攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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カテゴリとしてはビッグネームだけど、単体としては微妙な悪魔

 アンドヴァリの逃亡を阻止しようとした俺に、いきなりこの場に現れて仕掛けてきたモノ、その姿を改めて確認する。

 コブラツイストの体制のまま見下ろす形になる──ヒト型、男とも女ともつかない中性的な外見。声もどちらかと言うと女性なんだが、体つきそのものはボーイッシュでもあるように思う。

 

 白髪を肩口に揃えた、一般的に美しいと形容して良い顔立ちだ。受肉こそしてないけどアバター体っぽく、10代後半ほどの女性にも、はたまた女顔の少年にも見える。

 クリーム色の上着にジーンズを着けた、半透明でなければ都市部をうろついてそうな見た目をしてるね。

 

 ……しかし、こいつは概念存在だ。魂を見れば一目瞭然だし、そもそも普通の人間はいきなり目の前に現れたりもしなければ半透明でもない。

 察するに悪魔だな。サークルに支援している輩で、アンドヴァリをサポートしに来たか。

 さらに力を込める。

 

『うあああああ、あっ……!? な、ぜっ……霊体の、この私に、あなたは一体……!?』

「質問するのはこっちのほうだ。答えろ、お前はナニモノだ。悪魔なのは見て分かるからそこは飛ばしてまず名乗れ、アンドヴァリを逃がした以上さしあたりお前だけは逃さん」

 

 このタイミングでアンドヴァリを逃がしたのは痛い、あまりにも痛い。事件解決の絶好機を潰されたこと、致命傷にならなければ良いんだけどと思うほどに。

 だが反面、入れ替わる形でこの通り悪魔を捕らえた。これもまた好機と捉えるべきだな……だからこそ逃さない。

 

 アンドヴァリを逃がしたことで、残るサークルやダンジョン聖教過激派の構成員達を代わりとばかりに捕まえるべく、周囲の探査者達も動き出してくれている。

 その中で神奈川さんとステラが俺のところにやってきた。半透明の悪魔を見て、驚いたように声を上げる。

 

「こいつ、見たことあるぞ……!? たしか瀬川と行動をともにしてる、悪魔の!」

『名前、たしか……セーレだったね千尋。空間転移系の権能を持ってて、それを駆使した奇襲を何度か受けたことがあります、山形様』

「やっぱりその手の権能か。セーレ、ね。俺は悪魔に詳しくないけど、誰か知ってる人いたりしませんか?」

『くっう……! 神奈川くん、ステラくん……!!』

 

 さすがに一年間、サークルとやり合ってきた二人なだけあって敵ながら知り合いめいた関係らしい。

 悪魔──セーレとやらのほうも親しげとまではいかずとも面識がある様子で二人の名をつぶやいているので、これは良い情報源が来てくれたと内心で歓迎する。

 

 しかし、悪魔セーレか。詳しくないんだよなあ俺、悪魔とかそういうの。

 こないだまで中二だったんだから知っててもおかしくないだろ! と思われるかもだけど、俺の中二は俺様神様悪魔様系統じゃなくてスーパーマン的な、学校でテロリストを華麗にぶっ飛ばす系のアレだから。もしくは異世界転移系ね。

 

 香苗さんとかそのへん詳しかったから、この場にいてくれたなら助かったかもだけどあの人は今日の主賓、こんなところにいて良い人じゃないしね。

 どなたかお客様の中に、悪魔についてお詳しい人いませんかー!? みたいに周囲を見回していると、聞きつけて反応してくれる人が一人いた。

 S級探査者、愛知九葉さんである。

 

「セーレ……ソロモンの悪魔の一体とも呼ばれるモノだね」

「愛知さん! ご存知なんですか?」

「まあ少しばかり。ただ、そこまで多くは知らないよ……たしか瞬間移動や物質転送の力を持つとか、そのくらいかな。あとは契約者にとても優しいとか聞いた覚えがある」

「ソロモンの悪魔……! 創作なんかでも有名なやつじゃないか、そんなのがサークルに絡んでたのか……今はなんか、コブラツイスト食らってるけど」

 

 さすがは召喚系スキルの使い手、概念存在の情報を多く仕入れているようであれこれと教えてもらえちゃった。

 ソロモンの悪魔……たしか何十体もいるんだっけ。ゲームやアニメでたまに、それらをモチーフにしたキャラクターを見かけたりするけどそのうちの一体がこのセーレなんだな。

 

 神奈川さんも聞き覚えがあるようで、しきりに感心して未だにコブラツイスト固められてる彼女? に目を向けているね。

 なんならその後ろで半透明のステラがじっとりとした眼差しをセーレに向けているのが怖い。神奈川さん、あなたはこの子だけ見ていてあげてほしいかな、他の誰かの安寧のためにも。

 嫉妬に身を焦がす精霊知能も大概レアな光景だと感動さえしつつも、さておき俺は考えた。

 

 うーん、オーディンといいヴァルキリーといい、赤鬼といいセーレといい、続々有名なのが現世にやって来てるなあ。

 通常あるべき現世の姿とは間違いなく程遠い異常事態なんだけど、そのへん言い出すとまずこの大ダンジョン時代ってなんだよと言い返されかねないし。

 

 というかそれが原因で彼らもやって来ているわけなので、我がことながら因果だなーって思わざるを得ないよ。

 

「────ッ、セーレさん!!」

「おお?」

 

 と、言ってる間に何やら闖入者が。多いねどうにも、勢力が入り組んでると。

 さっきまで神奈川さんと切り合い、そしてアンドヴァリの逃亡にあっては《土魔導》に巻き込まれて体勢を崩していたサークルの男、瀬川聡太がこちらに向けて走ってきている。

 刀を構えているな……斬り掛かってくるか、ここまで大勢の決した状態で!




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