攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
「っ! ……あーもう、間に合わなかったじゃないのこのスカタンども、なんでこのタイミングで悪さするのよっ!!」
「不覚っ! 突然とはいえこの程度の者どもに、ここまで手こずらされるとはッ!!」
空中を飛び跳ねながらの戦い。
探査者たるアンジェさんとランレイさんがこちらに気づいたのか、悔しげに叫ぶのを聞く。
敵対している非能力者、しかして権能によるブーストを得ている悪魔憑きの者達は防戦一方ながらたしかに彼女達の猛攻を前にも沈むことなくどうにか逃げようとしている。
形相も必死の一言だ。男二人、引きつった顔で反撃する余地もなく防御と回避を取り続けている。
まず負けはありえない状況。、とはいえ、非能力者相手に能力者がここまで手こずることそのものが本来ありえない光景だ。
周囲の避難を促しながらも前進する俺達も、その様を見て息を呑まざるを得なかった。
あの冷静沈着、泰然自若の権化とも言うべきサウダーデさんですら戸惑いを露にしているのだから相当な衝撃だよ。
逃げ惑う人々にぶつからないよう気をつけつつ駆けながら、俺に尋ねてくる。
「こ、公平殿。あの女性二人がアンジェリーナ殿とランレイ殿なのはさすがに察しがつくが、その相手の男二人……あれは本当に非能力者なのか? スキルもレベルも持たずして、あれだけの動きを?」
「A級トップランカークラス相手にボコボコにされながらでもどうにか逃げようとしていますよ、アレ。お二人が明らかに手加減しているにしてもなお、おかしな話ですが」
「間違いありませんサウダーデさん、ベナウィさん。俺の称号効果の一つ、オペレータ感知機能にあの二人は引っかかっていない……しかして概念存在による権能の影響はたしかに見える。確実に、あれは非能力者です」
同じく困惑しているベナウィさんも含めて、俺は断言した。システム・コマンドプロンプトとしての感覚は捉えた魂の何一つとて偽りなく看破する。
あの男達には悪魔の加護がある。一般的な成人男性の身体能力の、およそ20倍から30倍ほどの力を与えられているみたいだな。
これは探査者のレベルにして概ね100から150程度、級にしてはC級くらいってところか。
無論スキルもなければ称号効果もなく、なんなら動きを見るに戦闘経験もほとんどない素人同然の様子。あくまで肉体に対してのみのブーストされているようなので、レベル600前後のアンジェさんやランレイさん相手には当然なすすべもない。
そもそも未だ捕縛されてないのが奇跡に近いんだけど……そこはアンジェさんもランレイさんも人間相手ってことで見るからに加減しているからだろう。
刀も鞘に納めたまま振り回してるし、蹴りも足刀による斬撃拳でなく足底を使った通常の星界拳だしね。
「──アンジェリーナッ、いい加減に極めるぞッ!! 星界拳技が一つっ!!」
「町中で技まで使わされる……! ああもうっ最悪よ! 《剣術》!」
駆けつけんと走る俺達の到着を待つ気はない、というかその前に倒したいと思ったみたいだ。ランレイさんが気炎を吐き、アンジェさんがそれに応えた。
華麗に宙を舞っていたランレイさんが一旦地上に降り立ち、思い切り地面を踏みしめて蹴る。超速度での跳躍。
マリーさんから継承した愛刀を鞘に納めたまま、アンジェさんが大きく振りかぶる。高層ビルの外壁を蹴り、さらに速度を上げて突っ込む。
能力者犯罪捜査官コンビ、A級探査者の中でもトップクラスの実力者二人による力の発露!
加減しつつも速度だけはトップギアに近いだろう、猛烈な勢いで彼女達は逃げの一手を打つ男達に肉薄した!
「ぐぅっ──!?」
「おのれ、能力者ども──!!」
「星ィィィ界ッ!! 空ゥゥゥ脚ゥッ!!」
「竜断刀、カドモスッ!!」
断末魔の叫びにも似た、怨嗟をあげる男達など構うものかと──技が疾走した。
足底を敵の鳩尾に深々、突き刺すランレイさん。ヒットの瞬間に膝を軽く折り曲げて威力を調節している。
スピード重視の斬撃を敵の胴体に叩き込むアンジェさん。こちらも全力で引き切る動作でなく、納刀状態で軽くコツンと当てる程度に等しい。
しかしてその威力は、そこまで加減してやっと人間相手にふさわしいものにまで減衰する。
もろに攻撃を食らった男達の、意識が断たれた──そしてその胸倉を二人が掴んで、俺達が駆け寄るすぐ手前に着地した。
同じく走るマリーさんとリンちゃんの、小声が俺の耳に入る。
「加減、上手くなったじゃないかえ馬鹿孫……つってもそもそもこんな市街地で放つべきじゃないのは間違いないが。何やってんだかね、まったく」
「一番初歩の星界拳技、威力も低いし加減も完璧。姉ちゃん見事! ……みんなの前で技披露、星界拳目立つ。これもグッド」
「えぇ……?」
うーん、身内二人のそれぞれの方向性からのレビュー。
マリーさん的にはなんだかんだ孫のことを評価しているのが伝わってくる。今の技の加減ぶりも丁寧だったしね、分かるよ。
市街戦で技を放ったことについては、まあこれは仕方ないんじゃないかなって思うけども。さっき聞こえてきたぼやきから察するに、偶発的な成り行きからの今みたいだし。
リンちゃんはリンちゃんで、姉の手際良さを完璧と称している。なんなら市街戦で技を放ったのも評価の対象みたいだ。
まあ、この子目立ちたがりだもんね。星界拳の技、星界拳士の強さを衆目に晒せたのは彼女的には高得点らしかった。
「戦闘終了! ……あーもー、こんな大事になっちゃってもう!!」
「星界拳、天覇ッ! シェェェン・ランレイッ!! ────あわわわやっちゃったよアンジェちゃん! み、みみみ皆様遅刻しちゃってごめんなさいはわわわ、ピャーッ!?」
気絶した男達を着地後、地面に投げ捨てて憤りを露にするアンジェさん。そしていつもの名乗りを豪快にあげた後、これまた素に戻りあわわはわわと半泣きになるランレイさん。
戦闘終了──しかして状況が飲み込めないまま、ひとまず俺達と現地チームの合流は果たされた。
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