攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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あ……悪魔にだって派閥争いはあるんだーっ

 これまでの委員会の動向──概念存在とのつながりも踏まえてのそれを織田から聞かされて、俺はふーむと考えつつドリンクを飲んだ。

 スッキリシャッキリつめた~いりんごジュースが喉を潤す。何このジュース超美味しい!? もしかしてこれもめっちゃお高いやつなんじゃと内心、動揺しながらも彼に話しかける。

 

「概念存在が委員会に対し、これまでどのように関わってきたのかは分かったけど……肝心な話、結局あの組織の中核たる概念存在はどこのどいつなんだ? 一番最初から今に至るまで、委員会において主導的な立場にいるモノはいるんだろう?」

「それはまあ、もちろんいるでしょう。ですが実のところ、そこが私にとっても大きな謎でしてね」

 

 応える織田も、これまでのリラックスした表情から一転して、物憂げな、どこか険しさすら感じさせるものに変わる。

 断定できていないのか、この大神をして。好奇心と知識欲から、システム領域にまで辿り着くほどに行動力や調査力の塊だと言うのに。

 

 今しがたの説明では、肝心要の委員会の中枢、すなわち一番最初から現世に介入していたモノ達についてはまるで触れられていなかった。

 第一次時点ではごく少数の概念存在が参画していたとか、第五次以降に妖怪や悪魔が本格参戦してきたとかという話が主で、そもそもの結成の経緯についてはあまり詳しく語られなかったんだ。

 

 だが確実に、あの組織に対して主導者とも言える概念存在はいるはずで。織田もそのようなことを匂わせていたと言うのに、まるで分からないってのはなんとも不可思議かつ不気味な話だ。

 織田も不快げに眉を寄せ、腕を組んで続けて言う。

 

「あるいは現世に対して、一番はじめにコンタクトを取った概念存在。それが何者なのかについては予てより我々の中でも調査を行っていました。神々のみならず悪魔も、妖怪も、精霊も妖精もすべてのカテゴリが気にしていたところで、合同調査さえ何度か行われています」

「ほ、本当に総出なんだな。それでも分からなかったと?」

「……忌々しいですが、ええ。間違いなく何者かが関わっていることまでは掴みましたが、それがどこのカテゴリの、どこの地域のどのようなモノなのかまではまったく尻尾とて掴めず。苛立った悪魔王とギリシャの全能神が八つ当たりめいた宴を開いたことも何度となくあります」

「えぇ……?」

 

 何してるんすか悪魔王さんに全能神さん。ストレス発散にかこつけて呑み会とか、仕事終わりのサラリーマンさんみたいな話だよ。

 当たり前だが知的生命体だよなあーなんて唸らされるエピソードもさておき、俺はいよいよ訝しんだ。そこまで本気で概念領域が調査に乗り出しておいて、影も形も掴ませないナニモノか。

 気になる……非常に気になる。

 

 あるいはいずれかのカテゴリに属する概念存在であり、そのカテゴリが面従腹背で隠し通しているって可能性もあるんだけど。

 そこについて一応確認すると、織田はもちろんその筋も考えましたと答えてきた。

 

「考えられるとすればやはり、妖怪か悪魔でしょうね。委員会に与するようになった一部の概念存在の所属ですから」

「まあ、普通に考えりゃ怪しいのはそのへんだわなァ」

「表向き協力しつつも裏では敵と繋がっている、というのは妖怪や悪魔であるなら、なんとなくうなずけますね」

 

 シャーリヒッタや香苗さんも言う通り、この際一番怪しいのは間違いなく妖怪か悪魔だ。だってあの2つのカテゴリに属する連中が実際、委員会の下部組織である倶楽部とサークルに関与しているわけだしね。

 

 妖怪や悪魔ならそんなことしそう、という香苗さんの意見も、たとえばこれが現世内でのことならイメージでの決めつけ良くないって話なんだけど……

 現世の印象の影響を色濃く受ける概念存在だと、本当にそういうふうに思われてるからそうしたって感じで動きかねないところもあるし。

 現世の影響が悪く出ている形だね。織田も、苦笑いしながら言った。

 

「概念存在としましては、そういったイメージの影響も受けるから余計にそう動いてもおかしくはないでしょう。とはいえ疑問も残りますが」

「と、言いますとー?」

「まず妖怪の場合、神々や悪魔の調査から逃れるだけの権能など持たないだろうということ。単純に実力的に無理ではないかということですね」

 

 一つ指を立てての言葉。妖怪さん達には申しわけない話かもだけど、ぶっちゃけカテゴリの格から言ってもどれだけ一致団結したところで根本的に力が足りてないと思われるらしい。

 

 まあこないだの妖怪達と向き合った場面、あの時も織田の甥っ子さんがやって来ただけで全員、蜘蛛の子を散らすように逃げていったものなあ。

 甥っ子さんが強力だったにせよ、百鬼夜行でやって来ておいてのアレなのだから、勢力的な意味での力不足感は否めない。

 

「悪魔の場合は、そもそも一枚岩でないこと。カテゴリ内でも際立って派閥が多く、それゆえ争いが絶えない彼らに、他のカテゴリの目から逃げられるほどの大掛かりな団結ができるとも考えにくいのですよ」

「そんなに派閥あるのかよ……」

「ええ。堕天使、72柱、妖魔、魔神、悪魔王の軍団などなど……細かく数えればキリがないほどに。神々とて派閥内での内輪揉めはもちろんありますが、たとえば別々の神話同士で争うことはほとんどありませんからね」

 

 悪魔は悪魔で、早い話が内ゲバしすぎらしくてとてもじゃないけど一致団結しての裏工作などできそうにないのだとか。

 一口に悪魔と言っても由来、地域、在りようによって大きく異なるからね。かつては神々だったのが時間経過によるイメージ変遷で悪魔カテゴリに移籍する例もあったりするし、そりゃ派閥だってあるよなあ。




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