攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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伝道師御堂香苗の直筆サイン、プライスレス

「いかがでしょうか皆様! これが伝道師にしてS級探査者たるこの御堂香苗の奥義! 救世主様への尽きるどころかますます燃え盛る尊敬と崇拝と愛の結晶でございます!!」

「いかがでしょうも何も、なあ……」

「すごいのはすごいと思うが、ねえ……」

 

 香苗さんの新奥義"伝道虹彩"プリズムアーク・エヴァンジェリスターが発動し、ウーロゴスをボコボコに殴り倒していくすごい光景。

 角度によっては俺に見えなくもないエネルギー体が、敵の身体を殴り穿っては風穴を開けていくのだ。そして体内にいる仮死状態のオペレータを回収し、器用にもこちらに体の一部をニョキニョキと伸ばして連れてくる。

 

 そうしてオペレータをすべて取り除き、ドヤ顔で観衆を見て香苗さんは叫んだのだ。これこそが伝道師の奥義でござい、と。

 対する反応はまあ、ドン引きというか困惑しかないよね。身なりの良いVIPさん達も盛大に戸惑い、互いに顔を見合わせて気まずげな空気さえ出しているもの。

 

「そもそもこの技を編み出すに至った経緯は我らが救世主山形公平様が日進月歩の成長をし続ける中ふと考えたからなのです私もこのままではいけないと日々宇宙が広がるよりも早く進化し続けている救世主様は無論我々では到ることのできない境地にいることは間違いないのですが我々のほうもせめて心ばかりはそれについていく気概をみせねばなりません救いの手を差し伸べられる立場に甘んじることなく御方の教えや在り方をよりあまねく世界に広めるためには私達のほうも日々成長する気構えが必要なのです翻ってまずはこの伝道師御堂香苗こそが率先してそれを示さなくてはならない世に星の数ほどもある人々の中でそれでも伝道師としての使命を授かることができた私のそれは使命であり責務であると信じるからですそして私の挑戦が始まりました救世主様のお姿お力をより分かりやすくみなさまに示すための努力ですスキルの出力制御技術の向上はひとえにただそのためだけのものです何よりも示すべきは救世主様の威光偉容偉大さ素晴らしさそれを追求して生まれたのがこのエヴァンジェリスターなのです!!」

「怖ぁ……」

「こ、れは……どう、反応、したものか……」

「ファファファ! ファファファファ!!」

 

 そして全力全開で句読点を飛ばす伝道師さん。ああ、今日一輝いていらっしゃるよ……さしものヴァールもこれには閉口して、ひたすらに困ったように俺をチラチラ見るばかりだ。

 隣でマリーさんが腹を抱えて笑っているのとは対照的すぎる。逆に何がそんなに面白いんだろうね、マリーさんはマリーさんで。

 

「や、山形公平……と、とりあえずウーロゴス内のオペレータはすべて回収し終えたと見て良いのだろうか?」

「あ、ああ。そこはたぶんな。あとはミュトスの到着を待つばかりなんだけど……あ、来た」

 

 三体目のウーロゴスもほぼほぼ弱らせた。あとはアレを真の意味で倒すことができる唯一の存在、精霊知能ミュトスの到着を待つだけだ。

 早めにしないと維持役のオペレータを失ったことで消えちゃいかねないんだけど……言ってる間に彼方から飛来する一条の流星めいた白い光。

 

 見れば俺が封印拘束していた一体目を見事やっつけて、ミュトスが訪れたようだった。俺を視認してか、ひとまずここにまでやってくる。

 いやあの、ここ式典会場なんですが。

 

「────お待たせしましたミュトスでござーい! 山形様、すみません遅れやした〜っ!」

「お、女の子、天使か女神か!? 美人だが、今空飛んできたよな!?」

「う、美しい……!? シャイニング山形の知り合いなの、あの方も!?」

「ハーレム救世主シャイニング山形……! 噂は本当だったんだ! あいつやっぱりそういうことしてるんだ!!」

「してませんけど!! 誤解ですけど!!」

 

 突然現れた、美しい長髪を靡かせて天空より現れた美女に周囲の、特に男性陣が驚きと何やら喜びの声をあげた。

 まあ、ミュトスの容姿は俺の知る美女美少女にも勝るとも劣らないほどだから気持ちは分からなくもないんだけれど……俺の知り合いだからってすぐにハーレム救世主ネタに繋げるなよ! さすがに誰か知らんけど反論しちゃったろ! お偉い方でしたらごめんなさいね!!

 

 謂れなき誹謗にもめげない健気な山形くんの気持ちを知ってか知らずか、ミュトスはひとまず俺のところまで来てニッコリと笑った。

 可憐な笑みだ。ノリと言動が古臭いだけで、この子正真正銘女神だったんだよなあと、納得できる素敵な笑みだった。

 苦笑いしながらも応じる。

 

「お疲れ、ミュトス。一体目も無事に取り戻せたの?」

「はい! まあ例によって力の一部だけしか戻らなかったですけども。いやーたはは、相当ウーロゴスを分割してますね、あの人達」

「プラナリアみたいにするよね、本当……」

 

 頭をかいて軽く笑うミュトスに、なんだかこっちが申しわけなくなる心地だよ。うちの世界の概念存在がひどいことをしちゃって、もう。

 権能だけの状態ってのが通常まず、あり得ない代物だってことを加味してもなお……だったらそれを分割して使えばいいじゃん! って考えて実際に切り刻んでしまった委員会側の概念存在はかなり悪辣だと思える。

 

 そりゃ実際、運用としては正しいんだろうけども倫理的な面とかさあ、あるじゃん?

 普通しないんだよ、できるからって誰のかも分からない権能を細かく切り刻んでそれぞれ便利に悪行使いするなんて。まったく。

 

「それで、ええとこっちにいるのも相手しに来たんですけどー……今、なんか虹色に光ってるアレってなんなんですか? たぶん味方かなーとは思うんですけど」

「まあ困惑するよね……アレは味方だよミュトス。あちらにいらっしゃる探査者、御堂香苗さんのスキル《光魔導》の効果だよ」

「御堂香苗さんって言いますと、あー伝道師の方ですね! システ……けふんけふん、界隈でも大人気の超有名人じゃないですか! どひぇーっ、後でサインもらわなきゃ!! "ミュトスさん江"って一言添えてもらうアレ!」

「えぇ……?」

 

 香苗さんを紹介するなりはしゃぎ始めたミュトス。香苗さん、そんな反応されるくらいシステム領域でも人気なんだな……こないだも救世の光に興味を示す精霊知能の子達とかいたもんな、そう言えば。

 にしてもサインもらうほどなんだろうか、伝道師の直筆サインってなんか、すごい欲しいような欲しくないような絶妙なラインだよ。

 

 そんな話はさておいても、ミュトスに促せば彼女は香苗さんのところへ向かっていく。

 選手交代だね、ここからはミュトスのターンだ。何割かでも力を取り戻した今、三界機構の力を借りての技は、さらに鋭く冴え渡っていることだろう。

 その姿、見せてもらおうかな!




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