攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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一人でファンタジー濃度を跳ね上げてくるぞ、このS級……!

 都市部から離れたところになぜかかなりの数、集まっているオペレータ達。

 何やら怪しいものを感じた俺と愛知さんはスレイプニルに頼み、そちらのほうへと向かってもらうことにした。

 

 最前線のほうは問題ないだろう……腕利きが揃って防衛戦しているわけだし、スレイブモンスターも着実にその数を減らしている。

 押し切れるのは時間の問題だろうってことで、こっちはこっちで拾い上げた僅かな違和感を無視しないよう動くことにしたのだ。

 

「不自然なまでに離れたところにいます。怪しいですね……アンドヴァリとそれを追いかけたシャルロットさん、アンジェさん達の可能性さえちらつくほどに」

「都市部を離れて、これは……町中なのは間違いないけど、結構離れて、自然公園のあるあたりか? 君の感知効果をあてにするなら、そのへんになるけど」

「自然公園……?」

 

 俺の感知しているオペレータの気配に沿って、スレイプニルを動かしてもらっていると愛知さんが怪訝そうにつぶやいた。

 自然公園。首都圏にはいくつか大きいところがあるらしいから存在自体はまるで不思議でもないんだけれど、都市部からそこそこ距離が空いたそこに複数人、集まる理由とは一体?

 

 ……さらに高まる違和感。アンドヴァリ絡みであろうがそうでなかろうが、確認だけはしておかなければならないだろう。

 と、愛知さんがおもむろに手を掲げた。先程と同じく、高らかに宣言を始める。

 

「条件は三つ。一つ、制空権確保状態、ないし均衡状態であること。二つ、他のドラゴン系統を召喚していないこと。三つ、金銀財宝が近くにあること──これは私の称号《召喚士》の効果で無効にして破却。実質二つ分の条件達成のみをもって契約とする」

「愛知さん、まだ何か喚び出すつもりです!?」

「同時に満たせる召喚条件の枠が残っているからね。相手が誰であれこの大事だ、出し惜しみはしない……スキル《召喚》発動! 現われろ神話生物、ワイバーンッ!!」

 

 スレイプニルだけでも特大の召喚コストと言っていいものを、それでもまだ三つ分召喚条件可能達成枠が残っているからと追加で《召喚》を発動する愛知さん。

 さすがはS級だ、神話生物に神話生物を重ね呼びするとは! ワイバーンなんて俺でもゲームとかやってるからよく知ってる、ドラゴン系の概念存在じゃないか!

 

 発動とともに魔方陣かスレイプニルの横に展開し、そこから飛び出す翼の生えたトカゲ。

 緑がかった灰色の肌、鱗。腕の代わりに翼が生え、鋭い眼光と牙、爪がモンスターさながらだがモンスター以上の圧力を感じさせる。

 

『ギュルルルルラララララァッ!!』

「ど、ドラゴンだ……」

「さすがにS級モンスターとしてのドラゴンほどじゃないけどね。それでもワイバーン一体でB級モンスターの群れを薙ぎ倒すくらいはできる」

 

 おお、竜だ。ワイバーンだ……!

 イメージ通りのソレが、俺の眼の前に現れたことにちょっとマジで感動しちゃう。今この周辺、すごくファンタジー濃度が上がってるんですけれどもこれ!

 

 思わずワイバーンをじっくり見ちゃう俺ちゃん。モンスターとしてなら何度かドラゴン系統も見たことあるけど、やっぱ雰囲気とかデザインとか微妙に違うもんだなあ。

 というか愛知さんすごいな、こんなにポンポン大物を喚び出せるとか。この調子だとまだまだいろんな概念存在とも繋がってそうだし、《アストラルセンス》の存在も込みでそりゃS級にもなるよ。

 

 感心しているとその愛知さんがワイバーンに指示を投げる。

 声に迷いなく、凛としたよく通る号令だった。

 

「ワイバーン! このまま前方、自然公園にいる探査者あるいは能力者の元へ向かい威嚇しろ! ひとまず連中をまとめて抑える!」

「先行させる……ってほどでもないですか。もう見えてきてますしね、自然公園っぽいの」

「どちらかと言えば先制というか横槍的な奇襲だよ。さしあたり連中の正体がなんであれ、人払いもしてないような町中で戦わせるわけにもいかない……ちなみに聞くけど、戦闘っぽいことはしてたのか、その気配とやらは」

「どうですかね? 接触や高速移動はしてなさそうだったので、ギリギリしてないとは思いますけど」

 

 遠目にも見えてきた自然公園、そこへ指示を受け一足先にワイバーンが向かう。スレイプニルもかなりの速度だけどそれ以上のスピードだ、あっという間に一直線に目的地へと向かう。

 俺の気配感知の上ではまだ、例のオペレータ達は戦うとかはしてなさそうだ。だからとりあえずさっさとワイバーンだけでも先行させて、ひとまず横槍を入れるってわけだね。

 

 そろそろこの距離からなら、スレイプニルの背中越しにでも肉眼で見えてくるはずだ……レベル1000にもなった俺の視覚は、非能力者だった頃に比べてなんと50倍にもなっているしな!

 それほどまでに高まったこの視力で目を凝らす。いた……それらしき気配の主達!

 

 ドンピシャだ、俺は愛知さんへと叫んだ!

 

「……見えた! やっぱりアンジェさん達です、愛知さん!」

「! ということはアンドヴァリ、アレクサンドラ・ハイネンも!?」

「います! 距離を多少置いて、取り巻き達と一緒に対峙してます! シャルロットさんもいる!」

 

 遠くに見えたもの。

 ワイバーンの向かう先の自然公園は開けたところにて──アンジェリーナ・フランソワさん達、能力者犯罪捜査官チームの面々とシャルロット・モリガナさん率いるダンジョン聖教騎士団が。

 

 資料で見た女、アンドヴァリと取り巻きらしい連中と睨み合っているのを俺は、たしかにこの目で確認したのだった。




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