攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
やたら疲れる連中をとにかく気絶させてエリスさんの下に送った。サークル……本当に一体何がしたいんだ?
なんとなく一枚岩じゃなさそうな感じはしている。さっき酒盛りしていた男が目的とかどうでもいいとか言ってたし。社会構造を変えたいって層とは別に愉快犯的な、とにかく騒げればそれでいいって連中も少なからずいそうだよ。
「さすがに首脳陣はもっと明確な理由や目的、ビジョンを持ってそうだけどな……たしか藤近とか、瀬川とかだったか」
『どのみちしょうもない話だろうけどね。あんなのを抱え込んでるような組織だ、どんな理想やらなんやら掲げようが高なんて知れてる』
「そんな気もするが、さて──と?」
脳内のアルマが辛辣なことを言うにもほどほどに応えていると、ウーロゴスの巨体が動くのを見た。
制御の取れない、すなわち本能というかランダムに動くしかできないだろう巨大な力の塊が、その腕を振るったのだ。
意思がないから当然殺意もない。巨大だった頃のアイと同じだが、決定的に魂ってものがないただの権能そのものなため、あの子と違って気分次第とかそういうものですらないのだ。
偽りの神の器と同じか、むしろ。目についたから反射的に動くだけのモノにすぎない、それがこのウーロゴスって存在の正体だった。
「封印拘束は一体目のやつに使ってるし、地道に体内を抉ってオペレータを取り出すか……骨が折れるなあ」
『権能の本来の持ち主、さっきのミュトスとやらはどうした? そろそろこっち来てもおかしくないだろ、君が身動き取れなくしてるやつをじわじわ嬲り殺しにしていくだけの簡単な作業なんだから』
「言い方ァ! いや実際、結構気を使う話だと思うぞ。こんなのの中に埋め込まれた人を助け出しつつ攻撃するって」
アルマとやり取りしながらいくらか攻撃を仕掛ける。極限倍率でちょいちょいっと極細ビームを出してウーロゴスに穴を開け、中に人がいないか確認していく。
うーん、効率が悪い……けど一気にやりすぎると中の人達を巻き込みかねないし。いくら非殺傷性山形くんビームと言えど人間、それも仮死状態になってるような人達を撃ちたくないんだよなあ。
なんか他にやりようがないものか。いっそミュトスみたく一条の流星シューティングスター山形くんになってウーロゴスに突撃、シャイニングタックルをお見舞いするべきか。
個人的に他者の権能に突っ込んでいくというのがどことなく嫌な感じなんだけど背に腹は代えられない、と思ったその時だった。
ポケットのスマホが鳴動した。電話だ、またヴァールかな?
「ほいほいもしもし、山形くんですけど」
『ヴァールだ。現状はどうなっている? あなたがこちらに来てくれたのは分かるが、詳しいところの報告を頼みたい』
やっぱりヴァールだった。人が大勢いそうな感じの、ざわつきが聞こえてくる場所から話しかけてきているみたいだね。
時間的にももう立食パーティーとかやり始めててもおかしくないし実際行われてるんだろうけど、現場が気になっちゃうんだろうな、立場的に。
改めて責任感が強い子だなあと感心しつつも説明する。近くにはマリーさんとか香苗さんがいるんだろうか、微妙に声が聞こえるや。
「ああ、特に問題ないよ。三体目のウーロゴスを喚び出したやつも大人しくさせてエリスさんのところに送ったし、後は中のオペレータを助け出してミュトスに片付けてもらうだけだ」
『そうか。ミュトスは今すぐ来れるのか? まだ向こうにもウーロゴスはいるようだが』
「もうちょいかかるかなあ……? まあそれまで俺がこいつの相手をしておくとするよ。多少手間だけど、えっちらおっちらやってくさ」
遠くの空を見れば流星が一体目のウーロゴスをギッタンギタンにしている。何度も何度も体当りしては穴だらけにして、時折姿を消してはまた現れているのだ。
俺の言ったことを忠実に守っているんだな、ミュトス。ウーロゴスの中身を丁寧にくり抜いて、そこに潜む仮死状態のオペレータを回収して空間転移でエリスさんのところに連れて行くわけだね。
オペレータの気配がないことから手当たり次第の突撃なわけで、それで時間がかかっているのだろう。そればかりは仕方ない、むしろテキパキとよくやってくれてると思うよ。
だからこっちは今しばらく俺が足止めと、あとオペレータの回収くらいは受け持とうかなーなんて考える。
地上のほうでも戦闘が繰り広げられているみたいだし、海上もさっきからいよいよベナウィさんがスキルを使い出したのか度々、白い光が海を薙いでは盛大な水飛沫をあげている。
その後プカプカと、水面にサークルだかダンジョン聖教過激派だかの構成員が浮かんでいるのがなんていうかこう、やったら怒られるタイプの漁法を彷彿とさせるやつだな!
それを回収していく近くの探査者の船やらおまわりさんの船を怖ぁ……と眺めていると、電話越しに、思わぬ声の闖入者が聞こえてきた。
『──そういうことならっ!! 私におまかせくださいませ救世主様!』
「え……香苗さんっ!?」
『そうですあなたの伝道師、いつもいつでも伝道師! 御堂香苗、今こそ救世主様のために我が力を発揮する時が来ましたっ!!』
今まさにスマホの向こうにて行われている立食パーティーの主役のはずの人。S級探査者なのに頑なに伝道師であることをアピールしてくるいつもいつでも伝道師さん。
我らが御堂香苗さんその人が、力強く俺達の会話に割って入ってきたのである。
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