攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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孤高のロンリー・エージェント、愛知九葉

 仲間達も大体揃う頃には、会議室の席も概ね一杯になって予定通りのタイミングでミーティングを開けそうな気配になってきた。

 来た時に島根室長に挨拶しに行ったヴァールとミュトスも戻ってきて、今じゃ香苗さんとセーデルグレンさんのすぐ近くに座って軽く雑談なんかもしているよ。

 

「……そうか、愛知はもう単独で行動をし始めているのだな。先ほど島根室長からも話は聞いていたが、アンドヴァリとシャルロットを追うか」

「みたいですね。颯爽とバイクに跨ってすっ飛んでっちゃいましたよ、昨日の夜には。あの子もさすがS級探査者、使命と責務には忠実なんですよねえ」

「どうも日本政府とは並々ならぬつながりがあるようだからな、彼女は。その日本政府がアンドヴァリばかりかシャルロットも、ひいてはダンジョン聖教そのものを一旦追い出したいのならばその通りに動くのも当然と言えば当然だな」

「ふえー。お若いのに大変ですねえー」

 

 もっぱらの話題はやはり、この場にいないけど昨日すさまじい存在感を示して俺達とともに戦ってくれた史上最年少S級探査者、愛知九葉さんの動きについてだ。

 セーデルグレンさんともども香苗さんの護衛についていてくれた彼女だけど、実のところ日本政府からも密命を受けて動いていた公安警察の協力者でもあったとか。

 

 しかもその密命ってのがずばり、"アンドヴァリを捕縛した上でシャルロットさんの身柄を確保すること"という……

 元よりテロリストの首魁としてもちろんアウトなアンドヴァリもだけど、密約を盾に好き放題動いているダンジョン聖教側の聖女シャルロットさんにもこの国から出ていってもらいたい、なんて日本政府の思惑が前面に出たものだったりするらしかった。

 

 結果的にはアンドヴァリには逃亡され、それゆえシャルロットさんにもあまり手出しができない状況が続くわけなんだけど。

 それでも早期にそうした密命を果たすべく、愛知さんは昨日の夜にはもう行動を開始していたのだとか。

 香苗さんが昨日を振り返ってか、語る。

 

「愛知九葉さん……北欧神話に名高い軍馬、スレイプニルをも喚び出して力を借り受ける召喚者としての技量、まさしくS級に相応しいものでした」

「たしかに、すごいお馬さんを喚んでましたねあの人。アレクラスを使いこなせるんなら、きっと単独で敵の親玉さんとかを捕縛しきれる気がします」

「うむ……召喚スキル持ちはそれなりに数はいるが、あのクラスの存在を喚び出せるのはそうはいない。アンドヴァリも報告から察するに戦闘経験もそれなりで実力も伴っていようが、それでも愛知を相手に真っ向から挑むかと言われると首を傾げるしかない」

「ましてシャルロットならば余計、成す術もないでしょうね……順番的にはアンドヴァリから先に仕留めるのでしょうが、あるいはまとめて聖女達を一網打尽にしちゃってもおかしくはありませんね。さすがはマイ・フレンドですよ」

 

 永らくA級トップランカーだった、そして今をときめく最新のS級たる彼女の目から見ても、新人精霊知能であり元は異世界の神たるモノの目から見ても。

 WSO統括理事であり精霊知能であるヴァールの目から見ても、加えてダンジョン探査RTAの第一人者、トップランナーであるセーデルグレンさんから見ても極めて高い評価を受ける、愛知九葉という探査者の実力。

 

 実際、昨日彼女が披露した《召喚》は見事だった。俺だってまさか最高神の軍馬なんて上位存在を、軽々喚び出すオペレータがいるとは思ってなかったもの。

 しかも追加でワイバーンなんてモノまで喚び出していた。召喚サポート系のスキルによるサポートがあったことを加味してもなお、驚くべきとんでもない腕前だ。

 

 そんな彼女であれば、たしかにアンドヴァリでさえ単独で追い詰め、かつ捕縛するに到る可能性は少なくない。

 まあ、敵は数も多いし何よりあの悪辣な性格だ。何をしてくるかも読めない以上、一人で行くのがそもそも危なかっしいと俺には思えるけどね。

 

 しかして俺達もまた、引き続いてサークルや過激派を追って行動を続ける身だ。であれば、きっとまた捜査や戦いの中で彼女と鉢合わせする時もあるだろう。

 その時はきっと力を合わせて、対峙する巨悪を打ち倒せるよう頑張れたら良いなって思うよ。

 

『────あ、あー。あーあー。えー、それでは時間になりましたので会議のほう始めさせていただきます。スタッフの方、防音スキルの使用を願います』

「承知しました。スキル《防音結界》発動します」

「あ、始まりますよ公平サン!」

「時間ピッタシだ。さっすがあ」

「今日は最初から島根室長なんですねー」

 

 と、そんな話をしているとピッタシ9時になったタイミングで島根室長の声が大会議室内に響き渡った。同時に発動されるスキル《防音結界》。

 読んで字のごとく内部の音を一切外部へと漏らさない、情報漏洩を防ぐ能力が発揮され、この部屋中が包みこまれた。

 

 完全なる防音空間と化したこの部屋で、室長がやがて、語り始める。

 

『ありがとうございます……さて。ただ今より昨日8月25日に行われましたS級探査者認定式に対する大規模テロリズムについて、および今後の対応について詳しくご説明の上お話させていただきます。司会進行は私、警察庁能力者犯罪捜査局室長の島根が務めます』

 

 その声、その発言にしんと静まり返り、一気に緊張の糸が張り詰めた空気に変わる大会議室。

 プロの集いだ……俺もせめて形ばかりでもと居住まいを正し、彼の言葉に耳を傾けていった。




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