攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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至天の聖剣よ、悪魔のゆりかごを今こそ崩せ

「セーレさんを放せっ! シャイニング山形ァッ!!」

 

 取り押さえているソロモンの悪魔の一体、セーレを解放させるべく斬り掛かってくるサークル幹部、瀬川聡太。

 大勢決したこの段階で、俺だけでなく手練れの探査者が待ち受けている中でよくやるもんだ……それだけ自分に授けられた権能、謎チートバリアらしき無敵モードに自信があるのだろうか。

 

 当然ながら遮二無二突っ込んでくる敵さんを、ぼーっと眺めている周囲なわけもない。

 神奈川さんが、ランレイさんがそしてアンジェさんが彼の前に立ちはだかり、返り討ちにしようと躍りかかる。

 

「山形さんにゃ指一本触れさせねえぞ、瀬川ァッ!!」

「その闘志、敵ながら見事……なれどっ! その意気ごと今度こそ我が斬鉄脚にて断ち切るッ!!」

「ここで会ったが百年目! 今回こそあんたのわけ分かんないインチキバリアーたたっ斬ってあげるわっ!!」

「怖ぁ……」

 

 殺る気満々すぎる、少なくともランレイさんとアンジェさんのA級トップランカーコンビはバリアごと瀬川を斬り捨てる気だこれ!

 まあさすがに殺すとかはないだろうけど、とにかくバリアを破ることに執心してる感じは否めない。神奈川さんの話だとこれまでにほとんどダメージらしいダメージを与えられなかったとかって話だし、バトルに一家言あるお二人的には大分悔しいんだろうなってのは分かるよ。

 

 まして瀬川の動きや身体能力を見るに、神奈川さんより多少強いかもだがどうあがいてもB級探査者クラスにも達してないし。

 悪魔の権能アリとは言え非能力者がよくそこまで鍛え上げたものだと感心するけど、だからといって今迫りくる三人をまとめて相手できる領域にはいないと思うんだけどね。

 さてどうするんだか、バリアの挙動ごとお手並み拝見といかせてもらおうか。

 

「《剣術》そして《重力制御》!! ──竜断刀GRAVITY・シグルドッ!!」

「《闇魔導》! 受けよ我が拳、双魔星界拳! ──双魔星界断滅脚ゥッ!!」

 

 神奈川さんさえ飛び越えて二人、まったくの同タイミングで技を放つ。

 アンジェさんはいつもの剣技に新スキル《重力制御》を絡めての複合技、ランレイさんもまたスキルで生み出したもう一人の己とのユニゾンアタックだ。

 

 いずれもまともに受ければA級モンスターさえ難なく撃破できるだろう超強力な奥義、それを互いに相乗させてのコンビネーション!

 ……それでも瀬川は止まらない。技どころか迫りくる二人になんら構うことなく前進を続けたのだ。当然直撃する二つの斬撃。

 

 しかし。技がクリーンヒットしてもなお。

 瀬川は一切傷つかず、そればかりかその身一つで二人の斬撃を受け止め、なおも進撃してきていたのだ。

 

「くううっ!? こんの、またかっ、このインチキぃっ!!」

「おのれ、どういう仕組かっ!? この世に真なる無敵が、あるとでもっ!?」

「……相変わらず意味不明ですね、瀬川聡太のあの防御力。不可解です」

「きっ……効くもんか、そんな攻撃ッ!! あなた方に僕は倒せないっ!! セーレさん、今行きますっ!!」

 

 間違いなくS級に近しい実力者であろう二人の、スキルさえ用いた技を苦もなく受け止めた……! その事実に、俺も周囲の人達、シャルロットさんも冷淡さの中に驚きを滲ませてつぶやいている。

 本来ならば絶対にありえないことだ。けれど今現実にそれは起こっていて、構わず繰り返し斬撃を放つアンジェさんとランレイさんに若干顔をひきつらせながらも、それでも瀬川はすべて受け止めてなんら痛痒もなくこちらに駆け寄ってくるのだ。

 

 さながらホラー映画の怪人めいたインチキっぷりだけど、なるほどな。俺は今、しっかりとやつの権能について検めさせてもらった。

 仮にも因果を司る私だ、権能の一つ二つ即座に解析できないでなんとするか。すべてを詳らかにして把握した、その上で言わせてもらうが……本当にズルをしているな、瀬川聡太。

 

 これではいかなる攻撃も通らないはずだ。抜け道自体はあるものの、通常のシチュエーションではほぼ確実に見つけることのできない抜け道ではないか、これでは。

 コブラツイストに力を込める。権能のプロパティ、記されていた元々の権能管理責任者はこのセーレだ。つまりこいつなんだな、ここまでふざけた権能を安易に現世に撒いたのは。

 先程の愛知さんの解説も踏まえ、語りかける。

 

「契約者に対して優しい悪魔か。評判の通りなんだな? セーレとやら」

『がぁぁっ!? ぁっ、ぎうっ、あぐっん──な、んの、ことですかっ』

「瀬川聡太のバリアだよ。まるで揺りかごのような権能だと言っている。さしづめお前は、あの男の母親役かな?」

『…………っ!? 聡太ッ、逃げてくださいっ!! バレていますッ、この少年は、私とあなたの契約を見破りましたッ!』

 

 激痛に呻きあえぐ中、それでも気づいたか。俺が、瀬川のバリアの特性に勘付いたことに。

 必死に叫び逃亡を促すセーレ。自分をも捨て置けと言うのはなかなか気合の入った話だ、敵ながら大したもんだな。

 

 契約者のことを本当に大事に思っているのはなんとなく伝わるけど、さりとてそんなことを叫んだとて瀬川も止まるはずがない。

 まっすぐにこちらを見据える、強い眼差しだ……悪事に手を染めていなければ、素直に感心できたものをな!

 

「セーレさん!? いや、いいえ止まれません! あなたを護りともに行く、それが僕の選んだ道です!!」

『逃げて! 逃げなさいっ、聡太!』

「今さら逃がせねえんだよ、悪魔がッ!!」

『千尋っ! ──リミッター解除!!』

 

 不退転の決意をもって、なおも止まらず進み続ける瀬川。他の探査者達も攻撃を仕掛けているが、何一つ通らずに進撃を許してしまっている。

 無理もない。こればかりはギミックを分かってなければな。いやギミックを知ったところでダメージを与えるのは難しい。それほどまでにインチキなバリアなんだよね、これ。

 

 で。そんなところに、神奈川さんが割って入っていく。

 ステラのサポートももちろん込みだ──聖剣、やはりリミッター付きか。聖剣そのものに成長機能があるとかいつぞや、聞いた覚えもあるしな。基本は神奈川さんの負担にならないよう、機能制限をつけているわけか。

 

 ならば、そこに合わせて種明かしをしよう。俺はコマンドプロンプト本体に接続、因果を操作した。

 対象は瀬川聡太ではない、神奈川千尋。彼と彼の振るう斬撃、それそのものだ!

 

「行くぜ瀬川ァッ!! 聖剣発動──」

「《聖剣の攻撃に敵意は乗らない。だからその斬撃にも敵意はない》……揺りかごも時には壊れるものさ、瀬川聡太」

「────パス・オブ・ヘヴン!!」

 

 聖剣から、神奈川さんが持つ敵意を取り除く。当然、その斬撃も敵意以外の何か、あるいは無意識的なものとなる。

 それこそが覿面だった。聖剣を使った必殺技、純白に輝く斬撃を放つパス・オブ・ヘヴンなる攻撃は……見事に瀬川の胴体、脇腹を鋭く斬り裂いたのである。




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