攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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こういう事態を統括理事が予見していなかったわけもなく──

 サークルに関与している悪魔達の、意外と人間に対して優しい契約関係による強化。

 それをもって非能力者を探査者級の強さにしているのだと織田は語ってみせたが、なるほどこれは盲点だった。

 

 そもそもサークルについて考える時、どうにもノイズになっていたのが拠点の多さ、人員の多さだ。

 アンジェさんチームによるととにかくダミーのアジトが多く、虱潰しに襲撃しては構成員を殴り倒して……というのを繰り返してるそうな。

 そしてそこまでしてもなお、本丸である真の拠点には未だ辿り着けていないっぽいんだよね。

 

 そこまで大規模なことができるなんて、どんだけ向こうには戦力が集結しているのか。

 日本中の犯罪能力者をかき集めたんじゃないか……とアンジェさんは愚痴っていると定期的に報告を受けているヴァールから聞かされたけど、実は半分くらいかそれ以上は非能力者でしたーってなると納得いくんだよね、いろいろ。

 

 探査者に匹敵する力を与える代わりに、自分達の手駒として動く代価を要求する……このやり方なら、そこらへんのチンピラさんや半グレさん達をスカウトするだけで人員確保できちゃうもんな。

 ほぼノーリスクだし、ちょっとの協力だけで探査者並になれるなら飛びつく人だっているだろうさ。

 

 今までに検挙されているサークル構成員達も今は取り調べ中みたいだけど、おそらくすでにバレてるんじゃないかな。

 彼らの多くが能力者ですらない、別口で強化されている非能力者だって。

 

 ていうかこうなると、能力者による犯罪組織って前提すら揺るがないかな、これ?

 ちょっとまずいことになってるかも知れないと、俺は懸念を口にした。

 

「大半が悪魔による強化を受けただけの非能力者なら、能力者犯罪捜査官が動く名目が無くなりそうな気がするんですけど……香苗さん。そのへんどうなんでしょうか」

「ふむ……まあ、結論から言えば問題はないかと思われます。あくまで私見ですから、本格的な見解はそれこそ話を持ち帰り、ソフィアさんなりマリーさんなりにお聞きしたほうが良いのでしょうけども」

 

 少しだけ考えてから、きっぱりと問題無しとの意見を述べた香苗さん。

 S級探査者として、大ダンジョン時代の法整備にも明るい彼女の意見は専門家のそれにも匹敵するだろう。

 

 そんな彼女が、あくまで私見としながらもきっぱりとサークルに対して、能力者犯罪捜査官投入の正当性を認めた。

 どういうことか続きを促せば、ハイとうなずいて続けて説明が行われる。

 

「サークルの行なっている犯罪行為、すなわちダンジョンコアの密売買そのものが能力者犯罪捜査官の動くべき案件そのものです。彼らが相手するのは能力者による犯罪が主ですが、能力者に纏わる犯罪に対しても動員されるのです」

「つまりー、探査業界の権利を侵害する非能力者相手にも動いたりするってことですねー?」

「そうなります。それから、これは推測なのですが……おそらくWSOは今回のような、ステータス由来以外の形で強化された人間による犯罪も想定して、能力者犯罪捜査官を設置していますね」

「何……? そうなのですか、御堂香苗」

 

 ダンジョンコアの密売買。

 サークルにかけられてる嫌疑がこの違法行為なわけだけど、まずもってこれが能力者犯罪捜査官的にはアウトであり取り締まるべき対象であるとのこと。

 これについてはなんとなく分かるよ。能力者に関係する事柄での犯罪もまた、能力者犯罪に分類されるだろうからね。いわゆる"ウチのシマ"を荒らすのならばそれが能力者だろうが非能力者だろうが関係なく、彼ら捜査官は動くのだろう。

 

 だが続けての言葉、WSOはそもそも今回のような強化された非能力者の出現を予期して能力者犯罪捜査官を設置したという言葉には織田が強く反応した。

 概念存在にとって、うまく立ち回れば穏当な形で現世に介入しうる手段を見つけた矢先、それ想定済みですが何か? みたいなことを言われたんだ。

 

 織田当人がその方法を使うかはともかく、なんかいろいろやりたがってるらしい概念存在を知っている身としては虎の尾を踏みかねない話だからね。

 慎重に耳を傾ける彼を横目にしつつも香苗さんの言葉を待つ。彼女はええ、とだけうなずき言うのだった。

 

「WSOが規定する能力者犯罪捜査官の運用に関しての国際法においては、捜査官の職務遂行範囲の一つを次のごとく定めています──"ステータス保持者、すなわち能力者に加えてそれに準ずる特殊能力を持つ存在による犯罪行為の取り締まり"と」

「……オイオイ。能力者に準ずる特殊能力を持つってのは、つまり」

「なんらかの形で能力者並に強化された存在。そう、今回で言うところの悪魔との契約を交わしたサークルの構成員も能力者犯罪捜査官のターゲットに含まれると解釈できます」

「わ、割とグレーな規定をしてるんですね……ステータスに関係ない超能力者なんて本来、WSOの管轄じゃないでしょうに」

 

 思わぬ強権ぶりを見せるWSOに正直震える。

 怖ぁ……さりげなく能力者以外の、世界の裏側とも言える超能力者達による犯罪さえターゲットにしてるじゃん。

 

 おそらくソフィアさんやヴァールによる、前もっての仕掛けだろう。

 いずれステータス以外の形で能力者に並び得る存在が出てくること、そしてその者による犯罪行為が行われた時のことを想定していたのかもね。

 

 能力者さながらなのに能力者じゃないから取り締まれません、ではまずいと思ったんだろうけど……ううむ。

 かなり強引な裏技と言うか、普通に組織として怖い一面を覗かせてきたなあ。時代を牽引する統括理事の本領と言ったところだろうか。




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