攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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サークルという組織─青春を謳歌しているつもりの者達─

「……フランソワ! WSOと警察の犬が、ここまで嗅ぎつけたか!!」

 

 捜査令状を掲げてアンジェさんが名乗りを挙げた途端、豹変する男。憎悪に染まった本性を表情に乗せて、すぐさま懐から何かを出す。

 拳銃だ……! それもおもちゃじゃないだろう、こんな場面で出すあたり。

 探査者でもないのに、なんでそんな物持ってる!?

 

「死ねッ!!」

「無駄な抵抗はよしなさいってーの!」

 

 躊躇せず引き金を引こうとする矢先、アンジェさんはすでに動いていた。即座に敵に接近して引き金にかかった指を捕り、体勢を入れ替えながらてこの原理と遠心力で投げ飛ばしたのだ。

 しかもその間際、拳銃を回収している。床に叩きつけられた男が意識を失うのを確認しながら、銃に装填された弾を外して床に落としていく。

 彼女はランレイさんに告げた。

 

「ランレイ、かましちゃって」

「う、うん──承知した、任せろアンジェッ! しゃあああああああぁっ!!」

 

 気弱な返事をするも束の間、すぐに儚げな印象の顔つきから凛とした、極めて強気な表情へと変貌して応えるランレイさん。

 そうなんだよ、この人は戦闘になるとまるで別人のように豹変するんだ。星界拳士としてリンちゃんにも匹敵するほどの、純度の高い武術家として振る舞うんだ。

 

 ──そして瞬間、彼女の脚が唸りを上げた。

 足刀をメインとした斬撃脚。鍛え抜かれたその肉体と磨き抜かれたその技は、比喩でも冗談でもなく鋼鉄さえもその足一本で容易に切り裂く威力を秘めている。

 その脚でもって彼女が、壁を切り裂いたのだ。脚を振るえば一直線に入る細く長い分断線、そして崩れる壁、見える向こう側。

 

 さっき聞こえてきた、麻雀に明け暮れていた連中だ。

 すでに臨戦態勢でいる。刀に銃に槍、フル装備だな!

 

「なんだテメェらコラァ、舐めてんのかオラァッ!!」

「フランソワァッ!! シェンッ!! いつまでも周りを嗅ぎつきやがって雌犬共が、躾けて売り飛ばしたらァッ!!」

「神奈川までいやがる! ぶっ殺せっ!!」

「怖ぁ……」

 

 あまりの剣幕に思わずつぶやく。いや反社かよ、反社だったわ。

 少なくともダンジョン周り以外では平和な日本において、こうまで刀剣類や銃火器を手にしている。あまつさえそれを人に向け、脅しどころか実力行使まで辞さない構え。

 

 誰がどう見ても裏社会の犯罪組織の構成員って感じです、本当にありがとうございましたって感じなんだけど……ダミー企業じゃなかったのか?

 崩れた壁の向こう側にさっと目を通せば他にも何人か、武装した連中はいるけど内装自体はなんだろう、オフィスと言うよりは部室だ。

 

 本棚にテーブル、トランプや雑誌、カードゲームなんかも置いてある。

 麻雀卓もあればパソコンもあるし、なんならアーケードゲームやパチンコの筐体まであるよ、なんだこれ?

 総じて企業の体を成していないし、どちらかと言えばゲームセンター的ですらある。建物自体はごく普通の雑居ビルだから違和感がすさまじいんだけど。

 

 あまりに予想していた光景と違う。

 困惑する俺に、神奈川さんが小声で話しかけてきた。

 

「ダミーっていうか溜まり場だ。あるある話でな……サークルの拠点にも3パターンあるんだよ、山形さん」

「3パターン?」

「本当の拠点と、もぬけの殻と、それと構成員による遊び場、溜まり場と……数が多くて規模も大きく、資金も潤沢だからか知らんけど、秘密基地をあちこちに作ってそこで乱痴気してるのさ。大半はアラサーアラフォー、アラフィフの連中ばかりなんだが、まあ犯罪しながらやってるのがこれじゃあ単なるガキの集いだな」

「えぇ……?」

 

 驚くべき話だ。サークルの規模、そこまで大きいのか。

 資金自体はダンジョンコアの密売なんてしてるんだ、潤沢なのは分かりきっているけど……あちこちにそんなパターン化できるほど拠点を作り、あまつさえ秘密基地にして遊び倒すだけの人員までいるってのは予想していなかった。

 

 それも話を聞くに、30代40代50代の男女が多いとか。何してるんだ、一体?

 いやまあ、秘密基地は浪漫だし、いくつになってもそういう場所を作って、しかも集まって遊べる仲間がいるってのは素晴らしいことだし素敵だと思うよ?

 

 でもその仲間ってのが根本的に犯罪組織の構成員っていうつながりなんだもんなあ……

 神奈川さんじゃないけど、犯罪しながら青春を謳歌する、だなんて何してるんですかと、俺よりも一回り二回りも歳上だろう彼らに対して言いたくなる気持ちはあった。

 

「ぶっ殺せぇっ!!」

「できるもんならやってみせなさいな、今から始まるこの、超重力の拘束を抜け出られるものならね──!! 《重力制御》、グラヴィティ・フィールド!!」

 

 そんないい年した大人の人達が、口泡を立てて武器を向けてくる中。

 アンジェさんはまったく意にも介さず余裕の口振りでスキルを発動した。《重力制御》、因果にもまつわる超レアスキルだ。

 

 文字通り周辺の重力を自在に操るその技を、以前より格段に上手く扱えている。

 発動と同時にこのフロア全体にかかる高重力が、一瞬にして連中を地面へと叩きのめしたのだ!




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