攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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嫌だ……やることない無職プロンプトは嫌だ……!

 朝から豪胆にステーキとか食べちゃったわけだけど、特に問題なくペロリと平らげた俺ちゃん。

 他の面々も、なんなら俺と同じものを倍の量食べたミュトスも特に問題なく、ご満悦の様子を見せている。

 

 はぁー食った食った、ごちそうさまでした美味しかったです。

 両手を合わせて食べたもの、作ってくれた人への感謝を述べてから、俺はミネラルウォーターで口をさっぱりさせてからヴァールに話しかけた。

 

「それで、ええと? 今日のところは朝から話し合いってだけ決まってるけど、その後どうしたら良いのかな俺とかは」

「うん? ああ……せっかくだ、軽く話をしておくか」

 

 優雅にお茶を飲んでいた無表情の彼女が、質問を受けて居住まいを正す。

 少なくとも今日について、俺は朝から全体ミーティングを行うということしか聞かされていない。昨日の今日で忙しくないわけもないから何かしらやること、やれることはあるんだろうけどそのへんを一切把握していないのだ。

 

 たしかに前もって俺やリーベ、シャーリヒッタやミュトスについては独自判断で自由に動けとは言われているけど、それにしたって多少の指針がないと始まらない。

 そもそも首都圏までお手伝いしに来たわけなのだから、なんか手伝えることありませんかー? っていうのは俺としても聞きたいし、自由に動いて良いからって即座にじゃあ土産物見繕ってきやーす! とか言えるほど肝も太くないし。

 

 そんなわけで仕事を……何か仕事をください……!

 と居た堪れなさを回避するため地味に必死な山形くんが問いかければ、ヴァールはそして答えてくれた。

 

「本日は朝から全体会議の後、またワタシ直属の形で協力してくれている個人探査者のみでの話し合いを個別に行う。本当に軽くだがな……そこで改めて今後の動きについて指示を出す」

「お? 俺達についてもか、それって」

「あなたや精霊知能については提案程度だがな。今のうちから言っておいても問題はないか……アンジェリーナやランレイ、神奈川やステラの助っ人として今月一杯は活動してもらえれば助かるとは思っているよ」

「助っ人?」

 

 意外な話だ。今後の動きについては最大の懸念事項だったS級探査者認定式を無事に終えたわけなので分かる話なんだけど、その結果として俺はアンジェさんチームの助っ人に入るのか。

 もちろん異論はないしその提案は全力で請け負いたいんだけど、元から出来上がっているチームに俺達が入って大丈夫なのかという不安も正直ちょっぴりだけはある。

 そんな不安を見抜いたかのように、彼女は続けて言ってきた。

 

「彼女達は引き続きサークルの拠点に踏み入ることになる。その際、あなたの助力があるに越したことはない……加えて悪魔への対応や、あるいは出くわすかもしれないシャルロットの暴走を抑えることも考えられるからな」

「悪魔はともかくシャルロットさんについてはどうだろ……? そりゃ、スキルを封印するとかって方面でなら役立てるけど」

「それで良い。あなたとシャーリヒッタの場合、危害を加えない形で能力者を無力化できるというのが何者にも優るアドバンテージなのだ。あの暴走聖女は立場もあってこちらも対処しにくかったが、あなたの権能があれば極力穏便にことを済ませられる」

「な、なるほど?」

 

 怖ぁ……悪魔と同列に扱われてるよ、あの聖女様。

 ヴァールの中ではもはや、シャルロット・モリガナさんの暴走は俺のコマンドプロンプトとしての権能を用いてでも止めなければならないものになっているみたいだ。

 

 まあ昨日の暴れ方、躊躇や容赦のなさを見た俺にもそこは分かるよ。

 《光魔導》バードケージ・プリズンサジタリウス。範囲内の敵を閉じ込めて上空から超密度爆撃を行うなんて、絶対に人間に向けて放ってはいけない攻撃だ。

 それを、アンドヴァリという格上が混じっていたにしてもその他過激派構成員さえ巻き込む形で放った彼女の行いは、まさしく蛮行と呼ぶしかないものだと思える。

 

 そんな彼女のマークというか、制御のためにもアンジェさん達が動いていて……そこのフォローにも俺達が入るわけだね。

 本来の目的であるサークル拠点の捜査の中、現れるかもしれない悪魔への対処ってのも俺がいたほうが良いからだろうけど、シャルロットさんの動きを初手から封じられるって点でも俺なりシャーリヒッタなりの投入は確定事項に近いってわけだな。

 

「同様にエリス、葵チームには引き続きダンジョン聖教過激派を追ってもらう。今月いっぱいの間はサウダーデ、ベナウィ、フェイリンもそちらに加わってもらうので、倶楽部からの面子は大半、そちらに割かれることになるな」

 

 エリスさんと葵さんコンビはダンジョン聖教過激派、つまりはアンドヴァリを追うのか。しかも8月中に限りだがS級探査者師弟にリンちゃんまでもが参加するという。

 いや強すぎる! メンバーが豪華過ぎてこれ、過激派のみなさん涙目もいいところじゃない?

 

 ……ああでも、過激派のほうには敵側にもS級探査者がいるからな。

 アレクサンドラ・ハイネン。必要とあらば味方さえ盾や囮にして自身の安全を確保する冷徹なる先代聖女を相手するとなると、戦力はどれだけいても過剰ってことはないか。

 

 何より敵側には相変わらず、ウーロゴスの問題も常に付きまとうしなあ。

 最後にヴァールはミュトスを見る。名前が挙がらず若干キョドっていた彼女は、即座に背筋をピンと伸ばしてそれに応じた。

 

「ミュトス。君にもコマンドプロンプトの近く、つまりアンジェチームの傍にいてもらうことになる。ウーロゴスの出現に際して最速で動けるようにするためということもあり、実質的には最重要ポジションだ。何しろアレに対抗できるのは、君しかいないからな」

「は……はいっ! 合点承知の助です、ハイ!」

 

 力んでうなずく新米精霊知能。

 そう、今回の件においてはミュトスこそが最重要キーパーソンだ。ウーロゴスという彼女の半身をどうにかできるのが彼女自身をおいて他にない以上、ミュトスはそこに全リソースを集中させる以外にないのだ。

 

 そこを分かっているからこそヴァールも俺なり精霊知能なりの近くに配置するのだし、ミュトスも理解して力強く応じたのだ。

 深くうなずく統括理事。そして一息ついてから、肩の力を抜きつつも言った。

 

「頼むぞ……さて、システム領域側の動きについてはこんなものか。他の探査者、愛知やセーデルグレンなどについては会議の中で話すとしよう。時間も、そう遠からずだからな」

 

 時計を見る。もう7時半にも近い頃合いだ。

 会議は9時からだからもうちょい時間はあるけれど、たしかにそこまで余裕があるわけでもない。

 認定式から一夜明けての話し合い。さて、どうなるかな。




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