攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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射程内のモンスター全部確定即死させるガール

 式典館内の配置についての説明が終わり、次いで資料が示すのは敷地の外についての配置だ。

 こちらについてもすでに各組織の人員が動員されていて、個人探査者さん達は各エリアをそれぞれ受け持ち、見回りしていく形となる。

 

 この式典館は裏手に回ると海が見える形になるため、主に陸地ばかりの監視となるんだけど……

 どうやら海側の監視も怠らないみたいだ。島根さんが説明していく。

 

「海にも監視船を出しており、そちらにもみなさんのうち何人かに配置いただく予定をしています。海の上、敵が来るなら海中になることから水中戦になることをも考慮して──ベナウィ・コーデリア氏」

「おや、私ですか」

「ええ。地形の性質上、この地点には遠距離攻撃スキルが望ましく、さらに言えばより広範囲、高火力のほうが水中深くのモンスターにも対処しやすいのです。あなたをはじめとする遠距離戦闘部隊を、ぜひともここに置きたい」

 

 不意に名前を呼ばれてベナウィさんが目を丸くした。いつものほっそりとした長身のスーツ姿が軽く身じろぎする。

 たしかに、敵が水中からしかけてこない理由もない。むしろ普通にあり得るだろう、上手く行けばこちらの背後を突けるからね。

 

 加えてやはり水中戦を強いられるのはこちらとしても厳しい。レベルが高かろうが人間は人間、水の中だとそれなりに動きも制限されちゃうし。

 そこで頼れるのはやはり遠距離スキルの存在……とりわけ火力と範囲においてはS級探査者最強クラスとも言われている、ベナウィさんが最適解というわけだね。

 ヴァールが補足する。

 

「水中は元より、空中からも敵が来ないとも限らない。そこにも問題なく対応できる《極限極光魔法》をおそらくはもっとも適切な形で運用できるだろう」

「そうですね、たしかにその通りです。ただ水中に向けて放つと海中の魚や地形、あとモンスターに紛れてやって来るかもしれない人間にも悪影響が及びかねませんが……」

「怖ぁ……」

 

 当然あり得る、すさまじく恐ろしい可能性を挙げるベナウィさんに慄く。たしかに、戦闘そのものは問題ないけど周辺環境や巻き込み被害の影響は、これは絶対に考えておかなきゃいけないことだ。

 認定式を護るために敵を、環境ごと消し炭にしましたでは普通にまずい。あってはならないことだと、ベナウィさんもさすがに真剣な面持ちで尋ねているね。

 

 しかしてヴァールももちろんそのへんの懸念は理解した上で提案していたみたいだ。問題ないとばかりにうなずき、こちらに視線を寄越した。

 俺じゃない。リーベでもない……シャーリヒッタだ。キョトンとする彼女の、名がつぶやかれた。

 

「シャーリヒッタ・山形氏に協力してもらう」

「お、オレかァ!?」

「彼女は遠距離攻撃スキルの威力を軽減させるスキルを持つ。加えて射撃管制の技術も持っているため、自身の実力もさることながらコーデリア氏のサポートにもこの際、適しているだろう」

「えぇ……?」

 

 な、なかなか強引な理屈で来たな、この子。シャーリヒッタをサポート役に立たせるため、分かる人には分かる"嘘じゃないけど本当でもない"情報を公開したぞ。

 

 まず、遠距離攻撃スキルの威力を軽減させるスキルってのからしてだいぶ怪しい。

 これって要するに第三種異分子処断権限の応用の一つで、オペレータへの絶対権限を利用してスキルの性能を一時的に調節するやり方だろう。

 たしかにそういう効果を持つスキルだと言い張れなくはないんだけど、本質は間違いなくそこにはない。

 

 射撃管制の技術ってのもつまるところ、精霊知能としての演算能力を駆使しての演算の結果、適切な誘導ができるにすぎないわけで。

 別に射撃をサポートできる技能そのものではなく、あくまでそういうことにも使えるよって話でしかないのだ。それをもって遠距離攻撃専門オペレータの支援に適していると断じるのはかなーり、強弁的な匂いを感じなくもないよ。

 

 まあ、この際重要なのはそれができること、そしてそれだけの説得力があるってことだ。

 前者は前述の通りバッチリだし、後者についても天下のWSO統括理事のお墨付きがあるんだ。まるで問題ないって言い張れちゃうわけだね。

 

「また、シャーリヒッタ氏には"自身の周囲にいるモンスターすべてに対して一定時間ごとに即死状態を与える"効果を持つ称号がある。対モンスター戦においては究極とも言える効果だ、特に対処の難しい水棲モンスターには無類の役に立つだろう」

「は……?」

「し、周囲のモンスターすべてに即死!?」

「わ、私の称号効果と同じ系統!? えっ、何それ!?」

 

 加えてトドメとばかりに開示される、シャーリヒッタの称号《処刑人》。半径50m内のモンスターすべてに60秒ごと即死効果を叩き込む、文字通り処刑用の称号効果だ。

 これのおかげでどこであれどんな場合であれ、彼女は対モンスターという括りにおいてはほとんど最強と言って良い強さを誇る。普通のオペレータにはもちろん与えられることのない称号だからね、ぶっ飛びまくった性能なんだよ。

 

 特にアンジェさんがめっちゃくちゃ驚いてる。自身の持つ称号《死神》と比較しても異常だからね。

 彼女の場合はたしか、攻撃時に確率で即死付与だったか。《重力制御》と組み合わせると周囲のモンスターを足止めしながら即死チャンスにも挑める無法なコンビネーションなんだけど、この人自身はあんまりそういうやり方を好いていないみたいだ。

 

「へ、へへ……! 任せてくれよな、みんな! どんな敵でもさっさと片付けるしサポートだってこなすぜ! へへへ!」

 

 急に注目を浴びて戸惑いがちに、けれど照れたようにはにかむシャーリヒッタ。

 かわいいんだけど……注目の理由が理由だもんで、どちらかというとドン引きに近い反応なんだよなあ、半分くらいは。

 怖ぁ……




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