攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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二度あるウーロゴスは三度目もある(教訓)

 魔天の力を借りての必殺奥義、ディヴァイン・ラグナロクによって二体目のウーロゴスを貫き、その権能を取り込んだミュトス。

 予想通りというべきか、やはり権能をかなり細かく分割しているようで一体ごとに取り戻せる力は存外少ないようだけど……それでも彼女の放つ力強さ、権能が段違いにパワーアップしたのを感じるよ。

 

「これなら……うん、いけますね! あっちのもう一体のほうも、私一人でどうとでもやれそうです!」

「いけるか? 二体目も首尾よく取り込めれば、さらに力が蘇って《イミタティオ・トリニタス・コスモス》の発動時間も伸びるだろうから、これからはずいぶん楽になるとは思うけど……」

「はい、大丈夫ですねこれなら。コマンドプロンプト様のサポートのおかげです、ありがとうございます!」

 

 本来の何分の一かだけでも、彼女としては格段に楽になったようだった。以前は必殺奥義を放てばそれだけでガス欠になっていたのが、今も多少の余裕をもって魔天形態を維持できている。

 この調子で今、俺が封印拘束している一体目のほうもどうにかできればさらにパワーアップができるだろう。現時点でもあとは一人でどうにかできると豪語するミュトスに俺は、頼もしさを感じてうなずいた。

 

「一人でできるならこの場は任せたい。封印拘束はし続けるから、あとはウーロゴス内のオペレータを取り除いてさっきと同じにするだけだ。回収した彼らは、ええと地上の」

「あ、分かります! さっきの青い髪の女の子のところに持っていけば良いんですよね? 災海さんの力でワームホールが開けますので、それで引き渡します」

「そうなの? さすがは元ワールドプロセッサだな……ああ、それで頼むよミュトス」

 

 まだ見ぬミュトスのもう一つの力、三界機構は最後の一つたる災海の能力で空間転移さえできるらしい。便利なもんだけど、元々が俺やこの世界のワールドプロセッサと同格な存在の力なんだ、できないはずもないか。

 これなら安心してミュトスに後を託せる。俺は一息ついてから、スマホを取り出した。上空だから万一にも落とさないようにしっかり握りしめながら電話をかける──ヴァールだ。

 

 すでに時刻は17時30分を過ぎた。式典も佳境か、あるいはすでに終わっているだろう。今なら繋がってもおかしくはない。

 こっちから電話をかけるのってなんか緊張するよね、特に最初の一言目。でも今はそんな陰キャあるあるに構っていられないのだ、意を決して何度かのコール。

 

 電話は割と早めにつながった。緊迫した声がスマホ越しに聞こえてくる。

 

『山形公平か? 今どうなっている、教えてくれ』

「窓からこっちの空、見えるだろうけどミュトスの権能が現れた。どうも権能を分割しているみたいで二体目いたけど一体はミュトスが始末してくれたよ。連中はウーロゴスとか呼んでいるそうだけど、残るもう一体も彼女に任す」

 

 端的に聞いてきたので端的に答える。目下最大の懸念点だったウーロゴスに地上のスレイブモンスターについては一段落つきそうなんだけど、それでもまだまだ緊急事態だからね。

 俺の説明を受けてヴァールも短く吐息を漏らす。この手の騒ぎにおいては何度も陣頭指揮をとっている彼女はさすがのもので、すぐさま俺に指示を投げてきた。

 

『把握した。それではそちらのウーロゴスとやらはミュトスに任せて、あなたは一旦式典館に戻ってきてくれ。こちらは認定式が終わり18時からの立食パーティーに向けて準備が進められている最中だ。未だ沿岸部に怪しい動きは見られないが、こうしてことが起きてしまった以上はいつ何時、何が起きて、も────?』

「……ヴァール? どうした?」

 

 説明の最中、不意に途切れる声。上空ゆえに電波が悪いのかとも一瞬思ったけど通信状況に異常は見られない。

 だとしたら、電話越しに何かが起きている。

 

 ──と、その時。はるか探査者式典館の向こう、海沿いにあたる部分が膨らみ上がるのを俺は見た。すっかり真っ赤に染まった空に、海が山のように盛り上がっていく。

 これは。即座にその正体にあたりをつける俺に、ヴァールの硬直しきった声が飛び込んでくる。

 

『…………どうやら、三体目のようだな。ウーロゴスだ』

「このタイミングで、三体目か……!!」

 

 一体どれだけ分割して手駒にしているのか。完全に式典館近くにまで詰められての、極めてまずい一手だ。

 おそらくは海深くから召喚スキル持ちが喚び出したんだろう。式典館に俺がいたなら事前にオペレータの気配にも気づけたんだろうけど、ウーロゴスへの対応にこっちまで出張っていたから気付けなかった。

 

 これは……すぐにでも行かなければならない! ミュトスがこちらにいる以上、アレの足止めができるのは俺かシャーリヒッタ、ヴァールだけだ!

 ワームホールを開く。繋いだ地点はもちろんウーロゴスのすぐ前、式典館の上空だ。それからミュトスを一度見て、俺は早口で告げた。

 

「この場は任せる! ウーロゴスの封印拘束はしてるから、くれぐれも中にいる人間に危害は及ばないようにだけしてくれ!」

「合点承知の助! なんですけどその、私もそちらに行ったほうが良いのでは!? それかこっちの封印拘束を解くとか!」

「いや、こちらのを長引かせても現場に混乱が出る! それにあっちにはシャーリヒッタやヴァールもいるから、俺も加われば足止め自体はできるさ……それにこっちの封印を解くと暴れ出したら町に被害が出る! 優先順位だミュトス、まず君は目の前の一体目を片付けてくれ!」

 

 一体目か三体目か。難しいところだけれど、現場が未だサークルや過激派、スレイブモンスターと戦っていることを考えるとやはりミュトスには一体目から始末してもらうほうが良いように思える。

 三体目はそれからのことだ、足止めくらいなら俺達にもできる。

 

 そんな話を矢継ぎ早にして、俺はワームホールを潜り抜ける。

 式典館には指一本も触れさせない……! その一心でやつの眼前へと躍り出たのだ!




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