攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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「それでは我々はこれにて御暇いたします、山形様。今日は大変な会談を為されたこと、本当にお疲れさまでした」

「明後日にゃあいよいよ首都圏入りさね。一気に事態が動き出すだろうし、明日はゆっくりのんびりすると良いさね、私もそうするしね。ファファファ!」

 

 そう言ってソフィアさんとマリーさん、二人が帰っていく。織田との会談についての話やそれを受けての今後について、大体のことを話し終えての解散だ。

 最終的に明後日、午前7時にまたぞろ迎えに来るよー的な段取りだけして、俺達は残り僅かな休日を楽しむモードに入ったのだった。

 

 どうも今回は車で首都圏に向かうのでなく、なんと新幹線を一車両貸し切りにしてみんなで向かうらしい。

 家から新幹線停車駅のある隣県に向かい、そこから乗り込むわけだね。メンバーも倶楽部案件でともに戦った仲間達だけでなくWSOのエージェント、能力者犯罪捜査官、そして全探組からもスタッフが何人かと大所帯での移動のようだった。

 

「新幹線とかワクワクなんだけど! めっちゃドキドキするんだけど!!」

「はームカつく! 兄ちゃんばっか新幹線とかリムジンとかムカつく! お土産買ってきてねムカつく!」

「ムカつきすぎじゃない!?」

「きゅう?」

 

 不肖わたくし山形公平15歳、今度の秋で16歳。中学の修学旅行ぶりに新幹線に乗ることが確定しましてやたらめったらウッキウキです。

 そんなだから晩御飯の時もはしゃいでたら隣の妹ちゃんに嫉妬丸出しで土産を催促されてしまった。その近くではもそもそご飯を食べているアイが首を傾げて鳴いている。

 

 土産については俺としてももちろん買い込むつもりで、なんなら買った傍から空間転移で家に送ろうかとさえ考えている。

 宅配いらずの山形くんとは俺のことです。なんてきりりとした顔をしながら言うと、さっきまでぷんすこぷんぷん丸だった優子ちゃんも途端にニッコリして、

 

「さっすがお兄様! お菓子とジュースと焼きそばパンよろしく!」

「焼きそばパン!? 首都圏でなんかあんの、そういう有名なやつとか。あるなら買うけど、俺も気になるし」

「う。いやその、ノリで言っただけです……ちょっと焼きそばパン買ってこいよ的な感じで……」

 

 などといったやり取りを俺と交わす始末だ。パシリかな?

 言った本人はスベった感が出たことで顔を赤らめるし地獄である。やめなさいリーベ、生温い笑顔で優子ちゃんを見るんじゃない!

 

 とまあいつもの晩餐というか、とても明後日には認定式とかサークルとか過激派だとかが跋扈する、ドタバタ首都圏に殴り込みをかけるとは思えないほどに単なる旅行感が出ている食卓である。

 なんなら土産の話については父ちゃんも母ちゃんも普通に反応してくるし。

 

「すぐに送ってくれるってことは鮮度を気にしなくてもいいのねえ……ちょっと有名な市場があるからそこでお魚とか買ってきてくれる?」

「えっ魚?」

「酒とツマミ買ってきてくれ、酒はなんか向こうの地酒的なやつな。未成年だけど大人同伴なら買えるだろ、よろしくな!」

「お酒まで!? いやまあ、ベナウィさんあたりなら喜んで付き合ってくれるだろうけど」

 

 だからって未成年の息子の土産に酒を要求するのか……アッ母ちゃんが父ちゃんの耳をつねった! やっぱりさすがにソレはなしですねはい、良かった良かった。

 じゃあ行ければの範囲で魚介類とか、あとツマミだね。それに加えてお菓子にジュースと。いやはや空間転移様々だわこれ、コマンドプロンプトとして覚醒していることをこんなに頼もしく思える時も早々ないよ。

 

「土産かァ。リーベよォ、オレらも行くからにはなんか買っても良いかもなー、この家のみんな宛によォ」

「探査者の友達にも送りたいですから、それはいいアイデアですねー! えへへ、お土産、お土産!」

「……リーベはともかくシャーリヒッタは金持ってるのか? 受肉したのこないだで、そっから探査者登録も今ヴァールに頼んでやってもらってる最中だし稼ぐあてはまだなくないか?」

 

 リーベとシャーリヒッタも土産となれば興味津々だ、何やら買って帰ろうと考えているみたいだね。

 ただ探査者としてすでに働きだしており、友達やパーティメンバーもそれなりにいるらしいコミュ力天使リーベちゃんとは異なり、そもそも受肉したのがつい先日なシャーリヒッタは土産ったって買う相手が山形家のメンバーしかいない。

 

 加えて、それ以前に金持ってるの? って話でそのへんどーなってるのと聞いてみる。特に考えてなさそうなら俺のほうから用立てようかな。

 だがそれに対してシャーリヒッタは、へへへッ! と勝気に笑い、即座に答えたのである。

 

「そこは抜かりないですよ父様! ヴァールが受肉した精霊知能のためにって資金をプールしてくれてるんで、それを使います!」

「…………資金をプール!? 何それ、そんなことしてたのあの子!?」

「統括理事としての報酬の何割かを、今後受肉する子達のスタートアップのためにプールさせていたみたいですよー。いわゆる基金的なアレですねー」

 

 まさかのヴァール、とんでもない先読みぶりである。能力者犯罪捜査官の件といい、あの子すごいないろいろ!

 っていうかそんな、今後現世にやって来る精霊知能達のことまで考えて動いてくれていたなんて予想外にもほどがあるよ。いやまあ、やるかやらないかで言えばやっててもおかしくないくらい、真面目で律儀な子ではあるんだけどさ。

 

 受肉してくる精霊知能達が、生活環境を整えるためのさしあたっての資金提供。そのために彼女は自らに与えられた報酬を少しずつ貯金し、いわば精霊知能基金とでも言うべき口座を用意していたらしいのだ。

 聞けば受肉したてのリーベも多少世話になっていたらしい。あまりの用意の良さに開いた口が塞がらないとはこのことだよ。

 

「今はヴァールとリーベちゃんだけですけど、受肉した精霊知能が生計を立てる段取りが付けば全員加入することになりますねー。毎月の収入から何%か、その基金に払い込む形になりますー」

「つまりはオレもそのうち、その基金を支援するってわけだな! 今後インターフェイサー絡みで受肉するやつが増えてきたら、そん時こそ役に立ちそうな話だぜ!」

「逞しいなあ、いろいろ……」

 

 精霊知能の現世での活動。それを見越して基盤を構築していたヴァールも然ることながら、そこに加わり今後やって来る後輩達のために精霊知能基金を支援するつもりのリーベもシャーリヒッタもなんていうかすごい。

 立派な活動してるなあ……と、本心から感服するしかないよ。




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