攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
夕暮れ空が微かに見えてきた首都圏の空を、突然埋め尽くすように現れたとてつもない大きさのバケモノ。ミュトスの権能。
あまりにもいきなり現れて、S級探査者認定式のリポートのために飛び交っていたのだろうマスコミさん達のヘリコプターめがけて攻撃を仕掛けたのを、俺は空間転移で上空に転移して対処した。
スキルによる封印結界を作り出し、一時的だがミュトスの権能を封じ込めることに成功したのだ。
「な、なんだっ!? く、空中にいきなり人が、あれは!?」
「アレって……シャイニング、山形……!?」
「カメラ! カメラ向けろ! 奇跡が起きた、救世主が来てくれたーっ!!」
完全に沈黙した権能とは異なり、俺の周囲を飛び交ういくつものヘリコプターはまさしく阿鼻叫喚だ。
まあたしかに……いきなりわけのわからない天を衝くような巨大なバケモノが現れたと思ったら攻撃されかけて、しかもそこにどこからともなく唐突に空飛ぶ山形くんが割って入って来た形になる。
そりゃ気にもなるよねって話だよね。
なんだけど……見るからにヤバい状況なんだから逃げてくれれば良いものを、なぜにむしろ近づいてくるのか。
なんならドアとか開けて、カメラマンさんがこっちにカメラを向けてきてるし、しかも複数! リポーターも各社男の人や女の人が何やらマイクで叫ぶみたいに喋っているけど、あちこち飛び交うヘリの音で混然とした様相だ。
「もっと寄って操縦!! 彼に話を聞くのよ、アレってシャイニング山形よね!? すごい、空とか飛べるんだ!?」
「光ってくれないかな、シャイニング山形! くぅ~まさかこんな場面に出くわすなんて、俺はサイコーについている! 撮れ高だぜヒャッホーイ!!」
「無茶なこと言うな、近づけるわけ無いだろこれ以上!! 下手すると彼にぶつかる、探査者の邪魔なんかできるかー!!」
「えぇ……?」
すっごい揉めてるんですけど。一番近いヘリに耳を澄ますと聞こえてきたリポーターさんとカメラマンさん、あとヘリの操縦士さんのやり取りに思わず顔がひきつる。
なんていうか、典型的なまでに報道最優先のマスコミさんって感じだな、あの二人。平時だとそこまで、まあ行きすぎない程度なら問題ない姿勢だと思うんだけど今はさすがに勘弁してほしい。万一にも巻き込まれたら大変だよ。
危険性を分かっているヘリの操縦士さんは本気でキレて怒鳴りつけてるし。もっと言うとあちこちのヘリで似たようなやり取りが耳に入ってくるしもうカオスったらない。
ていうかカメラこっちに向けるの止めてくれ、また全国デビューかよ!! こんどは空まで飛んでるからもっと大騒ぎだ、いや躊躇っていたら人が死んでたからまったく後悔はないけども!
「シャイニング山形さん! こっちに来て一言お願いしまーす!!」
「空を飛んでいるのはスキルですか!? 光らないんですか!? 御堂さんとの関係はどのようなものなのですか!?」
「我らが偉大なる救世主山形公平様! おおまさか尊きお姿にこのような形で拝謁できるとは! 伝道師御堂の晴れ舞台ということで報道畑に頼み込んでリポート役をもらった甲斐があった、救世主様バンザーイッ!!」
「怖ぁ……」
ものすごい勢いで──それこそヘリから身を乗り出して落ちかねないほどだ、見ててゾッとするから止めて──何やら質問してくる報道陣と、そこに混じってしれっと狂信をカミングアウトしてるどこぞかの局の人。
ついにマスコミにも信者がいるのか、救世の光。何やらとんでもない規模になりつつある気がしてならない。本当にあらぬ方向に暴走したりしないだろうか。
ついに現れたミュトスの権能は、俺によって完全に封印空間に閉ざされていて身動き一つ取れない状態だ。
だがいつまでもこんなふうにしてられない。こんなデカいのを延々と顕現させるのもよくないからね。あとは次々と現れるモンスター達に、現地の警護の人達がどう対処しているかも一応確認したい。
そのためにはひとまず周囲のマスコミに退散してもらうことが先決だ。
撮れ高だかなんだかで興奮しているみなさんを、大人しくさせるにはこうするしかないだろう!
「持ってて良かった、リラクゼーション効果付きシャイニング能力! ──マスコミのみなさん、落ち着いてくださーいっ!!」
「────っ!? 光ったっ!!」
「シャイニング山形が光った!!」
「うひょおおおおおシャイニングきたあぁぁぁぁ!!」
お待ちかねってわけでもないんだが光る。とにかく光る。称号効果《勇気と共に道を行き、慈愛と共に生きる者》の効果での発光だ──見た者の心を落ち着かせて癒やす、リラクゼーションの力をも持つ。
認めたくないけどこの俺、山形公平の代名詞たるシャイニング山形のシャイニング部分の由来となった光だ。
どうせならカメラ越しに俺を見ているお茶の間のみなさん、すべてに届けよう。今から起きる戦いは苛烈なものだけど、それでもあなた方を脅かすことはないのだと安心させるために。
いつにも増して放つ光。眩しいだろうけど目には痛くない程度の出力で、ヘリコプターの操縦に支障を来さないように配慮もしている。
「みなさん! この場から今すぐ離脱してください!! なるべく遠く、なるべく早く!! 今からこの近辺は、探査者とモンスターのぶつかり合う戦場になります!!」
眩い光を放つ俺は、そのまま周囲のヘリコプターに向けて全力で叫ぶ。
どうか大人しく引き下がってくれ、今すぐ安全なところに避難してくれ……そんな願いを込めた、渾身の叫びだった。
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