攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ダンジョン聖教過激派首領・アンドヴァリ

「ハーイ、公平! ごめんね来てもらって早々、馬鹿共の相手を任せちゃって!」

「謝謝、公平さん! ここからは我々が打って出る!! 千尋やステラだけに戦わせるわけにもいかぬしなッ!!」

「アンジェさん、ランレイさん!」

 

 虐殺、そう言っていいほどの苛烈な攻撃をしていたシャルロットさんを止めたところ、見事にダンジョン聖教騎士団の者達に囲まれ制裁されかけていた俺ちゃん。

 さすがに反撃というか、動けなくはなってもらうしかないかと腹を括っていたところ、援軍がやってきてくれた……アンジェさんとランレイさん。そして愛知さんが、騎士団を薙ぎ払って掻き分けて合流してくれたのだ。

 

 さしもの連中もA級トップランカークラス二人とS級探査者相手には分が悪いようで、蜘蛛の子を散らすように距離を取って散開する。

 ただシャルロットさんだけはまだ、俺が腕を掴んで制止したままだ。悪いけどこの人だけは野放しにできない、あまりにもやることが極端すぎる!

 

「くっ!? フランソワにシェンか、みな下がれ! 巻き込まれるぞっ!!」

「おのれチェーホワの犬、我らが神命の邪魔ばかり!」

「日本のS級までいるぞ!? 馬鹿な、探査者の頂点に近しい者どもが揃って正義の邪魔をするのか!!」

 

 歯噛みして逆上する騎士達だけど、なんていうか極度に視野の狭いことを言う。

 正義かどうかなんてこの際なんでも良いから、とにかく殺人さえ許容するかのようなその言動をこそ改めてくれと言いたい。

 

 少なくともここは日本。いかなる理由があれあんな殺意全開の技を、人に向けて放って良い場所なんてどこにもない国だ。

 それは割って入って俺の近くまで来てくれたアンジェさん達も同じ想いでいてくれて、だから当然のようにそうした主張に真っ向から言い返してくれた。

 

「何しても良い正義なんてあって堪るかっての! あんたらマジでやりすぎなのよ、もう見過ごせないわね!!」

「神命? 正義? 笑止なりダンジョン聖教ッ! まず護るべきはその土地の法と秩序そして人々の安寧なれば、貴様らの行いはそれを犯す紛れもない悪ッ!!」

「七代目聖女シャルロット・モリガナ……やりすぎだな。アンドヴァリを捕らえ次第この国から出ていってもらおう。これは日本政府の総意と捉えてもらって結構だ」

「ぬうっ……神敵どもめ、忌々しいッ……!!」

 

 刀を抜き放ち、斬撃脚の構えを見せて、そしてワイバーンとスレイプニルを後方に控えさせての威圧感。これらを受けてはさすがに気勢も強くはいられないのか、騎士達が慄くのを肌で感じ取る。

 特にさっき、俺に剣を握りつぶされたおじさん騎士だ……歯噛みしてこちらを睨んできている。めっちゃ顔中青筋だらけだし怖いよこの人、血管切れたりしないだろうか心配になる。

 

 しかし参ったな、過激派やサークルそっちのけでまさか真っ先にダンジョン聖教を止めなきゃいけないなんて。

 見れば過激派は死屍累々の有り様だし、サークルの連中はそんな彼らを助けようとして必死だし。

 唯一神奈川さんが敵の青年、瀬川聡太らしき男と切り結んでいるけれど、かなりの勢いと規模の斬りあいだもんで他の構成員達では割って入れそうもないって感じだね。

 

「瀬川ッ! テメェだけには負けてられねえっ!!」

「神奈川さん! いい加減しつこいんですよ、あなたじゃ僕に傷一つ付けられないっ!!」

「やってみなけりゃ分かんねえからやってんだろうが! 犯罪者が、生意気抜かしてんじゃねえっ!!」

『千尋、左ステップ! ……今っ!』

 

 戦いになると結構荒々しいスタイルの神奈川さんが聖剣を振るう。一年も戦い続けてきただけあって鋭い斬撃だけど……瀬川の動きが良すぎる。

 難なく攻撃を回避し、隙を見てカウンターを仕掛ける姿はどう見積もっても神奈川さんより格上だ。ただステラが演算能力を駆使して回避をサポートしているようで、それでどうにか拮抗できている状態か。

 

 悪魔の権能──アンジェさん達の攻撃さえも無効にするというバリアを見て解析したいけど、ちょっと今はこっちもそれどころじゃないな。

 俺はシャルロットさんに話しかける。ひとまず落ち着いて、敵を見誤らないように説得しないと。

 

「モリガナさん、あなたの矛先は間違っていません。ですがやりすぎなんです……捕らえればそれで良いものを、あそこまで苛烈に追撃する必要は」

「──取り巻きだけならばそうでしょう。ですが一人、そうでもしなければ止められないものがいますのでそうしたまでです。シャイニングとやら、よく見なさい」

「…………なんだって?」

 

 俺に腕を取られ、かつスキルをも強制終了させられているにも関わらずまるで反応を示さない冷淡さ。ゾッとするほどに涼やかな横顔は、クールと言うより単に無感情にさえ見える。

 そんな彼女はその顔つきのままに彼方を指さした。ダンジョン聖教過激派、今しがた《光魔導》で攻撃した方向だ。

 

 倒れ伏す者達を、サークルの構成員が助け出そうと右往左往している混沌の場所。見れば、そこに誰かが立っている。

 男……気絶した男。いや、違う。その後ろに誰かいる。男の首を掴んで、無理矢理立たせている。

 

 女だ。金髪を長く伸ばした、何故か着物姿の西洋美女。

 目を極限まで細めており、どこか狐めいた印象をも与えるその顔つきに、俺は唖然としつつも見覚えがあった。

 あれは、あの女は。

 

「ダンジョン聖教六代目聖女、アンドヴァリ……アレクサンドラ・ハイネン!?」

「その通り。あの女こそ、我が師にして怨敵。神罰対象にして過激派とも呼ばれている組織のトップです……やはり、無傷でしたか」

 

 思わず叫ぶ俺につられて、誰もがその女を見る。

 今回の騒ぎを起こした主犯格──先代聖女だった犯罪能力者が、完全に意識を失った男を無造作に放り捨てながらも佇んでいた。




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