攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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悪魔セーレ、コンゴトモヨロシク

 悪魔セーレの権能によって転移し、逃げ延びた瀬川聡太。アンドヴァリも含めてだけど見事に幹部格には逃げられた形になるな。

 残されたサークルとダンジョン聖教過激派の面々はみな、捕縛されている。遠くからはパトカーの音とか、近づいてくる探査者の気配もあるしおまわりさん達ももうじきここに来るだろう。

 

 彼らに犯罪者を引き渡して、ひとまずこの場は一段落って感じかな。

 アンジェさんやランレイさん達も捕縛に参加してるし、愛知さんはどこぞかへ電話をかけている。シャルロットさんも一緒だ、遠くを見つめて何やら物思いに耽っているね。

 

 結果的に見れば、アンドヴァリの厄介さをこの場の誰より理解していたのはやはり、聖女としてのやつの後継である彼女だったということだろう。

 とはいえどう考えても行いは苛烈すぎたけどね。バードケージ・プリズンサジタリウス……あんな爆撃に長時間晒されれば、アンドヴァリはともかく取り巻きの連中は下手しなくても死んでいた。

 

 巻き添えにして殺すことさえ厭わなかったんだ、当代の聖女は。

 話の通じなさもだけど、何より迷いのない容赦のなさが一番恐ろしいよ。苦い思いで彼女を数秒見てから、俺は未だ拘束するセーレに改めて視線を向けた。

 

『聡太……』

 

 力なく、沈痛な面持ちで瀬川のいた場所を見つめるその姿は、ぱっと見だと絵になる美人って感じなんだけどね。

 その内面がどうなってるかまでは俺にもわからない。そもそも瀬川やサークルとの関係性も理解しかねるしな、現状。

 

 どうも過保護な親って印象を受けるくらい、少なくとも瀬川個人には肩入れしているように見えたがさて。他にもあそこまで手を加えた者がいるのかどうか。

 それは今後の取り調べの中で分かることだろう。俺はセーレに、釘を刺すつもりで話しかける。

 

「……悪魔セーレ、契約の通りに俺は手を出さず瀬川は逃げた。今度はそちらが約束を護る番だ」

『もちろん分かっています、シャイニング山形。約束を守ってくれたこと、心の底から感謝いたします』

 

 神妙に俺へと頭を下げ、感謝さえ告げてくる。そこまで瀬川が大事だったのか、この悪魔。

 契約相手に優しいったってさすがに肩入れしすぎな気もするんだがなあ。普通、あそこまで強力な権能なんか渡さないだろう。

 

 さて、となると俺はこのセーレをヴァールに引き渡す準備を整えないとな。そこから先はあの子次第だ、WSO統括理事にすべてを任せるよ。

 掴んだままのセーレの手を放す。逃げたりする素振りを見せずこちらを見る悪魔に、ふむと思いつつさらに重ねて告げる。

 

「今後、お前の身柄は俺が確保する。逃げたりするなよ、と言っても概念領域も現世も俺にとっては近所のコンビニと変わらん。どこに行こうがすぐに追跡して追いかけるから、そのつもりでな」

『逃げる気など毛頭ありません。"この場において聡太に手出ししない代わりに知る限りのことをすべて話す"。私とあなたはすでに契約関係にあります。私は、契約相手に優しい悪魔ですから』

「ならいいんだけど。一応の念押しだよ、悪しからずな」

 

 牽制くらいの気持ちで言っておくと、セーレは存外素直にうなずく。瀬川とのそれとはまた別に、今では俺とこいつも一種の契約関係を結んだためためだな、この協力的な態度は。

 "契約相手に優しい悪魔"。一般的に知られているほどにそうした性質はセーレの根幹にあるものらしい。

 

 こちらとしては助かる話だけどね。いろいろスムーズに情報が手に入りそうだ、これは。

 アンドヴァリに逃げられた時はどうしたもんかと思ったけど、これなら結果としてはそう悪くない。悪魔なんだしそれ相応の深さまでことの仔細は把握してるだろうし、連中をとらえるための取っ掛かりは十二分に得られそうだね。

 

 ホクホク顔の俺だけど、セーレのほうは当然そうもいかないみたいだ。

 めっちゃ深刻な顔して俺を見つめ、やがて尋ねてくる。

 

『シャイニング山形……あなたは一体、何者なのですか?』

「え?」

『聡太のバリアを一瞬で看破したことと言い、あからさまに因果を操作した素振りと言い、精神体の私さえ拘束する力と言い。単なる能力者とは明らかに違うように見えますが』

 

 あからさまに疑ってきている……無理もないか。

 悪魔からしてみれば自分の権能を一発で見抜かれた挙げ句、秒で対応され突破された挙げ句に精神体なのに拘束されたんだもんな。

 俺への視線に宿る疑念、そしてそれ以上の恐怖を見て取る。

 

 因果操作まで見抜いたのは意外というか、ソロモンの悪魔なだけあってやはりかなり高位の悪魔なんだな。

 変に感心させられつつも、俺は肩をすくめて答える。さっきから一つ、言いたいことがあったんだよね俺も。

 

「山形公平、探査者だよ。なんかみんなしてさっきからシャイニングさんだとシャイニング山形だの言ってるけど、山形のほうが本体なんだよね。そこは誤解のないようにお願いしたい」

『あくまで話す気はないですか……でしょうね。どうあれ私は捕縛された身、質問する権利もなければ拒否する権利もない。分かりましたシャイニング山形、いえ山形公平。我が契約者よ、短い間になりましょうがよろしくお願いします』

 

 ゲームとかなら末永い縁になりそうなセリフとともに、セーレは軽く会釈した。

 そこに虚偽の気配はない。契約者に尽くす悪魔の片鱗を覗かせる、どこか柔らかな態度だった。




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