攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
帰るだけなら別に、空間転移で良いんじゃないの? という話に思われるかもしれないんだけど。実のところは俺達だけでなく関西に帰っていく人達もいるんだよね。
なので点呼とかの関係で、少なくとも新幹線を降りるまでは一緒に行動するべきだと事前にヴァールから言われていたりするのだ。
まして俺達の場合、行きにはいなかったミュトスがいたりするしね。
首都圏残留組や帰郷組が抜けるだけならまだしも、入れ替わりで新メンバーがいたりするとなるとWSO、ならびに全探組としても人員把握のためにある程度のところまでは集団行動していてほしいみたいだった。
そんなわけで帰りもグングン伸びるように走る新幹線の車内、一輌丸々貸し切りだ。
行きの時から見る、地元探査者のみなさんや全探組のスタッフさん達がのんびりと心身を休める中。俺はスマホを操作し、クラスメイトのグループチャットでアレコレやり取りしていた。
『────じゃあ公平くん、二学期には普通に登校できるんだね! 良かったー!』
『今や全国規模のヒーロー探査者、シャイニング山形の凱旋かあ! 色紙持ってくるからサインくれー』
『関口くんに山形くん。うちの県でも特に有名な若手探査者が二人とも同じクラスだなんて、すげーなあー』
『そんなことより宿題が終わらねえ』
『怖ぁ……』
認定式での騒動以来、度々こうしてグループチャットで安否確認がてらみんなと話している俺だけど。問題なく二学期を迎えられるよーと言ったらクラスのみんなからこんなふうなリアクションが返ってきた。
他にもおかえりーとか、元気だったー怪我ないー? みたいな返事も来てるね。そんなことより宿題が終わってない彼の心配を誰かしてあげてほしい。あと実質一日と半分だぞ、どうなる!?
"空飛ぶシャイニング山形ヘリ相手に怒鳴って光る"事件の時はテレビやマスコミの報道の過熱ぶりもあって、相当心配されてしまっていたけど今やすっかりいつも通りで一安心だ。
もっとも、いよいよ全国的に知名度が向上してしまった俺の名前についてはみんな割合イジってくるから、こっちとしてはこれまでと同じ接し方で助かると思いつつも、やはり恥ずかしくて二学期に突入するのが怖い気持ちも正直ある。
まあ、言って人の噂も七十五日だからね。情報が飛び交い一日でトレンドが変わるような昨今の社会にあっては、俺のことだって最初くらいしか注目されないだろう。
というかそうであってくれーなどと思っていると個別でチャットが。梨沙さんと、関口くんがそれぞれメッセージを送ってきていた。
『公平くん、お仕事本当にお疲れさまでした! 二学期になったらまた、いろんなところに行ってたくさん遊ぼうね!』
『山形、お疲れさん。暇な時でいいからまた、アメやガムへの指導を頼むよ。あと俺とも探査しよう。うちのパーティメンバーもお前のこと気にしてるから、ぜひ紹介させてくれ』
クラスメイトの中でも、あるいはこの二人こそが特別仲が良いっていうか、際立った関係性と言えるかも知れない。
入学してすぐの頃から仲良くしてくれて、その後もその心根の清らかさと優しさ、芯の強さでクラスのみんなだけでなく俺にまで明るく笑いかけてくれる天使系女子高生ギャル、佐山梨沙さん。
彼女と過ごした中で、その心遣いや気配りにどれだけ救われたかは図り知れないよ。
そして出会ってしばらくは険悪な仲で、彼自身も思想から来る尊大さや傲慢さもあったけど……その内に秘めた正義感と使命感、何より心の強さは邪悪なる思念にも打ち克つほどに強い関口くん。
今ではすっかり和解して打ち解けて、友人というよりはお互いに切磋琢磨しあう戦友のようなライバルのような感じになれているかもしれないね。
最近だとおかし三人娘という共通の後輩さん達もいてくれるから、彼女達を起点にして話が弾んだりするから本当に春先とは関係が変化したなあって思う。
いずれにせよ、今ではもう俺の大切な人達だ。
そんな二人からのメッセージに微笑みつつも返事をしていると、隣の席の香苗さんが優しく話しかけてきた。
「クラスメイトの方々と、佐山さんと関口ですか。もう明後日には新学期ですものね」
「ええ。この夏休み中、いろいろありましたけど……クラスメイトのみんな、思い思いに楽しい時間を過ごしてくれていたみたいで何よりです」
今夏、グループチャットに書き込むことはほとんどなかったものの結構眺めてたりはしていた。毎日、特に深夜になると結構な人数があれこれ話したりしていてちょっとした楽しみになっていたりもしたほどだ。
7月はともかく、8月に入るとすっかり倶楽部案件やサークル、過激派の話なんかで探査者モードな俺ちゃんだったけど……それでも毎夜、こうしたやり取りを見る中で一時の憩いと言うか、日常を満喫できていたところはある。
だから改めて思うんだよね、この人達の日常は絶対に壊しちゃいけないって。
きっと、他の探査者の人達も同じ思いを抱いているんだろう。人々の、隣人の当たり前の生活を崩させはしないって。前からずーっと個人的にも掲げている志を、このグループチャットを見ていると再確認できるんだ。
モンスターだけじゃない。ダンジョンだけじゃない。
まだまだこの社会を崩すために動いているだろうサークルやダンジョン聖教過激派達の魔の手を、必ず退けないといけないって。
そのための戦いなんだって、力を分け与えてもらえるんだ。
「みんなとまた会えるの、楽しみですよ」
そう言って笑う。
戦いとは裏腹の平和な日常に、一旦俺も帰っていくのであった。
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