攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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破滅に至るところまで含めて。それが悪魔の"推し"なんです

 さしあたってのサークルについての話は概ね聞かせてもらった感じだ。

 というより、それ以上のこととなるとセーレもあまり詳しいわけではないというのが実状らしい。

 

 アドラメレク以外は基本、サークルの協力者的立ち位置でしかないということだね。

 唯一明確に深入りしているだろうアドラメレクだけは捕まえればいろいろ、委員会のことも含めて聞けることがありそうだけど、セーレからはもう特に聞けるようなこともなさそうだった。

 

『答えられる範囲であればお答えしていますが、知らない分からないことについては答えようがありません。そもそも、サークルそのものにそこまでの秘密もあるようには思えませんしね』

「まあ、成り立ちから考えるとなあ」

「どう考えても委員会に目ぇつけられてまんまとノセられたってだけで、大した裏もなさそうだよなァ」

 

 話すべきこと、話せることはすべて話したと訴えるセーレに俺とシャーリヒッタが応える。

 元々は委員会どころか裏社会とも関与のない単なる同好会。それがアドラメレクによって犯罪組織に仕立てられ、その過程で悪魔との契約さえ結んだ。

 

 びっくりするほどシンプルでいっそ短絡的とさえ言えそうな具合なんだが、こうなると彼女の言うようにサークルって連中にはそもそも、そこまで大層なバックボーンがあるわけでもなさそうってのは分かる話だ。

 精々がカレッジサーチャーズとのつながりの部分か。でもこのへん、もはや探査者業界がどうこうというより日本社会とか、最高学府の闇とかそういう話に転がっちゃいそうなんだよなあ。

 

「はー、まさかカレチャからサークルに人が流れてるなんて驚きですねー」

「昨日、捕らえた構成員達もおそらくはカレッジサーチャーズ出身だろう。在籍していた大学を洗えば、見えてくるものもあるかもしれん」

「さすがにカレチャぐるみで委員会とつながってる可能性は考えたくないけどな……こないだお会いした龍虎大学の人達は、特に裏のなさそうな感じだったし」

 

 リーベにヴァールもどこか嘆くような素振りだ。まさか国内の大学内でそんなことになってるなんて予想外も良いところだし、さもありなんって感じだよ。

 龍虎大学のカレチャを思い出す。小早川さんや藤代さんは素敵な大学生のお兄さんお姉さんだったし、とても立派な人達だと俺には思えた。

 

 あの人達が実は裏では委員会と関係しているだなんてとても思えない。

 セーレも極一部での話と言っていたし、彼らはきっと白だと信じるしかない……これから捜査の手が入るだろう中で、きっとそれが証明されることを祈る。

 

 数秒、下りる沈黙。

 かれこれ一時間はやり取りしてたか。現状で大体、聞きたいことも聞けたしこんなところかね。

 俺はセーレに話しかけた。

 

「いろいろ話してもらって助かったよ、ありがとう悪魔セーレ……悪いけどまた、君には意識を飛ばしていてもらうことになる」

『構いません。どうあれあなたからは逃げる術もなさそうですし、私にできることもあまりないようですから。得体の知れないあの空間にいる間は意識を失っていること、慈悲さえ感じますよ』

「ははは……」

 

 概ね協力的な態度だったこの悪魔の、思わぬ言葉に苦笑いする。慈悲って……そんな辛いかな、データ領域に放り込まれるの。

 まあ彼女からしてみれば現世でもなければシステム領域でもない謎空間だ、意識を保っていたくもないんだろう。個人的には、あの領域って結構面白いんだよね、いろんなデータ情報が手当たり次第に放り込まれていて。

 

 そういえば今、システム領域で精霊知能達があのへんのデータ領域の整理と整頓作業に取り組んでいたな。こないだ向こうに行った際、頑張って作業してくれていた子達を思い出す。

 今現状は無造作にオブジェクトやらプログラムコードが存在している空間だけど、そのうち整然とした光景になったりするんだろう。

 

 なんとなくそんなことを思いつつワームホールを開く。

 立ち上がり、そちらへ向かうセーレ。入り際にふと、気づいたように独り言をつぶやく。

 

『ああ、ですが聡太の頑張りを見られないのは残念ですね。彼が、どんな形であれ自分の道を走り抜けるのを、特等席で見たかったです』

「瀬川の頑張り……それがたとえ、犯罪であっても?」

『悪魔ですから。それに善であれ悪であれ、見込んだ者が信じた道を駆けるのは、私にとってかけがえのない娯楽なんですよ。他の悪魔にとっても、神々にさえもそうなのでしょう』

 

 言うなれば概念存在そのものの、本質に刻み込まれた愉悦でしょう?

 ────最後にそんな、蠱惑的な、まさしく悪魔めいた美しい笑顔を見せてから。セーレはワームホールへと飛び込んでいった。

 

 閉じる空間。残された俺達は顔を見合わせて、微妙な顔をして黙り込む。

 いや、うん。娯楽か、そっか。

 

「怖ぁ……」

「さすがに悪魔ということだな。そも概念存在がなんのメリットもなく知人に呼ばれたと言うだけで契約など結び、あまつさえ権能を授けるなどとありえないとは思っていたが」

「瀬川ってのがとにかくどこかにたどり着くのを見届けたかったってか。それがたとえ、破滅に至る奈落の底であっても」

「厄介なのに愛されてますねえ、その人。噂のヤンデレってやつですかね」

「ちょっと違う気がしますよー?」

 

 垣間見えたセーレの本性。

 破滅であれなんであれ、とにかく見込んだ人間がどこかに到着するまで、何かをやり遂げるまで齧り付きで眺めていたいその本能。

 実に悪魔らしいスタンスを最後に見ちゃって、なんともいえない気分の俺ちゃん達だった。




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