攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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見よ!大神さえも絶句する、コレが伝道師の例のアレだ!

 ソフィアさんから預かっていた質問も概ね回答してもらえた。これについては後程、今回の会談の内容そのものも含めて彼女に報告するとして。

 そろそろ話し合いも大詰めだ。ここに至るまでの様々な情報を互いに共有して、その上で俺は今後の予定についてを織田へと伝えることにした。

 

「知っての通り俺達は数日後、この国の首都圏に向かい香苗さんのS級探査者認定式の護衛に参加する。そしてその際にはサークルとダンジョン聖教過激派による襲撃が起こる可能性があるため、それに対処する」

「事態はすでに内閣から与野党トップ、警察上層部に全探組、WSOに至るまで把握されています。それゆえ参加者やマスコミも当初の予定より減らし、万一の際の避難経路もいくつも確保して備えているようですね」

「むしろそこまでしてそんな式、開きてぇのかって感じなんだよなァ、オレからすると」

「同感ですねー……わざわざ敵を誘き寄せるようなことに、ミッチーを利用してほしくないなーって思いもありますしー」

 

 香苗さんからの情報によると、もはや認定式は事実上の犯罪組織を一網打尽にする場になっているみたいだ。

 ゲストとして来られる一般の方々を減らしてなるべく巻き込ませないようにしつつ、ことが起きた時には速やかに安全な場所に退避してもらえるように避難準備もバッチリなんだとか。

 

 そこにシャーリヒッタとリーベが率直な意見を述べるが、正直俺としても同感だったりする。

 わざわざ、敵が向かってきてわやくちゃになるのが確定しているような機会に香苗さんの節目の式典をあてがわなくても良いじゃん? なんか別の名目の、当たり障りのない感じのやつに差し替えたりはできないんだろうか?

 

 いやまあ、もう時期的に完全に手遅れなんだけども。けれどもたしかに、そんな思いは俺にもあった。

 そんなところまで見抜いてか、苦笑いを浮かべつつ香苗さんは説明する。

 

「今から中止するとそれはそれで、莫大な損害が発生しますからね。マスコミを通じて広く触れ回ってしまった時点で、日本政府としても引くに引けないことではあるのでしょう」

「香苗さんは……それで大丈夫なんですか? せっかくの式典なのに、そんな」

「むしろ私としては望むところなのですよね、正直。元からして件の式典にそこまで熱意もありませんし、なんなら世を乱す不逞の輩を仕留める場として提供できたことで、多少は出向く甲斐もあったとさえ思っているほどでして」

「えぇ……?」

 

 なんか直前になって、すごいことぶっちゃけたなこの人。たしかに式典をやるよーって決まったあたりから今に至るまで、そこまで気合を入れた様子もない自然体だったというか、なんか微妙にどうでも良さげだった節はあるんだけど……

 まさかここまでハッキリと熱意がない、むしろいい感じに利用してくれて良かったと言うなんて。

 

 織田さえ含めて目を丸くする中、彼女はおもむろに立ち上がった。

 うっとりとした目で天を仰ぎ、胸に手を当て何か、スピーチでもするように大仰な身振り手振りをし始めたのだ。

 あーこれ、句読点飛びますね。

 

「そもそも政府の支持率稼ぎめいたこのような催しなどではなく私としましては当然我らが至高なる救世主山形公平様を讃え敬いその偉大なるお姿尊き教え果てしない慈愛の心底知れぬ慈悲の気持ちを我々現世に生きる者達に伝道する催しにしていただきたかったのが本音ですさすればサークルだのダンジョン聖教過激派だのといった何かを明らかに履き違えていそうな者達も救世主様の素晴らしさに気づき立ちどころに改心して自首し真なる信仰の道を歩み出せたはずなのです悔しいですこれは機会損失です大体なぜ私の時にだけS級探査者認定式などと晒し上げるような式典を画策するというのでしょうかそれをするなら愛知九葉さん相手の時にもやっておけば良かったんですよまあ彼女は彼女でどこか得体が知れないといいますか公安と繋がりがあるという噂も聞きますのであまり表舞台に出せないのかもしれませんがそれにしたって救世主様を尊ぶ式典こそ何より優先して国がいいえ世界が執り行うべきではありませんかですがまあ私もこうなったからには伝道師としてできる限りを尽くすまでです先日完成した我が究極の伝道奥義を披露してご覧にいれましょう私の想いと信仰と愛とそして山形公平様の尊さ偉大さ素晴らしさをほんの僅かにでもですがついに誰もが一目見て分かるような形になったのです楽しみですか楽しみでしょう私も楽しみですどうかご期待ください3日後我々救世の光は新たなステージへと突入するのです!!」

「怖ぁ……」

 

 ほら飛んだよ。句読点さんまーた飛んでっちゃった。

 ほぼ毎日ペースですっかり慣れたけど、だからといって馴染むわけもないこのマシンガン伝道。リーベにシャーリヒッタはなんだか楽しんでいる様子だけれど、織田は初めて食らったってのもあり完全に圧倒されているよ。

 

「こ、これが伝道師の伝道……!! なんという、その、すごいですね」

「ありがとうございます大神オーディン。どうですあなたもぜひ、我らが救世主山形公平様を信仰しては」

「いえ、残念ですが遠慮しておきましょう。概念存在が自分達の領域に拠らない、別の何かを信仰するというのはいろいろまずいですから」

 

 すごいですね、の一言を振り絞るように言って。続く勧誘の言葉も当然ながらスルーする。

 そりゃそうだ北欧神話の大神が日本の他称救世主くんを信奉なんてマジで笑い話じゃないもの。

 

 面白がってはいるものの、さしもの織田もドン引きは隠せないようなのが……

 どうだこれがうちの伝道師さんだよ、と白目でつぶやきたくなる気持ちの俺ちゃんだった。




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