攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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陰謀とか好きな人が喜びそうな真実

 昼飯も食べ終えて三人、控室にて過ごす。

 ヴァールとマリーさんはさすがに他になんかあるんじゃないの? って思ったんだけど、なんでもWSOのトップともなると逆にやることがないんだとか。

 もしくはあったもしても部下の方に命じてやってもらうことがほとんどで、自分が直接動くなんてのはよほどじゃないとないらしい。

 

「今回の警備関係も、ワタシ達はどちらかと言えば来賓扱いのほうが主だからな。ダンジョン聖教過激派の対応のため個人探査者チームの取りまとめは行っているものの、基本的にはやることなどほぼないのが実情だ」

「個人探査者のみんなも今は、島根室長の指示に従う形で動いているだろうからねえ。おかげさんでのんびり過ごせるってわけさね、ファファファ」

「なるほど……お偉いさんならではってやつですね」

 

 倶楽部案件にあってはソフィアさんとヴァールが陣頭指揮を取っていたこともあり、今回も慌ただしく動くのかなーなんて思っていたけど。

 普通に考えてみればそりゃそうだ、組織のトップが現場に足繁く通って口を出すなんて異例で当たり前なんだよな。こないだ青樹さんと面会した時に、警察の郷田局長さんも似たようなこと言ってたし。

 

 上役はどかっと構えて部下を信じて託せば良い。つまりはそういうことなんだろう。

 泰然自若と構える目の前のヴァールとマリーさんからも、部下や連携している警察への信頼を感じるよ。これが人の上に立つものの器ってやつなんだろうなあ。

 

「もっとも、ワタシの場合は連絡待ちというのもあるが……と、来たか」

「電話?」

「ああ、WSOの外務局長からな。シャルロットの件だろう──ワタシだ。どうした?」

 

 不意に着信音が鳴り響いて、ヴァールがスマホを取り出した。WSOのお偉いさんからみたい。

 どうやら午前中あった、ダンジョン聖教七代目聖女シャルロット・モリガナさんの暴走と言える独断専行宣言についてのようだね。察するに日本政府からの返答があって、それを伝えに来たってところか。

 

 マリーさんと二人、見守る中で彼女が電話の主とやり取りを交わす。時折眉がピクリと動いたりしてるのが怖いよ。

 シャルロットさんに若干キレ気味だったもんなあ。分からなくもないけど、あっちはあっちの言い分があるみたいだしなかなか難しいよね。

 

 5分とかからずやり取りをして、通話が終わった。

 ため息交じりにスマホをしまう姿になんとなし嫌な予感がするけど、俺は覚悟を決めてヴァールに問いかけた。

 

「……ええと。どうだった?」

「うむ……結論から言えば、日本政府はシャルロットの行動を容認とまではいかないが黙認する構えのようだ。やはりと言うべきか、言質を取られていたらしい」

「言質ですかい?」

「過激派の目論見が明るみになっていなかった一年前に、正式な外交ルートを通してダンジョン聖教と日本政府は、ある種の密約を交わしていたのだ」

「えぇ……?」

 

 何それ怖ぁ……国民の知らない真実止めてよ。

 いやまあ、国家なんだからそういう話の百や二百はあってもおかしくないし、それで世の中めちゃくちゃになってるわけじゃないんなら、そこまで無茶な内容でもないんだろうけど。

 とはいえ密約って言葉の怪しさがもう怖いよね、なんだか。

 

 おそらくはその密約とやらに則ってダンジョン聖教は行動しており、だから日本政府はそれに対して容認、というか黙認? 何も言わないって行動を示しているのか。

 その契約とやらの内容を、ざっくり説明するヴァール。

 

「"契約を結んでから3年間、シャルロット・モリガナの滞在中ダンジョン聖教は公安警察に協力する形で国内のダンジョン聖教過激派を捕縛する。代わりに日本政府は法の範疇に限りダンジョン聖教の活動を容認する"──と。今回はその内容を盾に取られた形だ」

「公安、警察……? って、でも郷田さんや島根室長さんは知らないみたいなこと、言ってたけど」

「日本の場合、一口に警察と言っても様々部署があるからな。能力者犯罪捜査局は能力者犯罪全般に関わる事件を担当するが、公安警察は日本におけるテロリズムや破壊活動全般の取り締まりを担う。そしてもっと言うと、受け持つ範囲が被ることのある両部署は同じ組織内でも折り合いが悪い」

「派閥争いってやつかい……」

 

 呆れた声を上げるマリーさん。ううむ、刑事ドラマ的なアレかあ。たしかにたまに公安とか出てきて、現場の刑事さんと揉めるみたいなドラマとかあるもんね。

 それをリアルでやっていて、公安警察のほうにダンジョン聖教のシャルロットさんは協力しているのか。一方でヴァール率いるWSOはご覧のとおり、能力者犯罪捜査局に協力している、と。

 

 そりゃ非協力的だよね……能力者犯罪捜査局と公安警察ばかりか、発言から判断する限りシャルロットさん個人もヴァールやWSOに対して思うところがあるみたいだし。

 敵の敵は味方、と言いたいんだけどそっちも敵対的姿勢を見せてくることは当然ありうる。今回の場合、そういう構図になっちゃってるってわけだった。

 マリーさんがぼやく。

 

「ダンジョン聖教過激派なんてのは、犯罪能力者であると同時にテロリストみたいなもんだからね。ダンジョン聖教側もどちらに付くか考えて、公安側に付いたってわけかい」

「そして日本政府も契約の関係上、シャルロットのそうした動きに物言いはつけられない。S級探査者認定式に公安警察は関与していないからな……一応内閣のほうからシャルロットに対し、協力要請は打診したとのことだがやはり断られたそうだ」

「個人的な感情も絡んでそうだねえ……シャルロット・モリガナ。うちの孫達がうまいこと、手綱を握ってくれると良いんだが」

 

 ため息を吐く二人。事実関係が明らかになった今、ぶっちゃけダンジョン聖教側の主張もそれなりに筋が通ってるんだ。複雑なものはあるけど文句も言いづらいって感じか。

 

 こうなると唯一の望みはやはり、前から共闘していたアンジェさんやランレイさん、神奈川さんにステラの四人だろう。

 あの人達がどうにかシャルロットさんを、協力と言わずともむやみに事態をかき回さない方向に持っていってくれるのを祈るばかりだよ。




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