攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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日常パートだと思ったかな?ちょっとだけ戦闘だよ!(なお瞬殺)

 そうこうしてるうち、担任のさやかちゃん先生がやって来てホームルームが始まった。

 先生も大概ミーハーなもんで、俺を見るなり、うわー生救世主だサインくださいー! などと相変わらずのポワポワした調子で言ってくるものだからそこでさっそくひと笑い取っていたりした。

 

 シャイニングいじりはしばらく鉄板のネタ扱いになりそうだねこれ、怖ぁ……

 なお梨沙さんはしきりにそんなネタにされる俺を気にしてくれたけど、別にこんなくらいで怒ったり悲しくなったりはしないよさすがに。でもありがとう、君は本当に優しくて素敵な人だ。

 

 さておきホームルームの後はさっそく始業式だ、体育館に向かう。

 今日の予定は始業式したら宿題の提出して終わりだそうで、都合11時頃には終わるかな? 半ドンだぜ、やったぜ。

 ウキウキ気分で体育館に向かう廊下。俺は不意につぶやいた。

 

「────うん? なんか来てる? いる?」

「どうしたの公平くん、何かいるの?」

「あ、いや……ううん、なんでもないよ。気のせい、気のせい」

 

 ……何か。周囲1km内に変なのがいるのを感じ取ったのだ。

 モンスターではない。これは、概念存在の気配か。たしかに感じるその存在に、俺はキョトンとして尋ねる梨沙さんを誤魔化しつつも歩きがてら窓から外を見た。

 

 こんなところに、このタイミングで概念存在がいる。なんとも不穏な話だけどどうなんだこれは? 判断がしづらい。

 サークルの悪魔かもしれないけど、反面織田のところの概念存在が見回ってるだけかもしれない。ヴァルキリーのレギンレイヴさんはじめ彼の従者さん方、ちょくちょく関西圏内で他カテゴリの概念存在がいないかどうか見てくれてるみたいだしなあ。

 

 とりあえず保留にするにせよ、登校初日から穏やかじゃない話だ。せめて首都圏でやってくれって気にすらなるよ。

 一旦気持ちを落ち着けて、やはり体育館に向かう。松田くんや木下さん、片岡くんや遠野さんとも図書館ぶりだから話が弾む弾むね。

 

「あの日に買ったシュークリームめっちゃ美味しかった! 美味しすぎて次の日も買いに行ったもん、それも倍の量!!」

「あんたマジで体壊すわよ、そのうち……」

「秋だからって食べ過ぎんなよ遠野。何ごとも限度ってもんがあるんだからなー」

「食べ過ぎ違いますー、これが我が家の平常運行ー。でも秋はたしかに食欲の秋だよね! えへへ、楽しみー!」

「えぇ……?」

 

 我らが最強フードファイター、遠野さんが相変わらずの健啖ぶりを語っていらっしゃる。あれから次の日にはまたショッピングモール行ってシュークリーム買ってたのかよ。

 木下さんも松田くんもこれにはドン引きして、これから過ごしやすくなって食欲も増してくる季節にあってはなおのこと暴飲暴食には気をつけるよう呼びかけている。

 

 それに対してもどこ吹く風と暖簾に腕押し感を醸しているのがさすがだ。隣で歩く梨沙さんも苦笑いだよ。

 なんなら脳内アルマさんだけだな、さっきから理解者面してうんうんうなずいているのは。

 

 

『さすがだね、遠野真知子……だったかな? この僕にたかだか一生命体ごときが名を覚えさせるなんて驚嘆に値するよ。そうだそれでこそだ、食べることに全身全霊を傾けるその姿勢こそが素晴らしいんだ。分かるか公平、お前もああいうふうにならなきゃいけないんだぞ? 主に僕の味覚と満足感と幸福感のために。もっと自覚しろよ』

 

 

 怖ぁ……邪悪なる思念がついに遠野さんの名前を認識して覚えてる。俺にも彼女みたいに食え、なんてことをまたしても言ってくるけど無理だっつってんだバーカと応える。

 大体お前の味覚は俺の味覚だろうが、少なくとも今は。満足感とか幸福感も、ほどほどの頻度で美食してるからそこそこ満たされているだろうに、こいつマジで際限ないんだよなあ。

 

 異世界をいくつも喰らいつくして、それでもまったく満たされることのなかっただけのことはあるなと、変なところで納得させられる果てのない欲望ぶりだ。

 今後もほどほどに応えていくんでよろしくー、とだけ簡素に返して、俺はいよいよ体育館へと入ったのだ。

 

 上履きを体育館シューズに換え、開かれた大きなドアを通って中へ。体育館特有のキュッキュッと鳴く床の感じも久々だなーと思いつつ────

 

 

「時間を止めたか。その手の権能を持つ悪魔さえサークルにいるってのはさすがに嫌な話だな?」

『…………っ!?』

「驚くなよ、悪魔。神魔終焉結界」

 

 

 ────唐突に静止した時間の中で、迫りくる悪魔に向けて俺は微笑みかけ、結界を発動させた。

 楽しげな表情が引きつっている、20代前半頃の男のアバター。半透明なあたり受肉はまだのようだな。

 時止めの権能を行使できるあたり、相当な格の悪魔と見た。

 

 周囲はピタリと凍結している。人も、ものも、時計も何もかも止まっているのだ。

 完全なる時間停止、権能による因果操作の中でもめちゃくちゃ難易度の高い業だね。もちろん俺には通じないんだが。

 

 迫ってきていたその腕を右手で掴み、左手で男の首元に手を当てる。

 引きつった表情の男が、呻くのを俺は穏やかに見ていた。

 

『わ、我が権能が効かない!? 停止した時を認識して、あまつさえ動くなど!!』

「世の中こういうのもたまにいるってことだよ。なんなら悪いけど、ここからしばらくお前の世界はない……俺が《お前の世界を止める。ゆえにお前は動けない》からな」

『────ッ!?』

 

 今までよほどやりたい放題だったんだろう、まさか停止した時間内でやり返されるとは思ってなかったようだ。

 まあ、何ごとも万一はあるってことでして。俺は対抗するかのように己の権能を発現した。

 

 因果操作。概念存在とは比べ物にならないレベルでの操作が可能なソレをもって、俺も同じことをやりかえす。

 すなわち時間停止の上位互換、世界停止だ。こいつが止めた時間の中で、俺がこいつの世界を止める……!




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