攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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見た目は瓜二つでも中身は天と地の差がある祖母と孫

 長らく楽しんでいた新幹線での一時ももうじき終りを迎える。そろそろ到着時刻に近いからだ。

 つまりは首都圏の駅に到着するわけで、いよいよ現地入りするってことなんだね。若干緊張。

 

「えっと、アンジェさんチームとはどこで待ち合わせるんですか?」

「駅正門の広場を予定してますね。引率のリーダーについていけばまず迷いませんので、その通りにしていただければ問題ないかと思われます」

 

 新幹線を降りた後の行先、つまりは現地の能力者犯罪捜査官チームとの合流場所を訪ねたところ、ソフィアさんからはこのような返答が来た。

 まあそうだよね、勝手に動くから迷子になるんであって、道を知ってる人についていけば間違いないはずなんだ。

 

 なんだかドキドキしてきた。首都圏もこれで一応三回目の来訪なんだけど、今回は不思議と特に緊張する。

 なんていうか、窓から見える風景がやっぱり関西とは若干異なる空気を纏ってるからかな? ホームじゃないところに来てるんだ〜って感じがすごくするもの。

 

 まあ実際のところ到着したら、なんてことはないんだろうなーって思っていると前の座席でマリーさんがいつもの笑い声をあげた。

 

「ファファファ! アンジェはサボらず仕事しとるかねえ? いやはや不肖の孫だ、みっともなくっても笑わんといてやってくれよ、クリストフ」

「とんでもない! むしろ伝え聞く話だけでも大層立派な方ではありませんか。少なくとも齢21の頃の俺では、能力者犯罪捜査官として世界を股にかけての活躍などできません」

「孫相手には普通優しくなると思うのですがね、祖母というのは。なぜにそこまで厳しい目で彼女を? マリアベール様」

 

 相変わらず孫のアンジェさんにはやたら辛辣なんだよねこの人、ベナウィさんも不思議がってるけどなんでだ?

 サウダーデさんの言うように彼女は立派な探査者だ。実力もあるし活動実績も高く、それゆえに若いながらもA級トップランカークラスにまで登り詰めている。

 

 そこに加えて能力者犯罪捜査官として正義感も強い。だから今サークルを相手に戦っているわけだね。

 総じて自慢の孫扱いしてもおかしくないすごい人なんだし、内心ではそう思っていそうなきらいはあるんだけど……少なくとも表向きは異様に辛口評価だ。

 

 なんでぞ? と首を傾げていると、後ろの席のソフィアさんがクスクスと笑った。

 ギクリと身を強張らせるのが見えたマリーさんへ、面白がっているのが丸わかりの声色で彼女は告げた。

 

「うふふ……若い頃の自分に瓜二つだから。でしょうマリーちゃん」

「う……っ」

「自分の昔の姿をしたお孫さんが、自分の辿った道を今歩んでいる。複雑よね……しかも当時の自分よりよっぽど出来も良ければ強くて性格も良いんだもの。翻ってかつての自分のアレさを思い出されて居た堪れないんじゃない?」

「心の内でも覗けるんですかいソフィアさんは!? くぅ……っ」

 

 ドンピシャで正答を当てられたらしく、マリーさんは珍しく顔を赤くして狼狽した。ああ、なるほどと俺も納得する。

 アンジェさん、若い頃のマリーさんの生き写しってレベルでそっくりらしいからね。そんな身内と、当時同じくらいの頃の自分を比較しちゃうと……複雑な気持ちは抱いちゃうんだろう。

 

 ソフィアさんもまあまあマリーさんの若い頃を指してキツいこと言ってる気がしなくもないんだけど、反論がないってことはつまりそういうこと、かつての彼女はそれだけ"アレ"だったんだろう。

 痛恨といった様子でソフィアさんのほうに振り向き、老探査者は赤い顔のまま唇を尖らせて呻いた。

 

「……あーあーそーですよ、ファファファ! あの孫見るとね、私ゃ20歳くらいだった頃の自分の馬鹿さ加減を嫌でも思い出しちまってついつい厳しくなっちまう! 公平ちゃんにあの子の鼻っ柱へし折ってやってくれって頼んだのもつまりはそこからでね」

「え? ……あー、夏休み入ってすぐの」

 

 言われて思い返すはかつてのダンジョン探査。マリーさんからの依頼で、アンジェさんやランレイさんとダンジョンに潜ったのだ。

 その時に鼻っ柱を折ってくれだのって言われたんだけど、いや折れるような立場じゃないんですけど!? と恐縮しきりで結局、普通に探査してたらアンジェさんのほうが自然に当時陥っていたスランプを解消してくれていたわけなんだけど……

 

 どうもマリーさん的には、アレも若い頃の自分を孫にダブらせて見たがゆえの老婆心だったみたいだ。

 頬をかきながら、照れくさそうに笑って言う。

 

「あのくらいの歳の頃、私だってものの見事に、いやアレより酷く増長しちまってたんだ。そこを第四次モンスターハザードん時にエリス先輩とヴァールさんに締められて天狗っ鼻折られたんだよ……恥ずかしい思い出だが、大切な経験でもある」

「……んん? いや待ってマリー、そんなシリアスな捉え方してたのアレを!? 出会い頭に"舐めてんじゃねえぞコラァッ!! "とかチンピラみたいなこと言って仕掛けてきたのを取り押さえただけなのに!?」

「えぇ……?」

「ファファファ! ……まあそれでさ、スランプ気味だったあの子にもそういう、格上に完敗する経験が必要だって思ったのさ。結果見事にスランプを脱したみたいだから、私の恥ずかしい過去も未来にちったぁ寄与できたってところさね」

 

 何してんだマリーさんの若い頃!? 本当にチンピラじゃん怖ぁ……

 そんなことしてたらそりゃ取り押さえられるよ。ていうかそれを受けて鼻っ柱へし折られたと解釈するの大分ヤバいと思う。

 

 そういう過去の経験則から、スランプだったアンジェさんにも似たような経験が必要と判断して俺を、言い方はアレだけどけしかけたのか。

 なんていうか、いろんな感情が入り混じっていて複雑ながらそれでも結局孫のことを大事に想っているのは間違いなさそうだ。

 

 首都圏に間もなく到着する頃合い。

 なんだかマリーさんの意外な一面を知ったよ……




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