攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
結局その後、すぐにおまわりさんが駆けつけてくれて構成員達は軒並みお縄になった。昨日よろしくパトカーが数台駆けつける大騒ぎだ。
とはいえ首都圏では最近、こういうことが多いらしく……行き交う人々は特に気にしてなさそうにスルーするか、もしくはスマホで写真を撮ったりする人ばかりという逞しさを発露しているのであった。
「まあ、それだけサークル連中が活発に動いてるってことに他ならないわけなんだけどね……まったく迷惑ったらありゃしないわよ」
「アンジェリーナの姉御さん達ってば、これまでの半月くらいはこんなことを繰り返してきたってことなんですよね? すごい大立ち回りじゃないですか」
「あんま褒められることじゃないんだけどね。できるならここに至るまでにさっさとアンドヴァリなり藤近なりをとっ捕まえて、早いこと日本を平和にするのが一番なわけ……っていうかその姉御ってのは止めてもらえるミュトスさん? どう見たってあなたのが歳上でしょう、見た目も精神的にも」
捜査班が入って現場調査を行うビルの5階。窓から地上の騒ぎを見下ろして俺達はひとまず、缶コーヒーを片手に一息ついていた。
なんかこう一仕事終えた感じあるよね。主にアンジェさんにランレイさんの二人ばかりが活躍していて、俺達システム領域のモノ達はおろか神奈川さんやステラも特に何かしたわけじゃないんだけどもね。
おまわりさん達や構成員達を、野次馬が取り囲んでスマホで撮影する光景はアンジェさんをして呆れさせるものだったけど……まあよくある話ではあるからね。仕方ない。
何故だかアンジェさんを姉御と呼んで憚らないミュトスが親しげに絡んでくるのを、戸惑いつつ応じる彼女が続けてコーヒーを飲みつつ言った。
「基本的にはこれの繰り返しなのよ、結局。これは対サークルとか対過激派とかに限らず、いつであれどこであれ犯罪組織を取り締まるなんてのは一息に上手くいくほうが稀なのよね」
「ですねー……公平さん達も倶楽部と戦ってた時、幹部を一人ずつ撃破していましたしー」
「一気に全員撃破、なんてのは難しいわけだなァ。それこそ昨日みたいな大攻勢こそがチャンスだったけど、それでもサークルの幹部は結局見なかったしよ」
「アンドヴァリにも結局、逃げられちゃったものなあ……」
当たり前だけど一網打尽でスピード解決、なんてのはなかなか狙えないことみたいで、こうして一つ一つの拠点を虱潰しに叩いていく中で少しずつ敵の本丸を割り出していくってやり方がスタンダードみたいだ。
リーベも言ってるけど倶楽部の時もそうだった。敵幹部をまとめて仕留められればそれが一番だったんだけど、敵もそう都合よくいかせてはくれないわけなので俺の夏休みは半分近くも彼ら彼女らへの対応に取られてしまった。
そういう意味で言うとシャーリヒッタが言うように昨日の大攻勢なんかは格好のチャンスだったんだけどね。サークル側はともかく、過激派の首魁たるアンドヴァリは実際にやってきたわけだし。
ワンチャンそこでやつを捕縛できれば、少なくとも過激派についてはほぼ壊滅に近い状態にだって追い込めたかもしれないんだ。まんまと逃がしてしまったのは、つくづく手痛い話でしかなかった。
「こ、ここ、公平さん、そこはその、気にしなくて良いよ……? お、追い詰めたと思った敵に逃げられる、なんてこの稼業ならよくある話だし」
「なんならそこから一転攻勢食らってピンチのところを、命からがら逃げ延びるなんてことも俺の場合は過去に結構あった。それを思えば昨日の顛末なんて、まだまだ取り返しはいくらでも効くさ」
「そうそう! っていうかまさかとは思うけどアンタ、変に責任感じてたりするならそれは筋違いってもんよ? アンタはアンタの仕事をこれ以上ないってくらい果たしたじゃない。そんなアンタのお陰で、昨日は助けられたわけだしね、私らも」
「あ、ありがとうございます……」
アンジェさん、ランレイさん、神奈川さんが励ましてくださるのを、ありがたく会釈して応じる。
ま、仰る通りでまだまだ取り返しは効くはずだ……ウーロゴスを投入してくるだろうことも含め、システム領域は次こそ万全の体制でやつに立ち塞がろう。
そう、内心にて決意を固める俺である。
そうこうしているうちに構成員も全員連行できて、おまわりさん達も二、三アンジェさんと言葉を交わして立ち去っていく。
離れていくパトカーの群れと同時に、野次馬のみなさんも散り散りになる。今なら俺達も外に出られるな。
ここでのんびりコーヒーを飲んでたのは捜査の立会ってのもあったけど、何よりビルの周辺が騒ぎになりすぎてて出るに出られなかったからなんだよねー。
「さてさて、それじゃあサクッと次行きましょうか! この調子で残り16箇所、今月中に押さえるわよ!」
「公平さんの二学期の準備もあ、あるから……ちょっとペースは上げていくかも。そのつもりでい、いてね?」
「9月入るまではって言っても、さすがに8月31日ギリギリまで付き合わせるのも常識的にどうかって話だしな。ま、チャッチャとやるさ」
気持ちをしっかり切り替えてアンジェさんチームが動き出す。ありがたい話で、もうじき二学期を迎える俺の事情まで汲み取ってくれるみたいだ。
となるとこっちもしっかりしないとな。リーベ、シャーリヒッタ、ミュトスと顔を見合わせて頷き合い、俺達も後に続くのだった。
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