探査者達によって悪魔が数体倒されているのも判明しています」

「マジか……37年前だよな? そんな頃からすでに、人間と概念存在が直接衝突していたのか」

「もっとも、人間側にその認識はなかったでしょうがね。何しろ第六次モンスターハザード解決の立役者である探査者が事件捜査中、偶発的に出くわし、そしてモンスターと誤認したまま倒しきってしまったみたいですので」

「えぇ……?」

 

 なんか思ってたより間抜けな成り行きだぞ。ええとその立役者さんが委員会を探っているうちに偶然悪魔と出くわして、そのままモンスターだと誤解しつつ倒したと?

 いや、そんなのありえ……なく……もない、のか? 悪魔がどんなアバターで現世に来てたんだか知らんけど、モンスターと誤解されるような異形の出で立ちだったんなら勘違いしたままでもおかしくないし。

 

 にしたってそんなノリでキッチリと悪魔を倒しきっているのがすごいな、その探査者。本体でないにせよ、悪魔というカテゴリのモノは大概強力な権能を持ってるってのに。

 香苗さんがふむと考え込み、やがて俺達にその探査者について説明してくれる。

 

「フローラ・ヴィルタネンさんのこと、でしょうか? 第六次モンスターハザード解決チームの主要メンバーの一人で、四代目聖女でもあった元A級探査者です」

「元?」

「彼女は5年ほど前に引退していますね。55歳でした。現在では太平洋ダンジョン客船都市に住んでいると聞いたことがあります。あ、余談ですが第六次モンスターハザードはダンジョン聖教をターゲットに起きたのだとか」

 

 さりげないトリビアなんかも教えていただきつつ、悪魔殺しの探査者さんについての知識をいただく。

 そのフローラさんって方、今はもう引退されているのか……太平洋に住まわれてるかもって話でご年齢も同じだし、サウダーデさんもご存知っぽいね。今度機会があればお話を聞いてみたいかも。

 

 さておきそんな感じで、委員会が関与したモンスターハザードについて織田から軽くながらご説明いただいた。

 ちなみに26年前に起きた第七次モンスターハザードは完全に委員会が関わらなかった事件らしい。この時はこの時で対モンスター用機械兵装、通称AMWの試験機が戦線に投入されたとかで気になる話が目白押しなんだけど……今回は関係ないのでまたの機会に調べるとしようか。

 

 一連の流れを踏まえて、織田が締めくくる。

 

「そして、今回の第八次モンスターハザード。過去に例を見ないレベルで事前解決が図れたこの騒動については言わずもがな、これまでにはなかった極めて重大なファクターが存在します」

「…………システム領域。これまで立場柄ヴァール以外、決して関わってこなかった私達が今回、成り行き上でも初めて大規模に介入した」

「概念存在が絡んでるだけなら別段、介入しなくても良かった範疇ではあったんだが……連中はダンジョンコアの悪用だのバグスキルの悪用だの、挙げ句父様に害をなそうとするだの地雷を踏みまくってくれやがったからなァ。邪悪なる思念もぶっ潰した直後ってこともあり、オレらが動くにゃ十分だった」

 

 今回、倶楽部が引き起こさんとした第八次モンスターハザードはほとんど未然に防がれたと言っていい。

 一般人に被害が出ることはなかったし、大規模なスタンピードが発生しかけたのも二度くらいでそれも、参戦してくれた探査者のみなさんの尽力のおかげで即座に鎮圧できたからね。

 

 それに加えてなんと言っても織田の言うように、俺やリーベ、シャーリヒッタといったシステム領域側が事態の拡大を阻止すべく介入したのも大きい。

 これについては今言ってくれたように、倶楽部側がシステムを悪用しまくっていたからこその措置であり、また邪悪なる思念との永きに亘る戦いが終わった直後ということも関係している。

 

 ある意味現世にとってはベストタイミングであり、委員会にとってはワーストタイミングであったと言えるだろう。

 総評する俺達に笑みを向け、織田もまた率直な言葉でそれを認めた。

 

「間違いありませんね。くくく……ことの成り行きを観測していた我々、静観側の概念存在にとってもこれは大きな進展でしたよ。何しろ得体が知れないながらも、明らかに大ダンジョン時代の到来に大きく関与している存在がソフィア・チェーホワの他にも現れたのですからね」

「それであなたは居ても立ってもいられず、わざわざ俺に会いに来たってわけか」

「ええ。そして私に限って言えばさらに素晴らしい収穫に恵まれました。それは今、こうしてテーブルを囲んでいることが何よりも物語っていますよ」

 

 言いながらワイングラスを傾ける。

 なんとも上機嫌に笑う織田は、これ以上ないほどにご満悦の様子だった。




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