攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ウーロゴス─論理を否定せしモノ─

 たどり着いた上空、ミュトスの権能の頭部よりちょっと上くらい。たしかにそこには感知した通り、モンスターとオペレータが一匹と一人ずついた。

 

 巨大な怪鳥モンスター、名はガルーダとかだったかな……空を飛ぶタイプの中でも有名で、強さ的にはA級となる。

 それこそさっき俺の周辺を飛び回っていたヘリコプターよりちょっと大きいくらいのサイズで、その上に人間が一人乗って、仁王立ちにこちらを見ている。

 

 ローブを羽織った大柄な男で、東洋系の顔立ちをした浅黒い肌に散切り頭をしている。威風堂々たる立ち居振る舞いなんだけど、その顔に浮かぶ表情は一言で言えば憤怒だ。

 そう、なんかキレていた。明らかに俺のほうを見て、額に青筋を浮かべ眦を釣り上げ、歯を食いしばって憎悪に身を震わせているのだ。

 

 いや怖ぁ……何キレてんだよ、どっちかと言えばこっちなんだけどキレたいのは。ミュトスの権能をこんなことに使いやがって、まったく。

 盛大に睨みつけてくる眼光を真正面から受け止め、見据え返しながら。俺は一人、脳内のアルマさんに対してつぶやいた。

 

「……オペレータ。おそらくはスレイブモンスターだろうガルーダの背に乗り、ミュトスの権能のすぐ直上にいる。間違いないな」

『どうやってこれだけの規模の権能を喚び出したのかは知らないけれど、間違いなく召喚者はあいつだろうね。ただ喚び出しただけで制御も何もできてないのは、あの顔見てりゃ分かるけど』

「貴様……ッ!! 何者だ、小僧ッ!! どうやって空を飛び、あまつさえここまで来ている!! 我らが神を封じ込めているのは貴様かァッ!!」

 

 

 アルマ的にも同じ見解のようで、すなわち今、眼下に広がるミュトスの権能を召喚したのは目の前の怒れる男である可能性が極めて高い。

 そもそもこの周辺にこいつ以外のオペレータはいないし、スレイブモンスターに乗っかって明らかに手懐けてるし。何よりミュトスの権能を指して"我らが神"とか言っちゃってるし。自白かな?

 

 おそらくはせっかくほぼ気づかれにくいポジションにいたものを、即座に俺が辿り着いちゃったことにも怒ってる感じかな、これは。

 知ったことじゃない。俺はやつと高度を合わせ、距離を置いて対等な目線で睨み合うよう高度を調節してその怒りに応えた。

 

「何者か、と問われればB級探査者の山形公平と答える。どうやって空を飛んだかは企業秘密だよ……あんたこそこんなとこで何してる? スレイブモンスターに乗っかって、あまつさえ得体の知れない化物の上にいて」

「山形公平……シャイニング山形かッ!! WSOの女狐、ソフィア・チェーホワの子飼い! みすぼらしいツラをした貧相なガキが、煽て上げられてつけあがっているだけのクソゴミのウジムシィッ!!」

「えぇ……?」

 

 めちゃくちゃな言われ方だよ。みすぼらしいだの貧相だの、何もそこまで言うことないじゃん。

 今までにあんまりお目にかかったことがないレベルでの罵詈雑言にちょっぴり傷つく。ネット掲示板の悪口をそのまま持ち出してきたみたいなアレさなんだけど、俺こいつになんかしたか?

 

 ……いやまあしてるけどね現在進行系で。

 ミュトスの権能を完全に拘束している、なんてのはこいつからしてみればありえない事態なんだろう。

 今頃こいつの上役だろうダンジョン聖教過激派の元聖女、アレクサンドラ・ハイネンも泡食ってるかもね。

 

 そう思えば、初手からそれなりに痛打は与えられていると見るべきか。

 とっさながら適切に動いた自分を褒めつつ、俺はいきり立つ男へ言い放つ。

 

「ダンジョン聖教過激派の輩だな? 悪いけどあんたらの言うこの神様とやらは俺が拘束封印した。もう制御できないし、召喚を一旦止めて再度喚び直すなんてのも不可能だ……もっとも最初からできていたかも怪しいけどな」

「おのれッ! 貴様、どこまで知っている!? あの女狐は、貴様ごとき薄汚いガキをそれほど重宝しているというのか!」

「さあ? それを知ってもどうにもならないよ。なぜなら今ここであんたは捕まるし、今目の前にいるこのバケモノも退治するからさ」

 

 俺のスキル《清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師》で封じた時点で、事実上ミュトスの権能のコントロールは俺が握っている。

 少なくとも眼の前の男が能動的にどうこうできる状態ではなくなったんだ……これをもってひとまず、権能絡みの問題は大方片付いたとも言える。

 

 あとは精霊知能ミュトスの到着を待つばかりなんだけど、そろそろ本当に遅いな。何かあるのかワールドプロセッサ。

 密やかに内心にて訝しみ、首を傾げていると眼前の男は不意に笑い出した。憤怒と憎悪で俺を睨みつけながらの、嘲りさえ含んだ笑みだ。

 

「貴様ごときゴミクズに、我らが神をどうにかできるものか……ましてやここにおわす神を、それだけのものとしか認識していない貴様ごときに!」

「……何?」

「"神は遍在する"。遍く有りて永久に続くもの。それこそ我らが求めし神、"ウーロゴス"様の在り方なればぁ!!」

「ウーロゴスだと…………ッ!?」

 

 意味深な言葉とともに、ミュトスの権能のことをウーロゴスなどと呼称する眼の前の者。

 神の偏在。今この期に及んでそんなことを口にするのは一体どういうつもりかと、思ったその瞬間だった。

 

 ────もう一つ、感知範囲ギリギリのところに概念存在が発生するのを俺は感知した。

 眼下のミュトスの権能、敵に倣ってウーロゴスと呼ぶがそれに極めて類似した気配。

 

 否、もはやそれそのもの。

 まったく同一の力そのものが、別の地点にも同時発生したのだ!

 

「何ッ!? 馬鹿な、権能が二つ!?」

「そうだクソガキっ!! ウーロゴス様のお姿は、たとえ一柱封じ込めたとて次なる御尊容をお見せくださるのだぞォォォッ!!」

 

 完全に予想外の事態だ。まずい、別の町中の地点にも発生した!?

 遠目にもハッキリと、新たなウーロゴスが発生しつつあるのを肉眼で確認して動揺する俺に──敵の男は、ガルーダを操り突撃して攻撃を仕掛けてくるのだった。




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