攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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他の誰より過激だぞ!七代目聖女シャルロット

 ──認定式の翌日から、愛知さんもシャルロットさんも迅速かつ果断な行動を取り始めていた。

 逃げ延びた先代聖女アンドヴァリの捕捉と打倒に向け、それぞれのルートでやつの足跡を辿っていったのだという。

 まずは愛知さんが、そのあたりの事情を説明してくれた。

 

「私は公安警察から得た情報で、あの日アンドヴァリと交戦した自然公園からそう離れていない山奥の村に向かったのですが……そこで思わぬ方と出くわしました」

「思わぬ方? モリガナさんのことじゃ、ないですよね」

「うん。けど似たような立ち位置の方ではあるかも知れない。先々代聖女……神谷美穂さんと遭遇したんだ」

「神谷さんですか!? 今もってこちらでも足取りがつかめていないあの人を、あなたはすでに!?」

 

 コクリとうなずく。愛知さんの言葉に俺も香苗さんも絶句してお互い、顔を見合わせた。

 認定式の日から行方知れずとなり、今もヴァールやアンジェさん達が足取りを追っている先々代のダンジョン聖教聖女、神谷美穂さん。

 おそらくはアンドヴァリを追っての単独行動をされているものとは思われていたけど、まさか愛知さんが先んじて出くわしていたなんて。

 

 お互いに同じ人間を追っていたからこその交錯なんだろう。とすると、少なくとも愛知さんが得たという公安警察からの情報の信憑性も高まった形になるね。

 そうして邂逅を果たした二人は、そこからさらに予想外の成り行きに発展していった。

 

「神谷さんもアンドヴァリを追っていたということもあり、その村落にはたしかに過激派の足跡が残っていました……廃墟にわずかな資料が残されていたのです」

「資料、ですか」

「はい。それと同時に過激派についた聖教騎士の何人かも襲ってきましたが、そちらはその、神谷さんが一蹴しました。加減していたにせよ今頃は全員、ホテルのベッドの上ですね」

「えぇ……?」

 

 いや神谷さん苛烈すぎん? 予想をはるかに超える暴力の嵐を吹かせた話の中の先々代聖女に震える。

 今の口ぶりだと愛知さんは一切手出しせずソロで何人も襲ってきた騎士を無傷で薙ぎ倒したってことだよね。怖ぁ……

 

 これにはさしもの香苗さんも絶句しているし、愛知さんも遠い目をしている。実際に目の当たりにした当人がそうなるって相当だろ。

 唯一シャルロットさんだけは、何やら理解者みたいな顔してうんうんうなずいてるのが余計怖い。そりゃそうだこの人も認定式の日、アンドヴァリの部下達をまとめて始末しようとしていたくらいに過激だもんな。

 

 やはり聖女ってヤバいのばかりなのでは? 深まる疑念。

 エリスさんが聞いたらどんな反応するかなーって思いつつも、俺はさらに話に耳を傾けた。

 

「そうして得た資料から、アンドヴァリの次の行先は関西のとある山奥だと確信した私と神谷さんはそちらに向かおうとしたのですが……そこに、この七代目聖女シャルロット・モリガナがやってきましてね」

「ここからは私の、我々ダンジョン聖教の動きについて話すべきでしょう。愛知九葉や先々代様と出会うまでの間、こちらはこちらでアレクサンドラを始末すべく動いておりましたので」

「始末て」

 

 どうやら神谷さんと同じタイミングでシャルロットさんとも合流したみたいで、今度は当代聖女に話が移る。

 のは良いんだけど……相変わらず過激だなあ、始末って。何がなんでもアンドヴァリを倒す、というよりもはや殺す気みたいだけど、だから少なくとも日本っていうか大体の国でそれはいけないのだ。

 

 どうも執拗に殺意を示すよねこの聖女様。

 思わずツッコミを入れた俺ちゃんに、シャルロットさんは軽くため息を吐いて反応を示してきた。

 

「シャイニング山形、あなたの主張はとても正しい。本来人命は尊ぶべきもの、という観念は当然ながら私にもあります。認定式の日にもそうでしたが、それを貫くあなたの姿は、ええ、本来の私であれば好ましくさえ思うでしょう」

「本来の、モリガナさん?」

「──ですがことアレクサンドラについてのみ、私はそうした倫理も常識も投げ捨てて臨みます。実力的に考えてもそうでもしなければアレを倒すことなど叶いませんし、何より私自身があの女を殺したくて殺したくて堪らない」

「…………!!」

 

 一点の曇りさえ感じさせない、極めて純度の高い殺意を瞳に宿して本音を吐露したシャルロットさん。

 殺人は許されない行為だと理解し、良心さえ垣間見せながらそれでも殺したいと断言した彼女の姿に息を呑む。

 

 何が……あるんだ、この人とアンドヴァリの間に。仮にも師弟関係、聖女としても先輩後輩の関係だったろうに、それがこうまでのことになるなんて尋常じゃない。

 そもそもアンドヴァリのこと以外ではこの人、ここまで過激じゃないんじゃないか? 考えてみれば認定式に至るまでの間はアンジェさんチームとも上手く連携していたみたいだし、本来はもっと理知的で冷静な人なんじゃないのか。

 

 それがこと先代聖女のことについてはここまで言ってしまうなんて、口先だけじゃないぞ、これは。

 たとえ法がどうであれ、この人はアンドヴァリを殺れるなら本当に殺ってしまえる。

 そのことを否応なしに感じ取る俺を一瞥して、彼女は静かに目を瞑り、浮かべた殺意を隠して話を続けるのだった。




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