攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ダンジョン探査RTAトップランナー&首都高神話生物ジョッキー

 相変わらずの勢いな我らが伝道師さんの伝道師ぶりに、その場にいる誰もが圧倒されている中。

 続けて舞台奥から人が二人やって来た。いずれもうら若い女性だ、片割れなんて俺とそう変わらない。

 

 レディーススーツを纏った、銀髪をマッシュヘアにしている女性。そしてライダースーツを着込んだ、真っ青な髪をポニーテールにしている女の子と。

 いずれもただならぬ雰囲気で、いかにも実力者って感じなんだけど……それでも香苗さんの伝道師ムーヴにはドン引きした様子で、どこか遠巻きに話しかけてきている。

 

「か、香苗くん……あのー、勝手に飛び出したかと思えば動画そのもののアレな演説をかますのは止してくれないか? かつてのマイ・ライバルながら怖いんだが」

「"救世主様の御威光が近づいてきています"なんて……一歩間違えれば変態の物言いです。S級探査者らしい珍妙さと言えばそれはそう、なのですが」

「アレとはなんですか、そして珍妙とはなんたる物言い! いいからあなた方も使徒になるんですよ、セーデルグレン! 愛知さん!!」

「怖ぁ……」

 

 至極真っ当な物言いを付けたお二人さんに香苗さんは心外極まるとばかりに言い返した。よく言い返せるよねこの人、マジで。

 ていうかセーデルグレンさん? に愛知さんって……思わずお二人を見る。どことなく男装しているようにすら見える凛としたイケメン風の顔立ちがいかにも同性に好かれそうだなーって感じなんだけど、まさかこの人達が、噂の?

 

 ヴァールも気づいたようで、一歩前に出た。舞台の上に立つ二人を見上げ、確認がてら呼びかけている。

 

「失礼。やり取りから察するに君達はS級探査者の愛知九葉とA級探査者のリスティ・セーデルグレンだな? ミア・ハーウェイから連絡を受けているが」

「ええ、いかにも。お初にお目にかかります、チェーホワ統括理事。私がリスティ・セーデルグレンです。そしてこちらが」

「高いところからの挨拶、平にご容赦ください。初めまして統括理事。日本のS級、愛知です。今日は御堂さんの身辺警護のため参りました。よろしくお願いします」

「ダンジョンRTAのトップランナーと、去年16歳で史上最年少S級になった天才……!!」

 

 名乗りを上げた二人に、やはりかと俺は息を呑んだ。ちょくちょく話を聞いていた香苗さんの自称ライバルと、天才召喚系探査者がついに今、目の前に現れたのだ。

 舞台を下りてきて、改めてヴァールやマリーさんに会釈するお二人。俺も控えめに挨拶しつつも、失礼にならない程度に彼女達を観察した。

 

 銀髪のほう、リスティ・セーデルグレンさん。ダンジョン探査をいかに早く行えるかという競技化させた通称ダンジョンRTAという界隈における重鎮だ。

 A級探査者らしく、トップランカーをもじってトップランナーと呼ばれているそうで、自らをリアリスティー・トップスピードと自称しているらしい。

 そんな関係からかトップランカーだった香苗さんをライバル視しているらしく、実際面識があるような雰囲気を出していらっしゃる。

 

「ダンジョンRTAに精を出していたらミアさんから連絡が来まして。なんでもマイ・ライバルたるA級トップランカーがS級になることでかつてのマイ・ライバルになるそうで、寂しいながらもこれも門出かと思い参加させていただきました」

「……? 御堂香苗をライバル視しているというのも知らなかったが、S級になることで"かつての"になるのか? どういう理屈だ」

「厳密には私のライバルはA級トップランカーの座にいる者です。何しろA級トップランナー、リアリスティー・トップスピードですからね私は。どんな時でもトップランカーにいる者こそが標的です、RTA的に」

「…………そ、そうか。言葉の意味はよく分からんが、君なりの指標があるわけだな」

 

 戸惑うヴァール。セーデルグレンさん独特の基準というか目標に対してはともかく、やたらトップランナーであることとリアリスティー・トップスピードという渾名? をグイグイ推してくる姿勢に気圧され気味だね。

 俺としてはなるほどって感じだ。香苗さん個人ではなくその時々のA級トップランカーをライバル視しているってのは、ダンジョンRTA界における頂点の称号らしいトップランナーを名乗る上でなんとなく理解できなくもない。本当になんとなくだけど。

 

 とはいえ、そんなセーデルグレンさんだけど今、S級となった香苗さんになんの想いも持ってないわけでもないようだ。

 なんか両手を上げて、なんだろう、お偉いさんがよくやるろくろを回す仕草をしながらも彼女について語っていた。

 

「思えば香苗くんはA級トップランカーとして最高の逸材でした。遠からずS級になるのも疑う余地はないと思っていましたが、いざ本当にその時が来るとなかなか寂しいものですね、トップランナー的に」

「私としてましては正直ホッとしています。あなたの一方的なライバル視は面倒でしたからね。ダンジョン探査を早く済ませることは悪くありませんが、それのみに固執するというのも個人的には好ましく思えませんので。むしろ今後とも末永く我らが救世主様を信仰する道をじっくりたっぷりどっぷりねっとり歩むほうがオススメですよ、伝道師的に」

「……い、いや遠慮しておく。香苗くんこそその、個人的にはちょっとまあ、まあ、と思うね、私」

 

 何がまあ、まあなんだ……いや分かるよ、具体的に言った瞬間どんなことになるか分からないから言えないよね、そりゃ。

 独特の美学を持ちつつも、伝道師へのスタンスは至ってまともで健全らしいセーデルグレンさんのドン引き具合に、俺は内心深く理解を示すのだった。




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