攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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バカップルと飯なんか食ったら砂糖を吐くぞ

 注文したルームサービスのお昼が到着したのでそれを神奈川さんと二人、いただくことにする。

 揃ってステーキを頼んだんだけど、いざ来たそれはなんかすごい分厚い。ローストビーフとかおまけでついてきてるし、ちょっと予想よりずっとゴージャスなものが出てきて俺ちゃんビックリだ。

 

 見れば神奈川さんも唖然としてステーキを見ている。隣ではステラがほへーって顔をしつつ彼に抱きついているね。調味料は砂糖かな?

 ともあれこれは、さすがの高級ホテルと言わざるを得ない。もうこの時点で満足感がすごいし、これ食べた後でやっぱりお前帰っていいよとか言われても楽しかったです! と満面の笑みを浮かべて新幹線に乗ってしまいさえするかもしれない。

 

「すごい……」

「やべえ……」

『唖然としてる私の千尋、可愛い……』

『珍妙な反応してないでいいから食べろ、こら! 公平、冷めない内にほら早く!!』

 

 語彙がなくなる野郎二人と、語彙がおかしい精霊知能と食え食え急かしてくる邪悪なる思念と。

 それぞれの反応を見せつつ、まあ冷める前にってのは間違いないのでフォークとナイフを手に取る。

 

 肉に刃を入れる、その感触だけで分かるよ……あーこれめっちゃ良い肉。柔らかくてすぐに切れるけどたしかな弾力もあり、中からは肉汁がたっぷり出てくる。

 焼き加減は……よくわかんないけど中がまあまあ赤いしレアとかミディアムレアとか? 本当によく知らないんだこのへん、とりあえずこんがりじゃないのは間違いない。

 

 うわー見てるだけで涎がダラダラ。さっそくいただくことにする。

 一口、肉を頬張る。舌の上に乗せた途端熱とともに広がる濃厚な肉汁の旨味の濃いことよ!

 

「旨ぁ……」

『素晴らしい……!! 噛まずともとろけるんじゃないかってくらい柔らかな肉質、だのに噛めば噛むほど味わいが増す! 肉汁の旨味が肉本来の味わい、そして塩気とも絡まって相乗効果をもたらすこれは、まさに……パラダイス!!』

 

 旨いことしか言えない俺の脳内で、裏腹に上手いことレビューしてくれるアルマさん。

 まったくもってその通りで、そのまま溶けて消えそうなくらい柔らかなんだけど噛むほどに旨味が滲み出てくるから噛まずにはいられないまさしく美味。パラダイスって物言いも分かるよ、至福の時だもの今、この時が。

 

 これは堪らない、最高すぎる……見れば神奈川さんも夢中になってステーキを頬張っている。

 まさしく目の色変えてって感じだ。食べては少し水を飲み、そしてまた食べ続ける。

 その姿にうっとりと、ステラがつぶやく。

 

『千尋、カッコいいよ……私の千尋、たくさん食べてね? 千尋が嬉しいと私も嬉しい。私も受肉した暁にはきっと、千尋と同じものを食べて、同じ感動を分かち合うの……ふふ、うふふふ』

「怖ぁ……」

『脳内妄想変態羽虫とはまた別種の変態羽虫か。お宅んとこの精霊知能ってもしかして変態の割合多かったりするのかいコマンドプロンプトさん』

 

 そんなわけあるか! シャーリヒッタとステラが際立ってええと、個性的なだけだろ!

 ……でも怖いものは怖いのでなんとも言い難い。ステラさん、神奈川さんが絡むとやっぱりこう、グラビティさがあるというか。

 

 受肉してからの楽しみを考えて、それに向かって頑張るってのはもちろん良いことなんだけど、どうしてもヤンでる感じのイントネーションなのが怖いよ。

 まあ実際のところは別にヤンでもいない、ただただ神奈川さんのことが好きで好きで堪らないってだけなんだろう。それゆえに感情が昂ぶりがちなんだろうね。

 神奈川さんも神奈川さんでそんなステラを愛しているのは短い間からでも分かるし、まさにぴったりなお二人さんって感じかな、これは。

 

 ともあれ、夢のようなお食事タイムはあっという間に終わってしまった。俺も神奈川さんも、付け合せのお野菜やローストビーフまで含めてきっちり完食しきったのだ。

 はあ、幸せ〜……しばらくこれとかこれ並のクオリティの食事が楽しめるとか最高かよ、もう毎食でもステーキで良いくらいだ。

 

「ご馳走様でした……あー、美味かったぁ……!」

「ご馳走様……はー、食べた食べた。ゴメンなステラ、俺ばっかり楽しく過ごしちまって」

『私も楽しかったよ? 千尋が楽しいのは、私が楽しいの』

「ステラ……」

『千尋……』

 

 素晴らしい食事と、それを楽しむ時間をくれた食材やホテルの方々に感謝していると目の前でバカップルワールドが展開されてしまった。いかん逃げなくては!!

 見つめ合う神奈川さんとステラ。お互いにお互いしか見えてない様子で、俺のことなんてアウトオブ眼中って感じである。

 ひええー、止めてよいたいけな高1を前にオトナな雰囲気は!

 

「んー、こほん、けほん。かほん、くほん」

「っ、と……あー、失礼しました山形さん。ついステラが愛しくて」

『も、申しわけありませんコマンドプロンプト様。私の千尋が、愛おしすぎてつい』

「アッハイ。いやまあ、ごちそうさまですハハハ」

 

 砂糖吐きそう。いやむしろ砂糖になりそう。

 二重の意味でご馳走様だこれ! と、ピュアボーイ山形にはなかなか直視しづらかった光景を脱して俺は微笑むのであった。




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