攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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いくら非殺傷でもうっかり破壊光線を食らうのはちょっと……

 さらなる三体目のウーロゴスの登場。それを受けて一体目の相手をミュトスに任せて俺は空間転移で式典館上空、やつの眼前へとワームホールを通って移動した。

 実際には式典館からは多少離れた沿岸部、警護探査者達が乗る船が眼下にて右往左往する海上に表れた形になるね。

 

 いきなり敵に距離を詰められた感があるけれど、それもここまでだ。

 ウーロゴスだけでなく海中から続々現れるモンスターや能力者達の気配を感知しつつも、俺は脳内のアルマ相手につぶやいた。

 

「三体目のウーロゴスに目を奪われている隙に海から来ているのか……これほど手の込んだ仕込みをしといて、異世界の神の権能を完全に囮くらいにしか見てないなんて。とんでもないことをするな、ダンジョン聖教過激派も、サークルも!」

『制御もできない力なら、いっそ割り切ってデコイにしてしまえば良いって感じか? 思い切りの良さは褒めてあげたいけど、ウーロゴスに対して完全に対処しきれる存在がいたのまでは読みきれなかったみたいだね』

 

 異世界の神の権能を複数体に分けて運用する。それそのものがもはや神の御業とでも言うべき代物で生半可な概念存在では成し遂げられないことのはずなんだ。

 それを実現させておいて、けれど制御が難しいからとあっさりただの目眩ましとして割り切って使う。信じられないドライさだ……手段と目的を一切見誤っていない厄介さを感じさせるほどに。

 

 三体目のウーロゴスもやはり制御できておらず、現れたはいいものの棒立ち状態で何かをするわけでもない。頭上にやはり何者かオペレータがいるようだし、この分だと体内にも何人か埋め込まれているんだろう。

 となればやることは同じだ。召喚役を仕留めた後、ミュトスの到着を待ってから維持役を取り除き権能を取り戻させる。向こうでもう一体倒してからこっちに来るだろうし、さっきよりもさらにパワーアップした状態で来るだろうから対処もまるで問題ないと思われる。

 

 あとは地上、というか海上の様子だな……俺は小さなワームホールを開いた。宛先はいくつも並ぶ船のうち、シャーリヒッタとベナウィさんが乗る一隻だ。

 すでにモンスターと犯罪能力者達はやって来ていて戦闘も行われ始めている。二人も戦闘を始めているようなら話しかけるのはなしだけど、さてどうか。

 

「ワームホールよ、シャーリヒッタの近くに、邪魔にならない程度の大きさで開け──ええと、大丈夫かな?」

「! とうさ、もとい公平サン!! ご無事ですか!?」

 

 つなげた途端、反応が来た。小窓サイズのワームホールの向こう、中型クルーザーの船上に立つシャーリヒッタがすぐさま俺を覗き込んできたのだ。

 その後ろにはベナウィさんはじめ探査者の人達もいる。いきなりワームホールなんてものを見たからか、驚きの声も聞こえてくるね。

 

「なんだあれ、スキルか!?」

「通信的な効果のスキル……? そんなの聞いたこともないけど、まあシャイニング山形のやることだしなあ」

「さっきもなんか空中戦してたしな。ネットでさっそく配信されてるよ、シャイニング山形が謎のS級モンスターからマスコミを救ったって。とんでもないルーキーだなあ、まったく」

「えぇ……?」

 

 スキルですらない、コマンドプロンプトとしての権能だから驚くのは当然としても俺のやることだからってなんだよぉ。

 ていうかさっきの一体目とのやり取りとかヘリコプターのみなさんとのアレとかもうネットに出回ってるのかよ。怖ぁ……情報伝達の速度が光より早い!

 

 結局マスコミのみなさんは無事に避難してくれたみたいで何よりなんだけど、案の定とでも言うべきか話がこんもり盛られてそうな気がしてならない。

 先輩のみなさんの呆れというか感嘆というか、畏怖めいてすらいる声色がおつらい。止めてくれ止めてくれ、そんなとんでもないルーキー扱いなんて柄じゃないんだ、俺は。

 

「こ、こほん! ……こっちは大丈夫。そっちはどうかな? 今もうモンスターや能力者達が近くにまで来てるっぽいけど」

「もちろん問題ありません! モンスターはまとめてベナウィの《極限極光魔法》で全滅させてやりますし、能力者どもも別口に動いてる捜査官達が相手してますし!」

「なんならミス・シャーリヒッタのスキルで私のスキルが一時的に威力調節してもらえるみたいですからね、ミスター・公平。殺傷力はなくして、けれど衝撃はそのままという塩梅で撃てば、モンスターのついでに能力者達も軒並み気絶させられるでしょう」

「怖ぁ……」

 

 力強く断言するシャーリヒッタと、背後からにこやかに語るベナウィさんがなんとも頼もしくも怖い。

 近くの探査者さん達もなんだドン引きしてらっしゃるよ。

 

 シャーリヒッタの持つ権能を、スキルに落とし込んだその名も《異分子処断権限》。

 今現在はたしか第三種、オペレータへの絶対権限が付与されているはずなんだけど、それを用いてベナウィさんのスキル《極限極光魔法》の出力を一時的に改竄するつもりでいるわけだね。

 

 これによってダンジョンの一階層をまるまる大部屋にしてしまえるほどの異質な威力と範囲はそのままに、けれど殺傷性はないというチートモードになるって寸法だ。

 シャーリヒッタとベナウィさんが揃って初めて可能な合体技なんだけど……こと今回において、モンスターばかりか能力者も相手にする上ではこれ以上ないほどのコンビネーションと言えるだろう。

 

「海から来るモノ達についてはこちらに任せ、ミスター・公平はどうぞ遠慮なく聳え立つ化物退治をお願いします」

「連中の一人一匹だって、ここから先は通さねえ! 大船に乗ったつもりでいてくれよな、公平サン!!」

「よろしく頼みます、二人とも!」

 

 力ある探査者としての自信に溢れた言葉をくれる二人に、俺も心から信頼を寄せて海から迫るモノ達の相手を任せる。

 俺の相手はひとまずウーロゴスだ……ワームホールを閉じて俺は、やつの頭上にいるだろうオペレータを確保すべく動くのだった。




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