攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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光のドーナツ現象ってなんだよ(困惑)

 シェン一族とエリスさんとの意外なつながり。そこに大ダンジョン時代の歴史の長さを感じさせつつも車は隣県へと到達した。

 目的の駅まではまだもうしばらくかかる都合、俺達もそれなりにリラックスして雑談に興じている。今の話題はもっぱらのところ、やはりというべきかリンちゃんの話から派生しての、エリスさん周りのお話だったね。

 

「第二次モンスターハザード……78年前とはすさまじいですね。俺が生まれる18年も前から戦い続けてこられたエリスさん、あなたの偉大さを物語るものでもありますが」

「たしか先輩は15の時分にスキルを得たんでしたねえ。ってことは実質81年前、私がまだ2歳かそこらん時にゃもう探査者だったってことですか」

「ハッハッハー具体的な時系列示されるとちょっぴりダメージ入るー。でもそっか、そんなになるよねー。あのマリーが83歳だもんねー」

 

 サウダーデさんをして感服せしめるほどの来歴。マリーさんがまだまだ幼い子供だった頃から、エリスさんはすでにステータスを得てモンスターと戦う道を歩んでいたんだ。

 その年季たるや脅威の80年超え。ぶっちぎり1位はもちろん元アドミニストレータであるソフィアさんなわけだけど、それに続いての2位は紛れもなく彼女なんだろう。そう思うことになんの違和感もない数字だ。

 

 話を聞くにどうやら、第二次モンスターハザードってのもなかなか広域で起きていた事件みたいだ。

 第一次が能力者を軍事利用しての世界大戦、通称能力者大戦の末期に起きたことらしく世界規模で起きていたって話だけど……第二次はそこまでの範囲でないにせよ、なんと北欧のほとんどの地域を舞台にしてスタンピードが頻発させられていたとか。

 ヴァールが懐かしむように上目で車の天井を見つめながら、語る。

 

「第二次の時はなんというべきか……北欧を巡りながら仲間を増やし、そして敵組織の拠点や幹部を少しずつ潰していく、旅路のような形での戦いだったな」

「ふむ? WSOがチームを組んだりはしなかったのですか、ミス・ヴァール」

「組んではいたがワタシは単独行動をしていた。第一次の時もそうだが当時はまだ探査者達のレベルが軒並み低くてな。全力で戦うにあたり、やはりそちらのほうがやりやすかったのだ」

「あー……大ダンジョン時代始まって20年かそこらってくらいだと、やっぱ今ほどオペレータの天井も高くなっちゃいねーわな。ベテランでも最長20年かそこらってくらいだろーしよ」

 

 なるほど。シャーリヒッタの言うように、たしかに78年前ともなると探査者社会的な枠組みはできていても未だ発展途上。

 レベルも今のような、トップクラスともなれば平気で1000を超えるような段階ってわけでもなかったんだろう。

 

 だからヴァールは単独行動同然に北欧を動き回り、第二次モンスターハザードを引き起こした組織を捜査していたってわけだね。で、その過程でエリスさんと知り合ったと。

 

「話の流れと、何よりエリスに大器の予感を覚えたワタシは特例的に彼女を仲間にし、二人旅へと移行した。そこからだ、行く先々でスタンピードに対抗していた探査者達と知り合い、仲間として迎え入れ……最終的には先ほど言ったメンバーでのパーティを構築するに至ったのだ」

「ハッハッハー! いやーなっつかしい。ちなみにエリスさん、当時は近所のダンジョンを踏破するくらいなだけの素人に毛が生えたレベルでしかなかったからね。そりゃーもう盛大にみなさんの足を引っ張ったとも」

「何を言うか、パーティリーダーが。先導こそワタシだったが、お前はすぐに成長して仲間達とも打ち解け、やがてはみんなの精神的支柱にすらなってみせたのだろうに」

 

 軽口を叩きあうヴァールとエリスさん。歴戦たる二人の気のおけないやり取りって感じで、この場にいる後輩探査者はみんな感嘆とも感動ともつかない吐息を漏らしている。

 すごいね、マジで……世界規模の犯罪事件に対し、その都度真正面から立ち向かっていった時代の英傑達が今、マリーさん含めてこの場に三人も揃っているんだもの。

 

 加えて言えば葵さんのお爺さん、早瀬光太郎さんも第三次モンスターハザードにおける事件解決の立役者なんだっけか。

 サウダーデさんやベナウィさんが第四次モンスターハザードで大活躍されたマリーさんの弟子筋の方々なのも含めると、あらやだ山形くんファミリーの三人以外この場、関係者の集いじゃないか。

 

「はっはっはー! 私の祖父も第三次でしたっけ? の折に活躍してましたし、なんかすごいですねー歴代主役とその縁者大集結! みたいな」

「うむ……身が引き締まる思いだ。此度の戦いにおいては公平殿が中心となるだろうが、先達として俺もしっかりとできる限りの力は尽くさねばな、ベナウィ」

「そうですねえ師匠。ましてやミスター・公平の場合、下手すると一人で事件解決まで持っていけなくもなさそうですから余計にこちらも力を入れなければなりませんよ。S級探査者やそれに準じる探査者達が雁首揃えて賑やかしでした、などというのはさすがに受け入れがたいですからね」

「うん! 私も当世の星界拳正統継承者として、始祖様やラウエン様に負けない戦い、見せつける!」

 

 えぇ……?

 葵さんやサウダーデさん、ベナウィさんやリンちゃんがなんか俺を引き合いに出して発奮してらっしゃる。

 気合十分なのはもちろん頼もしいけど、俺が中心とか言うのはちょっとその、怖ぁ……

 

 こんな陰キャ中心にしたら光のドーナツ現象起きるよ? そもそもシステム領域は今回サポートメインなんだから、あまりハードルガン上げしないでほしいんですけども。

 いやまあもちろん手を抜くつもりもないけどね!? と複雑な思いのままに、いよいよ見えてきた目的地の駅を車の窓から眺める俺ちゃんでした。




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