攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ダンジョン探査RTAの破壊者めぇ!!

 いきなりハッキリと聞こえてきた香苗さんの声。察するにヴァールのすぐ隣とかまで来てるんだろうけど、それ以上に戸惑うことが俺にはあった。

 ……なんで伝道師モードになってるのこの人。声色が明らかに信仰キメちゃってるもの。怖いもの。

 

『伝道師として、S級探査者としてもはや何もしないわけにはいきません! ちょうど披露しようと思っていた我が究極の奥義、ウーロゴスなるあの化物を食い止めるのに必ずや役に立つはずです!!』

「き、究極奥義? ……香苗さん?」

『ついにこの時が来ました元より認定式の際にお披露目するつもりでしたがこんなにもお誂え向きなタイミングがまさか到来しようとはいえ喜ぶわけにはいきませんあまりにも不謹慎ですしかし胸の高揚は抑えきれないのですなぜならば開発した究極の技こそは対S級モンスターを想定したものでもあるのですからですのでどうか安心してこちらにお戻りください公平くんあなたが近くにいてくださるならば百人力いえ億人力いえいえそれでも足りない無限力ですあなた一人になんでもしていただく必要はないのだとあなたには頼れるこの伝道師が常にお傍にいるのだと知っていただきたくもあるのですさあ来てください救世主様そして今こそ見届けてください新たなる伝道師の姿新しい御堂香苗の力を!!』

「香苗さん!?」

 

 怖ぁ……句読点飛んだよ、おそらくは大勢のVIPさん方の前で。

 もうこの時点で大事故なんだけど、さらに香苗さんは何やら新技を披露したいと仰っている。

 

 対S級モンスター用の奥義であり、ウーロゴスのような巨体を相手するのにお誂え向きらしいんだけど、どうも嫌な予感が拭えない。

 こないだも知らん間に俺との合体技を拵えていたこの人が、今度は何をどんなふうにしでかすのか。実力面では疑う余地の一切ない人だけど、伝道師としての暴走がただひたすらに懸念されちゃうよ。

 戸惑う俺の耳にスマホ越しに、ヴァールの声が聞こえてきた。

 

『ついに出たな伝道師、今までやけに大人しいと思ったら……伝道師がどうこうはともかく、やれるのか』

『無論。やれなければ言いませんこのようなこと、今も戦ってくれている多くの方々に失礼になってしまうではありませんか』

『それが分かっていてなぜ伝道を……いやいい、ややこしくなる。とにかく山形公平、一旦ワタシ達のところにまで戻って来てくれるか? おそらく御堂香苗が単独で相手できる。あなたも少しインターバルを挟んでくれ、一人でよくここまで受け持ってくれた』

「え、えぇ……? わ、分かった……」

 

 本当に香苗さんにやらせる気だ!? おそらく一体目のウーロゴス出現から出ずっぱりな俺のコンディションを気にして休憩を挟むよう言ってくれてるんだろうけど、良いのか? 今回の式典の主賓にそんなことさせて。

 いやまあ、本人の熱烈な意志もあるし、彼女もS級探査者だしね。S級モンスター相当として扱われるだろうウーロゴスがいる以上、出張るのも特に無理からぬ話ではないか。

 

 あとは香苗さんという、国内11人目にして世界最新のS級探査者の力を関係各所にお見せできるって利点もあるのか。いわゆるデモンストレーション的なやつ。

 来賓さん達にもこれ以上なく分かりやすい形で新しいS級の実力を披露できるわけだし、ヴァール的にもそこまで困る話ではないってことかな。

 

 ともあれせっかく言ってくれてるのだし一旦戻ることにする。

 三体目のウーロゴスはぬぼーっと突っ立ったまま、特になんらかの動きを見せる気配はない。攻撃的でもないんだよなこいつら、意志とかないんだし当たり前なんだけど。

 

 今のうちに交代できるならしておくかとワームホールを開いてヴァールと香苗さんのところに。

 式典会場のど真ん中、立食パーティーのまさに真っ最中のところにお邪魔するわけだけどそこは許していただきたい。

 

「ただいまー」

「! 公平くん!」

「ファファファ、おかえり〜」

 

 ヴァールの気配を辿ってやって来たそこは、式典館の庭先でビュッフェ形式にテーブルと料理が並べられている。もちろん人もたーくさんいらっしゃるよ。

 

 突然現れた俺にも多くの視線が突き刺さる中、ヴァールと香苗さん、マリーさん、あとセーデルグレンさんと愛知さんもやってくる。

 いつもの面々はともかくセーデルグレンさんと愛知さんは今、ワームホールをこともなげに使った俺に目を白黒させている。まあ空間転移だしね、仕方ないね。

 

「い、今あの子、なんか変な穴からうにょーって出てきたよね、九葉くん……」

「え、ええ。スキルでしょうか? おそらく遠く離れたところから瞬間移動する効果のようですが……」

「…………アレさえあれば、ダンジョンRTAに新たな風が? いやでもさすがに無法すぎる気がする、レギュレーションに一石を投じなきゃ……」

「ブレないですね……」

 

 さすがはダンジョンRTAの第一人者のセーデルグレンさんだ、俺のワームホールを見て即座にRTAに活用しようとしている。

 このブレなさ、なんだろう香苗さんをライバル視しているのも頷けなくもないよね。愛知さんはそんな彼女にツッコミを入れているあたり、こちらはすごく常識的な感性の持ち主って感じでホッとするよ。




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