攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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お医者様でも草津の湯でも、治せはしない伝道師

 リハーサル自体は特に問題なく、恙無く進んだようで大体2時間もしないうちに終わりを迎えた。

 基本的に進行とそれに伴い香苗さんはじめ、式典の主要人物がどのように動くかってところが中心だったからね。そんなに時間もかからないで済むよな。

 

「──それではあとは本番のほう、17時より始まる認定式にてこの通りに行います。来賓やマスコミが来賓席を埋め尽くすことになりますので、あらかじめそのつもりでお願いいたします」

「分かりました。それからS級探査者認定証を授与された後には30分ほどインタビューをし、18時から会場を移しての立食パーティーという流れですね」

「はい。基本的にすべて生放送の形で全国中継されますので、くれぐれも突拍子のないことは慎みいただきますようお願いいたします」

「突拍子……? はあ。まあ、承知しました?」

 

 最後にスタッフさんからの注意事項等を受けている香苗さんと、彼女の護衛みたいな立ち位置なんだろう、セーデルグレンさんと愛知さん。

 

 突拍子のないこと……間違いなく伝道師としての暴走を恐れての釘刺しなんだろうなって、傍から見てるだけの俺でも分かるんだけどさ。

 香苗さんの反応がどこかキョトンとしていると言うか、なんのことです? 感を出しているのが非常に怖い。

 

 まあ分かるよ。本人的には別に突拍子のないことでもないだろうからね、伝道行為は。

 彼女のなかにあるたしかな脈絡によって、今この時が絶好だ! ってなるから句読点を飛ばしているんだよ。これまでも結構タイミングを伺ってる感あると言いますか、空気は読んでるしねちゃんと。

 

 だから突拍子のないこと、とか言われても本気でピンと来ないんだろうなってのは容易に察しがつくよ。

 さすがにそこまで考えが至ってないセーデルグレンさんに愛知さんはえぇ……? みたいな顔して香苗さんを見ているけど俺には分かるよ。分かってしまうよ。

 

「かつてのマイ・ライバル……本気かあ。いやはや人というのは変わるものだ、日本の諺でナントカはモクモクというけどその通りだねえ」

「また妙なS級が増えるのだろうかって、ナントカはモクモク? …………ああ、なるほど。そういうことなんですかね、リスティさん」

「言わぬが野暮だよ九葉ちゃん。あと言ってるでしょ私のことはリアリスティー・トップスピードと呼んでくれたまえと。もしくはトップランナー!」

「あなたの師匠、ハーウェイさんから"その手の妄言に付き合う必要はない、強要してきたらすぐに連絡してくれ"と言われていますが……しますか? 電話」

「ンンー、つれない子猫ちゃんだァ」

 

 こっちはこっちでなんか珍妙なやり取りしてるし。何がモクモクしてるんだ、ボヤかな。

 セーデルグレンさんも大概個性的なんだけど、それを依然とクールに捌く愛知さんがすごく冷静だ。オモシロ発言を繰り返す相方の手綱をしっかり握れているあたり、常識人寄りのS級さんなんだろうなあ、神話生物ジョッキーだけど。

 

 さておき、そんなやり取りを聞いているうちにリハーサルが終わった。もうそろそろお昼だね。

 俺の感知範囲、半径1km圏内には未だ異常はない。都市部や沿岸に探査者が多くいるけど、特に目立った動きを見せてはいないのでこれらは配置されている警護の方々だろう。

 

「リーベやシャーリヒッタ、うまくやれてるかな?」

「うん? ……大丈夫だろう、そこはさすがに。後釜はどこでも上手くやれるコミュニケーション力があるのだし、シャーリヒッタも明るいからな。何より二人とも、仕事はきっちりやる」

「ファファファ、心配性だねえ公平ちゃんも。なあに大丈夫さ、特にシャーリヒッタ嬢ちゃんのほうにゃベナウィもいるしね。あいつぁうっかりだが、やる時ゃちゃんとやれる立派なS級探査者だよ」

 

 思わずここにいない、受肉して間もない精霊知能の二人を案じているとヴァールとマリーさんがフォローしてくれた。

 たしかにその通りだ。リーベはコミュ力お化けちゃんだしシャーリヒッタも陽気で明るい。何よりノリは軽いけどれっきとした仕事人達だからね。

 

 加えてベナウィさんもシャーリヒッタのほうについてくださっているんだから、これはもう何も心配いらない。

 戦闘時のうっかりは別にしてね。そこはもう互いにフォローし合ってくれるのを祈るしかないから。沿岸が火の海にならないことを祈るしかないから。怖ぁ……

 

 ともあれ心配し過ぎは良くない。

 俺は笑顔を浮かべ、二人に感謝を告げた。

 

「ありがとうございます、二人とも。そうですね、あの子達には心強い仲間もいてくれます。心配はいりませんね」

「────そもそも救世主信仰とは我らが偉大なるこの世の救い主山形公平様を崇め奉り彼の思想信条思考主張を言霊として受け取りそこからこの現し世にて生きるためのヒントを授かることでより良い人生を送るということなのです分かりますかみなさんこれはみなさんの生活人生人格をより豊かなものにしてくれるものなのです山形公平様を讃えましょう彼の姿勢こそが人間として探査者として何より尊ぶべき理想像たるにふさわしいのですから聞いていますかセーデルグレンに愛知さんあなた方もいい機会なのですからぜひとも伝道を受けてくださいもちろん無料です救世の光は金銭目的で動く集団ではありません常にこの世に光をもたらす救世主山形公平様の教えを広めるための組織なのですありとあらゆる垣根を超えて燦然たる救いの光をもたらすのです」

「香苗さんっ!?」

「むしろ心配なのがあちらだ。本当に何かしでかすのではないだろうな……」

 

 ちょっといい感じにまとまりかけたところを伝道師の伝道が襲った! 舞台を見ればセーデルグレンさんと愛知さんに容赦なく句読点の消えた長口上が襲いかかっている。

 ヴァールがかなり心配そうにつぶやいているよ。怖ぁ……すみませんうちの伝道師が。マリーさんはお腹抱えて笑ってるし。この人も大概S級さんだよなあ。




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