攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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スキルどころかレベルすら嘘くさくなってきた男、山形公平

 まさかの《アストラルセンス》持ちの召喚スキル保持者、愛知さんに圧倒されつつ、俺も自分のレベルと戦闘スタイルを伝えることにする。

 彼女がさっき言った通り、探査者証明書からだと俺のステータスなんて意味不明と言うか、一体どういうタイプの探査者なのか何一つ分からないからね。

 

 スキルの欄、一行目から《風さえ吹かない荒野を行くよ》だもの。そこから10行くらいポエミーな羅列が続くわけで、こんなもんで俺の人となりを察しろと言ってもとってもポエミーなんですね! としか返ってくるわけもない。

 というわけで簡素な答えだけを求めてきた愛知さんはすごく真っ当な判断をされたのだと納得して、俺は彼女に告げるのだった。

 

「今度は俺ですね……レベルはジャスト1000。戦闘スタイルは基本的に近接格闘、徒手空拳がメインですが中長距離、広範囲向けの攻撃スキルも保持しています。あと応用次第で防御系に転用できるスキルも一応あります」

「…………1000か。探査者になって半年未満でそれは、あまりに異様な。実は探査者登録する前からモグリで活動とかしてなかった?」

「してませんけど! いえまあ疑われるのも当然ですけど本当のことなんです、ホラ証明書! 更新してないから三桁表記ですけど、さっきステータスを確認した時にめでたく四桁になっちゃいました!!」

 

 なんてこったレベルだけでも証明書が必要なくらい疑惑を持たれてしまった。当然の話である。

 春先からこっち、半年どころか5ヶ月でこの有り様である。いくらなんでもやりすぎちゃうかワールドプロセッサはん!? と言いたい気持ちも若干湧いて来るけど、俺の相手として想定していたやつがやつなので仕方がなかったのも分かる。

 

 これも全部邪悪なる思念ってやつが悪いんだ、いやマジで。

 どんだけレベル上げても追いつかないから、レベルごと基礎戦闘力をお手軽に倍がけできるバフスキルを盛って、その上でレベルをめちゃくちゃなスピードで高められるよう、各種称号効果で補強しまくったのがこの俺、山形公平なのだ。

 

 モンスター相手の獲得経験値5倍に、ダンジョン踏破ごとに確定レベルアップ。

 その上で決戦スキル保持者たる香苗さん、マリーさん、リンちゃん、ベナウィさんの経験値も俺に流れ込んでくる始末。

 

 こうならないわけがない。極端な話、毎日1回F級ダンジョンの探査をテキトーにしてるだけでも、3年かければレベル四桁なんだもの。

 探査者になってからこっち、リッチだのドラゴンだの三界機構だの邪悪なる思念だの、倶楽部だのなんだので大忙しだった俺はさらなる猛スピードでこんなところにまで至っちゃったのは、仕方のないことなのだった。

 

「いや、まあこればっかりは天からの授かりものですしね? 俺の意志がまるで介在しない形なので、どう仰られましてもこれが俺、としか言いようがないというのはご承知おきいただきたいなーと思いましてェ……」

「それはもちろん分かっているよ。気を悪くしたのなら申しわけない、ただ少しばかり、気が動転しただけなんだ」

「めっちゃ分かります……」

 

 誰だってビックリするよね、こんなやつ見たら。愛知さんの気持ちがよく分かるから、俺としても分かりみと気まずさが深い。

 ともかくお互いの手の内はある程度知り合えたのだ、このタッグで先代聖女アンドヴァリことアレクサンドラ・ハイネンと当代聖女シャルロット・モリガナを追う形になる。

 

 スレイプニルの速度は素晴らしく、あっという間に都市部上空へとたどり着きあちこちを駆け巡っている。

 眼下、地上を見下ろせばスレイブモンスターやサークルの構成員だろう私服の連中にダンジョン聖教過激派らしき法衣の者達が徒党を成して探査者達と激突しているね。

 

「人とモンスターが手を組んで! 何やってるんだ馬鹿者どもが!!」

「理想の世界実現のため! 我らは悪しき力をも用いて大ダンジョン時代社会に天誅を下すのだっ!!」

「探査者ってだけで調子乗りやがって! この世界丸ごとぶっ壊しててめぇら全員奴隷にしてやるっ!!」

「サークルのやつら……若い身空で何してる!? 真っ当に生きやがれ、人に迷惑をかけるなっ!!」

「なんか上空、馬がいるけど気にするな! さっき連絡があった、ありゃ味方の召喚体だ! S級探査者の愛知九葉だーっ!」

 

 人間対人間の、スキルや悪魔の権能だろう膂力を使い合ってのせめぎあい。あってはならない事態を目にしてしまった……やるせない気持ちを抱く。

 こんなことが起きてしまった、こうなる前に防げなかった時点でこちらの負けと言えば負けなのかもしれないが、それでもこうなったからには今、できることをやるしかないのだ。

 

 それに、さすがに防衛網をしっかり敷いている分こちらのほうが数、質ともに有利であちこちの戦線で押し切れそうな空気になっている。

 もうじき日が暮れる。暗くなっても町中だからそこまで視界が塞がることもないだろうけど、そろそろ決着がついてもおかしくはない。

 言ってる間に立食パーティーも終われば認定式は成功と断言してもいいからね。そこまで行けば連中もひとまずは退却するだろうさ。

 

「…………ん?」

「シャイニングさん? どうした、何か見えたか」

「今、向こうのほうに多数の能力者の気配があります。戦線から大分離れていて、不自然かと」

 

 ふと感知したのが都市部から多少離れた地点、今せめぎ合う戦場からもずいぶん離れた、そもそも防衛範囲に入っていない地点にいる何十人ものオペレータの気配だ。

 いかにも怪しい……アンジェさん達であってもそうでなくても、そんなところになぜそんな大人数で集まるのか。

 

 愛知さんも訝しんだようで俺と顔を見合わせる。

 そして一路、彼女はスレイプニルに命じてその方向へと進路を変更したのであった。




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