攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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神でも悪魔でもタイミングは大事

 香苗さんの見解通り、やはり能力者犯罪捜査官は問題なく戦線に出られるらしいことが確定した。

 これによりアンジェさんチームは引き続き戦っていけるし、そんな彼女達に俺達も微力ながら、手助けができる。非能力者相手ってことで探査者が動けず、事実上システム側だけでどうにかしなけりゃならないなんて事態を回避できてまずは何よりだ。

 

 さておき、話はそこからスライドして概念領域側の話に移る。

 件の悪魔達のやり方。それに感化されて介入、とまではいかないけど干渉を試みるモノがいるかもしれないと織田は言っていた。

 

 能力者犯罪捜査官がそうした事態にも対応できることを受け、彼は彼なりに歯止めをかけるよう動いてくれるみたいだからそこについては期待したいけれど……

 とはいえ注意喚起はしておいたほうが良いんだろう。というわけでソフィアさんにも伝えておくと、彼女は難しい顔をしつつもうなずいた。

 

「なんらかの手段により、人間に害を与えない形で力を与える……それならば我々WSOを刺激しない、と。たしかに微妙なラインではありますが、そもそも時期が悪すぎますね」

「ただでさえ委員会絡みでいろいろやってるのに、そんなところにしゃしゃり出られても困るんさね、そんなもん。織田ってのが止めといてくれるんなら良いんだけど、仮にそういう干渉が確認された場合、こっちとしちゃあ対処せざるを得んかもねえ」

「ですよねー」

 

 正直なところ、危害のない形で力を与えるってだけならグレーというか問題はないんだよね、システム的にも。

 神や悪魔、あるいは超常のモノが人に力を授けた、特にデメリットはない……なんてこれまでの神話や伝承、寓話においてそれなりにある話だし。

 

 なんならそれを皮切りに現世に何か仕掛けてきたとしても、それは概念存在の意義に関わるものでもあるんだからコマンドプロンプトとしては特にコメントもない話なんだよ。

 ……それをもってシステムを悪用している連中がいなければ、の話だけれどね。

 

 結局そこなんだ。スレイブモンスターだのスレイブコアだのバグモンスターだの、果ては異世界の神だのを使ってさえいなければシステム的にはああ、いつもの概念存在による試練とかソッチの話ね、で済むんだよ。

 それが今回は思い切りやらかしてくれてるから、俺やワールドプロセッサ、精霊知能、そしてWSOもここまで敏感かつ迅速に対応せざるを得なくなっているわけなんだね。

 シャーリヒッタが腕組みして、唸るように言う。

 

「よーやっと邪悪なる思念を撃退したってのに、直後にこの騒動だもんなァ。システム側も正直ピリついてるところはあるし、ヴァールなんざ実際のところ一番頭にきてるんじゃねえかなぁ」

「大ダンジョン時代特有の各現象に、概念存在は危機感とともに好奇心や野心を抱いているようですから無理もないのでしょうけれど……それらを用いて仕掛けてこなければ、少なくとも山形様までもが動くことにはならなかったのでしょうね」

「まあ、そうですね。バグスキルやスレイブコア、異世界の神のことがなければそれは、現世と概念領域の間だけで決着をつけるべき話ですし」

 

 人間・山形公平としては心苦しいけれどシステム・コマンドプロンプトとしてはそれが本音だ。

 システム領域にちょっかいをかける形で動いてきたからこちらも対応しているのであって、そうでなければ好きにすれば良い、というのが基本スタンスなのである。

 

 だからそういう意味でもあと数百年くらい、待ってれば良かったのになあ……と委員会の概念存在達に思うところはあるんだよね。

 

 邪悪なる思念に喰われたすべての魂を輪廻に受け入れきった時、ダンジョンもモンスターもこの世から去り現世が定義するところの"大ダンジョン時代"は完全に終焉を迎える。

 となればダンジョンコアもへったくれもなくなるわけなので、手出しするならそこからにすれば良かったんだよ。異世界の神についてだけは動くけど、それ以外ならたぶんノータッチだったんだから。

 

 スキルやステータスこそ現世に残るだろうが、システム領域が手を出してこない。そんな時代が到来してからこそが狙い目だったものを……

 彼らの立場からすれば知る由もないこと、ゆえに仕方ないんだが時期尚早に過ぎた。俺の立場からはそう言わざるを得ないのだった。

 

「まあ、そんなこんなで一言で言えば"時期が悪い"に尽きますね。織田もそこは認めているからこそ、概念領域に自制を求めていってくれてますから」

「ありがたいことです。北欧神話の大神オーディン……機会があればぜひ一度、直接会ってお礼を申し上げたいところですが」

「委員会絡みの騒動が終われば、そういう場を設けることもできるかもしれません。お膳立ては俺がしてみますよ」

「そん時ゃ私も同席させてもらおうかねえ? 神話に名高き最高神、どんなもんかちょいと興味があるんさね、ファファファ!」

 

 織田ことオーディンとは、ソフィアさんやマリーさんも一度直接会いたいみたいだ。まあさすがに、俺経由とはいえいろいろ現世のためにしてもらってるしね。

 今はお互い難しい立場だからなんとも言えないけど、諸々一段落したら改めての対談の場を設けることはやぶさかでもない。

 

 その時には俺の周囲も落ち着いているだろうからね……

 ま、とりあえずは直近のことを一つ一つ、クリアしていくしかないか。




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