攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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旅先で回すガチャは良いぞ、なんか当たる気がする(気のせい)

 ぐんぐん進むぞ新幹線。ガンガン変わるぞ窓の外。

 というわけであっという間にうちの県さえ通り越していくとんでもないスピードの中、俺達はしばしの歓談を楽しんでいた。

 何しろ普通にやることがない。一応ソシャゲくらいは触ろうかなーとか思うものの、わざわざ身内で固まってる中で一人だけスマホ触ってるのもなんだかなーって感じ、しなくもないからね。

 

 ……と、思ってたんだけど。

 俺の隣で普通にスマホゲームしながら持参した漫画を読み漁るエリスさんがそこにいて、俺は困惑しちゃったりしていた。

 

「えぇ……?」

「ハッハッハー、せっかくだし10連引いちゃうぞー。普段行かないところで引くガチャは記念にもなるし、よしんば高レアを引き当てられたらなんかこう、縁起の良さみたいなのも感じるからねー」

「はっはっはー! さっすが師匠、いつでもどこでもところ構わず我が道を行く! 携帯ゲームも持ち込んでますもんねー」

「まあねー。いやー割と長生きしてるけどここ30年くらいは娯楽が富みに富んでいて最高に楽しい世界で助かるよ。漫画にゲームにアニメにネット、このエリスさんをしてまったく飽きさせることのないコンテンツが目白押しだあ」

 

 

 すごいよこの人、スタンプラリーくらいの感覚でガチャ回してる。いや言ってることは正直俺もわかるんだけどね。

 旅行先とかちょっとした遠足先とかで回すガチャってたしかになんか、特別感ある気はする。少なくとも自室でダラダラしながら回すのとはちょっと風情が違うというか、何かが来そうな気がするというか。

 

 なんならその出先が寺とか神社ならさらにそんな感じは強まる。パワースポットなんだから運気を貯めて来い! 俺のお目当てSSR! みたいな。

 もっとも、あくまで"そんな気がする"ってだけで当然ながら自宅でもどこでも回すガチャなんて当たる時は当たるし外れる時は外れるものなんだけどね。

 ほら、現に横目で見るエリスさんのスマホ画面、ちょっとグロテスクな結果が出ちゃってるし!

 

「…………」

「ほほー? Rばっかり、レアってことですかこれ? 当たりなんですか師匠? 葵さんこの手のゲームしないからなんともはや分かんないんですよねー」

「……………………ハッハッハー。さてゲームなんかしてないで楽しくお喋りでもしようかみんなー!」

「怖ぁ……」

 

 俺がやってるのとは別のゲームでガチャを回していた彼女なんだけど、レアリティ表記や登場時のエフェクトなんてのは大体似たりよったりというか……いわゆる低レアは控えめで高レアは派手めなのは変わりないわけで。

 で、今しがたのスマホ画面にはまあ無味乾燥とも言うべき特に何もキラキラした感じのないユニットがずらりと10体。そうだね、爆死だね。

 

 新幹線に乗った記念10連ガチャ、ものの見事にアレだったね。

 これにはさしものエリスさんもいくらか黙りこんだ後、葵さんの無邪気な質問に朗らかな笑みを浮かべてすべてをなかったことにした。

 きっと今の10連はなけなしの石を使った身を切るような一投だったのだろう。その果ての結果に思わず心にて合掌する。南無南無。

 

 エリスさんの様子を見聞きしていたのだろう、マリーさんが呆れ返った調子で彼女に話しかける。

 

「何をやってんですかい、先輩……本当にどハマリしてますねえ日本のオタクコンテンツに」

「ハッハッハー、いやこれがなかなか楽しいんだよ本当。マリーもやってみる? SNS紹介するよ?」

「遠慮しときますよ。私ゃネットなんてのは時代劇を見るくらいにしか使わんもんですし」

「かくいう君こそ云十年と時代劇フリークじゃないかー」

 

 お互い様〜とエリスさんの言うように、ぶっちゃけ時代劇へのマリーさんの傾倒ぶりもなかなかのものだ。

 普通ハマったからって実生活の、しかも探査者としての生命線とも言える戦闘スタイルを著しく変えるなんてしないと思うんだよね、俺。

 

 元々は孫のアンジェさんのような、割と正統派な剣士スタイルだったのをある日見かけた日本の時代劇に感化されて居合スタイルに変えたっていうんだから、のめり込み方の深度も方向性もとんでもないよ。

 何よりヤバいのは、それで実際にスキル《剣術》を《居合術》に進化するまでスタイルを自分のものにしちゃったことだ。

 

 要はアニメのヒーローの戦い方を真似てたら自分自身のオリジナルとして確立できました! みたいな話だからね。チートだよこの人。

 エリスさんも同じようなことは考えていたらしく、それこそ呆れた表情でマリーさんに言い返していく。

 

「君は昔から前のめりというか、思い込んだら一直線なところがあってそこが長所であり短所でもあったんだけど……その最たる例が居合スタイルだよね。モノにできたから良かったものの、中途半端にまでしか体得できてなかったら弱体化もいいところだよ、若い頃と比べて」

「ファファファ! ま、そこはこのマリアベール様の才覚の成せる業ってやつですよ。そもそも《剣術》だろうが《居合術》だろうが振り回す得物は同じなんだ、だったら私にゃ扱える。大事なのは自分の芯を外さないってことですさね」

「そういうとこ、18歳の時分から変わんないねえ。頑固とも取れるけど、私はそこは君らしい信念だと思うよ。65年経っても変わらない、やっぱり君は若くても老いていてもマリアベール・フランソワさ」

 

 時を超えても変わらないもの。移りゆくすべてのなかでなお、変わらないもの。マリーさんの信念、そして探査者としての中核。

 それを改めて示されて嬉しそうに話すエリスさんの姿がどこか印象深い。

 

 彼女自身が不老という変わらない存在であるからこそ……

 老いていっても変わらない精神性の部分に、感じ入るところはあるのかも知れなかった。




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