攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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リアリスティー+トップスピード、シャイニング+山形。似ている……!!

 セーデルグレンさんとのやり取りもそこそこに、今度はライダースーツの女の子を見る。真っ青な髪をポニーテールにまとめた、ヴァールほどじゃないけどクールな印象の人だ。

 愛知九葉……日本10人目にして、史上最年少のS級探査者。なんと弱冠16歳で認定されたっていうんだから、まさしく天才中の天才ってやつだね。

 

 っていうかなんでそんな服装なんだろうか、バイクとか乗ったりするのかな? カッコいいぞなんだか。

 そういえば召喚系スキルで呼び出した概念存在に跨って首都高を疾走する、神話生物ジョッキーがこの人なんだっけか。ヤバい、ちょっと見てみたいぞ俺。

 

「愛知九葉。君とも初対面になるのか、特に認定式らしきものも開かなかったからな」

「はい、そうなりますねチェーホワ統括理事。とはいえS級と言っても私の場合、S級モンスターを単独で倒したという功績一つでの無理筋な昇級です。褒められる話でもありません」

 

 ヴァールが愛知さんに話しかけていく。受けごたえもクールな最年少S級さんだけど、発言はすごく謙虚と言うか、自己評価が低い。

 年齢から言ってももうちょっと自慢気にしてもバチは当たらないだろうに、真面目なお姉さんだなあ。

 

 それにS級モンスターを単独で倒したってこともなげに言うけどとんでもないことだよ、それ一つでS級探査者に認定されるのも当然まである偉業だもの。

 去年発生したS級モンスターって、たしか新聞にも載ってた記憶があるな。なんかすごい名前してた気がする。

 ええと、なんて名前だったっけ?

 

「たしか……そう、ウルトラフライングカジキマグロだったか。日本海沿岸に発生し、近隣の街一つを壊滅させかけたという巨大な魚の化物だな。よくぞ一人で倒せたものだ」

「召喚スキルに恵まれました。単なる幸運です……あとすみません、ふざけた名前をつけてしまって。マスコミに聞かれてとっさのことで、見た印象そのままを答えるしかなく」

「ウルトラフライングカジキマグロ……」

 

 そうだそうだ、そんな名前だった。去年の春頃にそんなのがいきなり港町に襲来してきて、居合わせた探査者が半日かけた死闘の末にやっつけたーみたいなニュースが報道されてたんだ。

 当時そろそろ受験に向けて本格的に勉強しなきゃいけないし、今のうちに遊び倒しておこうってなってひたすらゲームしてたからあんまり記憶にないんだけど……なんかすごいネーミングなんだな。

 

 名前から察するにウルトラ大きくて空を飛んでカジキマグロみたいな鋭い嘴を持つ魚だったんだろう。

 そんなの相手に、偶然居合わせた愛知さんが戦い抜いて倒しきったんだな。

 

 すごい話だと彼女を見る。自身が名付けたらしいそのモンスターの名前に今さら後悔している様子で若干視線を逸らしていたんだけど、不意に俺と目が合った。

 気まずい話を転換させるかのように、愛知さんは俺のことを尋ねてくる。

 

「ええと、それで統括理事。フランソワ特別理事は分かりますが、そちらの少年は……察するに御堂さんの言うところの救世主ですね? たしか、シャイニング山形とかいう」

「シャイニング山形くん! かつてのマイ・ライバルを見知らぬユア・ファナティックに変貌させたハーレム・メシアだね! うーん見るからに人の良さそうな少年だ、これは香苗くんが悪い!」

「何故ですか!! 謂れなき誹謗には伝道をもって応えますよセーデルグレン!!」

「えぇ……?」

 

 セーデルグレンさんも俺が気になっていたみたいで、彼女に続いて俺に言及してくる。

 くるんだけど……お二人とも当然のようにシャイニング山形呼びである。しかも唐突に香苗さんアウト宣言まで飛び出して、伝道師さんが猛ってしまわれる始末だ。鎮まり給え鎮まり給えー。

 

 思わず五体投地して鎮魂の儀を行いたくなるような有り様ながら、しかして香苗さんの剣幕に一切動じず不敵な笑みを浮かべるセーデルグレンさん。

 相変わらずなんかろくろを回すジェスチャーをしながら、絶妙なドヤ顔で何やら言い返す。

 

「春先頃からマイ・ライバルが謎の限界突破をしてしまったのは動画で知っていたけど、正直ネットで噂されているようにシャイニング山形くんが洗脳的なスキルを使って彼女に良からぬことをしでかしているのではと思っていたところはある。ソーリーだよシャイニング山形くん」

「あ、いえ。あの、山形ですけど」

「そうか私はリスティ・セーデルグレンだ。気軽にリアリスティー・トップスピードと呼んでくれたまえ、リアリスティーでもトップスピードでも駄目だぞ、リアリスティー・トップスピードだ。君だってシャイニングくんだけでも物足りないし山形くんだけでも面白みがなくて嫌だろう? AパーツとBパーツ、二つ合わせて君なんだ。分かるねシャイニング山形くん」

「嫌ですけど!? 本名の山形公平で呼んでほしいんですけど!!」

 

 無茶苦茶だぞこの人。まさかシャイニング山形をマジで本名とでも思ってないだろうな。

 AだのBだのも意味分からんし、一々ドヤ顔でろくろ回してくるのがなんとも意識高い系だしで、我が道を行く系が極まってるよ。

 

 ともかくセーデルグレンさんの話を聞いて、なんとなく分かった。この人と香苗さん、どことなく妙なこだわりがあって強引なところが一緒な気がする。

 言ったらたぶん香苗さんのほうは句読点飛ばして反論するんだろうから言わないけど、話の飛躍の仕方が似通ってるんだよね。怖ぁ……




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