攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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どっちが過激派なんだか知れたもんじゃない(白目)

 ちょっと予想外に強硬派と言うか、過激派ってこの人のことなんじゃ? ってなるダンジョン聖教七代目聖女シャルロット・モリガナさんの物言い。

 他所の組織との連携どころか、そもそもS級探査者認定式とか関係ねーし勝手にやってろ! とでも言いたげな主張に、さしものヴァールも思うところがあるみたいで眉をひそめている。

 

 百歩譲って認定式にまつわる各組織の連携がどうでもいい、というのは認めたとしても、だから好き勝手動きますねは違うんじゃないかな? って思うんですけど。

 権威主義に阿るつもりもないけどこの際に至ってはWSOばかりか、この国の警察機構たる島根さんまで抗議しているんだ。連携はもう嫌ならしなくて良いにしても、せめて横槍を入れたり現場で好き放題やる可能性については否定してもらいところではあるよね。

 

「冗談で、言ってるわけじゃなさそうだね……シャルロットとやら。あんた正気かい? この局面でわざわざWSOに喧嘩売りに来るとは跳ねっ返りも大概にしときなよ」

「喧嘩とは捉えんが、さりとて穏やかな物腰とも取れん。七代目聖女シャルロット・モリガナ。君はその発言がダンジョン聖教の象徴的存在たる聖女としての発言であることを理解しているのか? プライベートではないのだぞ、今この時は」

 

 目を鋭くしてつぶやくマリーさんとヴァール。怖ぁ……ガチの詰め方してる。いやまあ、大分優しいというか穏やかなイントネーションではあるんだけどね、まだ。

 

 あるいは侮辱的とさえ受け取られてもおかしくない、シャルロットさんの数々の発言。

 けれどそこは年季ゆえの寛容さと言うべきか、あるいは単純に驚きの故と言うべきか、二人の声には怒りよりも困惑とか、本当にそんなこと言って良いの? 的な気遣いまでもが若干含まれていた。

 若気の至りからの黒歴史ムーヴじゃないかと懸念していそうだねこれは。

 

 しかし対するシャルロットさんはこれ、本気だ。

 手心と言って良いニュアンスを加えて尋ねる二人になおも、まったく怯まず凛とした眼差しなままで答える。

 

「……重ねて無礼を承知で申しますが。古くは初代様、二代目様より続く縁故とはいえ、あなた方はダンジョン聖教に対してなんら影響力を持たないことをご承知おきください。チェーホワ統括理事、フランソワ特別理事」

「そういう話をしているのではない! 公共にとって不都合な活動さえも、己の権限の範疇だと拡大解釈されては困るのだと言っている。再度言うぞ、認められん……勝手な真似をするな、ダンジョン聖教。お前達に現場を掻き乱されては困るのだ、シャルロット・モリガナ!」

「お断りします。我らにも我らの大義があるのです。たとえ大ダンジョン時代を牽引するあなた方に対しても、譲れないものがこちらにもある」

 

 まったく取り付く島もなし。一切聞く耳を持たない頑なな姿勢に、いよいよ周囲の気配がピリついていく。ヴァール、怒ってるなこれは……マリーさんもあーあーみたいな感じでため息吐いてるし。

 島根さんも気分を害したようで拳を握りしめているし、アンジェさんまで目を鋭くしてシャルロットさんを見ている。ランレイさんや神奈川さんは俺やリーベ同様ドン引きしてるし、ステラはそんな神奈川さんに寄り添っている。

 

 いくらなんでもここまでかあ、シャルロット・モリガナさん。

 理屈は分かるけど結構な視野狭窄さんかつ猪突猛進さんだよ。ヴァールやマリーさん個人へ言ったことまで含めて、怖いもの知らずって表現がピッタリ来る。

 

 しかし、何故こうまで強気に出る? それもわざわざ宣言しに来るなんて、勝手に動きたいならそれこそ勝手に動くもんだと思うんだけど……

 まさか本当はただ、ヴァールやマリーさんに何やら言いに来たのが本題とかじゃないよね? もしそうなら俺はすぐさまこの部屋から逃げさせてもらうよ、とてもじゃないけどノミのハート山形くんには耐えられる空間じゃなくなるし。

 

 そんな内心、ひえーってなってる俺を尻目に。

 シャルロットさんは続けて、無表情のままに通告を重ねた。

 

「それとこれらについては日本政府上層部および、日本警察機構は警視総監にもすでに話はつけてありますことをご承知おきください。いかなWSOとて、日本国内での行動においては日本政府の判断のほうを優先していただかなければ困ります」

「……なんだと!?」

「馬鹿な! そんなことが!?」

 

 まさかの言葉。日本政府や警察のお偉いさんは、ダンジョン聖教のこうした行動を認めているっていうのか!?

 顔を見合わせるヴァールと島根さん。この様子だと警察も、少なくとも現場レベルには知らされていないみたいだ。慌てて電話をかける室長さんを無視して、シャルロットさんが踵を返しがてらなおも告げてくる。

 

「今般わざわざ伝えに来たのはこの通達がため。繰り返し申し上げます……我々ダンジョン聖教への邪魔立てはご遠慮願います。無論、無辜の民に危害が及ぶ限りにおいては多少の対応はしますが。それでは以上、これにて失礼」

 

 あくまでも俺達の邪魔をするのではなく自分達の邪魔をするな、と。

 そう言い放ちながら七代目聖女は騎士達を引き連れて部屋を出ていった。

 

 よもやの言葉、まさかの日本政府の判断に愕然としていたヴァールだが、すぐさま扉の付近にいたアンジェさん達を見、指示を出す。

 ことの真偽はともかくこのまま野放しにはできないのは分かるよ。日本政府の意図がどうであれダンジョン聖教の思惑がなんであれ、人の命がかかる場面で早々好き勝手を許せるものじゃないからね。

 

「アンジェリーナ、ランレイ、神奈川! ワタシはこれから日本政府に確認を入れる、お前達は彼女から目を離すな! サークルや過激派に並ぶ監視対象だ!!」

「は、はい! 待ちなさいシャルロット、あんたなんてことをッ!!」

「シャルちゃん!!」

「やりやがったな、あいつ……」

『いつも以上に暴走してるね……あの子を止めなきゃ、千尋!』

 

 アンジェさん達も慌てて彼女を追う。それなりに付き合いがあるからか、結構気さくな口ぶりなんだな。

 そしてすぐさまヴァールもスマホにてどこかへ連絡をしかけた。たぶんお偉いさんの意思確認についてだろう。かなり焦った感じなので、彼女にとっても予想外なのが見て分かるよ。

 

 とんでもないことになったな……




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