攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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バトルジャンキー達の前に、無敵なだけの雑魚を置いてはいけない(迫真)

 食事も終えて、軽く神奈川さんやステラとお話しているうちにそろそろ時間がやって来た。会議の時間──今回の戦いにおいてのあれこれ、段取りを確認する時間だね。

 俺達は連れ立って部屋を出た。ステラも他人には見えないよう、その姿を濃いめの半透明から薄めのそれに変える。

 

 普通に見るとどうあがいても男に取り憑いているタイプの幽霊さんだもんで、こうするのは仕方ないんだよね、うん。

 今も他人に見えないのをいいことにこの子、神奈川さんの腕を我が物のようにしがみついて独占してるし。幸せそうで何よりだよ、お二人とも。

 

「じゃあ行きますか……って言っても場所をよく知らないんですけどね」

「俺が案内するから心配いらないよ、山形さん。それに道中、知り合い達にも出会うだろうし」

『ぶっちゃけ一階のロビーのすぐ近くですから、要は来た道を戻れば良いだけですからね。なんならヴァールさんやリーベさん、シャーリヒッタさんの気配を辿って空間転移するのもアリですし』

「目立つしそれはしたくないかなー」

 

 敬語は止めてくれと頼み倒した結果、さん付けはそのままながらもフランクに話してくれるようになった神奈川さんが、一人きりだと泣きながら迷子になりそうな俺をフォローしてくれる。頼もしい。

 容赦なく最短ルートを提示してくるあたりがやっぱり精霊知能だなーって思わせるステラはステラで最悪の場合の対処法を教えてくれるけど、空間転移はさすがにね。目立つとろくなことにならないしね。

 

 ちなみにさっき聞いたところによると。

 この二人含めてアンジェさんやランレイさん達ってば、これまでの対サークル活動において主にダンジョンコアの密売買現場への踏み込みや、判明した拠点への強襲を主に行ってきたらしい。

 

 その際にステラの持つスキル《空間転移》を使っての移動はやはり役立つらしく、有用性をステラの素晴らしさとともに熱く語る神奈川さんが印象的だったよ。

 いきなり拠点だの現行犯現場を押さえて殴り込みを仕掛けられる上に、万一の時は即座に逃げの一手を打てるから何度も助けられたんだってさ。

 

「サークルの幹部、瀬川って野郎がかなり危険でな。俺なんか聖剣を使っても普通に競り負けたし、アンジェやランレイでも結構手こずってるレベルなんだよ」

「あの二人並……? 嘘でしょ!? A級トップランカークラスですよ!?」

 

 エレベーターに乗りながら驚愕する。

 敵幹部クラスになると、まさかのアンジェさんやランレイさんクラスとでも言うのか? 倶楽部幹部よりはるかに手強いじゃないか!

 

 火野や翠川、青樹さんに鬼島でさえも……A級トップランカークラスを相手にした場合、バグスキルや権能抜きなら一方的に押し負けるはずだ。

 それほどの強さがA級の上澄みにはあるのだし、そしてアンジェさんやランレイさんは紛れもなくそこに位置する遣い手だ。

 

 そんな二人でさえ手こずるなんて尋常じゃない。想定外だ……幹部はまさか、みんなそのレベルとでも言うのか?

 一気に緊迫感を増す俺。それを察して、神奈川さんは慌てて訂正を入れてきた。うん?

 

「ああいやすまない、言い方がおかしかった。単純な強さ自体は俺より多少強いってくらいだし、あの二人なら普通に負けることはない程度だよ」

「え……でも、それじゃあなんで」

「山形さんが言うところの"悪魔憑き"ってやつらしくてな、瀬川は。どういうギミックなんだか、どうにも攻撃が通らないんだよ。それこそA級トップランカーの攻撃でさえな」

 

 肩を竦める。エレベーターが降りていく中、そして沈黙が場を満たした。

 悪魔憑き……なるほど、サークルに協力している悪魔による権能でブーストを受けているのか。それも聞いた感じ、単純な身体能力の強化のみならず特定条件下でのバリアさえ備えていると見た。

 

 どうやらそれなりに高位のヤツがその、瀬川とかいう幹部に取り憑いているみたいだな。身体能力のみならず特殊能力まで授けるなんて、かなり上の立場のモノでなければできない芸当だ。

 どういうギミックなのかはさすがに見てみないと分からないけど、俺ならそのへんはどうにでもなるだろう。

 一応瀬川を確認済みのステラにも聞いてみると、彼女は難しげな顔をして俺に所感を話してくれた。

 

『スキルによる回復とかですらなく、そもそも殴ったり斬ったりしても感触がないみたいです。天地開闢結界のような因果レベルでの防壁ではないと思われますが、おそらくはある特定の条件を満たした攻撃しか通さない性質くらいまでしか私には分かりませんでした』

「それを聞いたアンジェとランレイが、だったらその条件を試してやるーって言って嬉々として瀬川をサンドバッグにしてたのは……敵ながら憐れだったな。ノーダメージでも怖いみたいで、泣きながら這々の体で逃げていったのを何度か見た」

『何回目かの遭遇の時にはすっかり、技の試し打ち相手みたいに言ってたよねあの二人。反面瀬川のほうはすっかり腰が引けちゃってたし、たぶんトラウマになったんじゃないかなあ』

「怖ぁ……」

 

 哀れなりサークル幹部瀬川なにがし。下手なバリアなんか引っ提げてアンジェさんとランレイさんの前に立つからそうなっちゃうんだよ。

 力を授けた悪魔も予想外だったかもなあ。まさかダメージ無効の結界を持たせてチートモードにした途端、まさかのサンドバッグ扱いを受けて契約者がトラウマ持ちになるだなんて。

 恐るべきはバトルジャンキーの性である。南無。




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